ニュースリリース|トピックス| 2026年02月16日(月)
朝鮮労働党第9回大会の開催が迫っている。北朝鮮は市・郡党代表大会と道党代表大会を開催し、党大会に参加する最終代表者まで選出することで、第9回党大会開催のための手続き上の準備はほぼ完了したと見られる。
今後、代表者資格審査と大会「議定」(案件)に基づく日程確定、文書審議などを決定し、第9回党大会日程を公表する党政治局決定書採択のみが残されている状況だ。党大会が予想より1カ月ほど遅れたのは、新義州温室総合農場など「未決の重要対象の完工」が完了しなかったためである可能性が高い。
5年前の2021年1月に開催された第8回党大会は、対北制裁の長期化に加え、新型コロナウイルス感染症の拡散にともなう国境地域封鎖で景気後退が深刻化し、対米・対南関係も断絶した状況下で開催された。それに比べると、現在の北朝鮮の対内外状況は相当改善されたと評価できる。
国内的には3年間のプラス経済成長や食糧生産目標達成、平壌5世代住宅建設完了、「地方発展20x10政策」の進展などの成果があり、対外的には北中関係の改善と北中貿易量のコロナ事態以前の水準回復、ロシアとの政治軍事的緊密化と全面的な交流拡大など対外環境が一部改善された。
こうした内外の条件を反映し、第9回党大会では「新たな変革段階」を設定し、各分野別に詳細な目標を提示すると予想される。金正恩総書記は2025年10月の「労働党創立80周年記念行事」で、金正恩主義の核心思想として掲げられる「人民大衆第一主義の政治理念」を前面に押し出し、「10年以内にすべてを新たに変革」し「社会主義の全面的発展」を追求するという長期的な政策方向を示した。この基調が今回の第9回党大会の決定にそのまま反映されると予想される。
まず国防建設分野では「核武力と通常戦力の並進政策」を提示するだろう。金総書記は昨年末、戦略兵器中心の核能力強化とともに「実戦用兵器」とも見なせる「通常武力」の現代化・高度化を同時に推進するとの政策方向を予告していた。
党建設分野では、2022年12月に開催された党第8期第6回総会で党の正式路線として採択された「新時代5大党建設路線」を前面に掲げるものと見られる。「新時代五つの党建設路線」は、金総書記が提示した「党建設思想理論」の五つの方向(政治・組織・思想・規律・作風建設)を通じて党の全面的強化を達成するというものである。
25年10月に党創建史跡館を訪問した際、金総書記は「継承性、社会主義理念、人民主体性に基づき、『新時代5大党建設路線』を新たな高段階で強力に推進し、全党組織が率先して発展させなければならない」との趣旨で演説したことがある。
とくに最近、金総書記が現地指導で高位幹部を相次いで叱責する様子を見ると、党の厳格な規律・統制を強化し、不正腐敗など規律を損なう要素を摘発・排除する「規律建設」と、現場・実践中心の民心重視を通じて党の執権力を強化する「作風建設」事業が強調されると予想される。
経済分野では「全面的な社会主義建設路線」に基づき「全分野における質的発展」を実現するための経済開発5カ年計画目標が提示される見通しだ。軽工業と農業重視政策を堅持しつつ、遅れた地方の再建事業を拡大すると予想される。
とくに金総書記は25年12月に開催された党中央委員会第8期第13回総会で、都市と農村の格差解消の観点から「国家的に炭鉱村を変革するための事業」と「西海岸の干拓地農場の中で新たに組織されたか最も遅れた農場を、農村発展の新たな変革像を象徴する現代的で文明的な農村に変革する措置」を求めたことがある。
対外分野では、中国・ロシア・ベトナムなどいわゆる「グローバルサウス」と協力し、アメリカに対抗する「正義で平等な多極化世界秩序」構築に乗り出す意向を再表明すると見込まれる。
金総書記は25年10月の『労働党創建80周年祝賀行事』での公開演説で、一度も韓国とアメリカを直接名指しして脅威的な発言をしていない。しかし内部的には米国を「主敵」、韓国を「最も敵対的な国家」とする教育を強化している。
北朝鮮が第9回党大会開催によってアメリカと韓国を直接名指ししない無視政策を選択するか、アメリカを念頭に「非核化の執念を捨てて平和共存を望むなら対峙できない理由はない」との趣旨の基調を示すかが注目される点だ。
ただし対南政策では米国と異なり「韓国とは一切相手としない」という『分離対応基調』を維持することは確実だ。対南政策の基調で最も注目される点は、改正される党規約における『統一』と『南朝鮮』に関する文言がどのように変更されるかである。
21年の第8回党大会で改正された党規約序文には「祖国の統一発展」「民族大団結の旗印」「祖国の平和統一」「民族の共同繁栄」などの文言が含まれている。まず「統一」と「統一の原則」関連の文章はすべて削除または修正されるというのが大方の見通しだ。
問題は「朝鮮労働党の当面の目的」と「闘争目標」を規定した部分である。党規約序文には「朝鮮労働党の当面の目的は、共和国北半部において富強で文明的な社会主義社会を建設し、全国的範囲で社会の自主的かつ民主主義的な発展を実現することにある。最終目的は、人民の理想が完全に実現された共産主義社会を建設することにある」と規定されている。
ここで「共和国北半部」と韓国を含む「全国的範囲」という文言の修正の有無が核心だ。第9回党大会で「北半部」と「全国的範囲」という言葉を削除した党規約を採択すれば、80年以上続いた北朝鮮の「南朝鮮革命論」と「南朝鮮介入論」の完全な廃棄を意味するからだ。
これに関連し、金総書記は24年10月に国防総合大学を訪問し、破格な発言を行ったことがある。彼は公然と「われわれは率直に言って大韓民国を攻撃する意思はまったくありません。意識することさえも鳥肌が立ち、あの人間たちと向き合いたくもありません。以前の時期には我々が何やら南の解放という話もよくしたし、武力統一という言葉も使ったが、今はまったくこれに関心がなく、二つの国家を宣言してからはなおさらその国を意識することもない」と述べた。韓国と対話する考えもなく、意識したくもないという発言である。
このような基調が反映され、「朝鮮労働党の当面の目的」を「南朝鮮」を含む全国的範囲ではなく、共和国(北朝鮮地域)に限定したものと修正するなら、「闘争目標」を規定した部分も削除される可能性が高まる。すなわち「朝鮮労働党は南朝鮮から米帝の侵略武力を撤去させ、南朝鮮に対する米国の政治軍事的支配を最終的に清算し(中略)祖国の平和統一を早め、民族の共同繁栄を成し遂げるために闘争する」という規定も廃棄されるという意味だ。
過去、南朝鮮との平和統一を追求しようが、「対南赤化路線」を追求しようが、統一戦線論に基づいて南朝鮮の政治状況に介入しようとする政策の根拠となっていた「党の目的と目標」規定が完全に消滅するのだ。実際に「敵対的二国家関係」に基づき南北関係の根本的転換を党規約に反映させる場合、党大会に続いて開催される最高人民会議で軍事境界線以北地域のみを包含する領土規定を改正憲法に盛り込む可能性が高まる。
北朝鮮は党優位の国家体制を維持している。党の目的と目標が修正されれば、当然国家戦略と政策も変更される。そうした側面から、党規約の「対南部門」がどのように修正されるかが、今後の南北対話と交流の可能性を窺い知ることができる物差しとなるだろう。
(ニュース1、2026年1月28日、鄭昌鉉・平和経済研究所長)