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【北朝鮮軍のウクライナ戦争派兵から1年】①彼らは「ターミネーターのようだった」

ニュースリリース|トピックス| 2026年01月27日(火)

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京郷新聞2026年1月22日〈ロシア・ウクライナ戦争 北朝鮮軍派兵から1年〉
「1.8kmの距離から50m前で奇襲…彼らは『ターミネーター』のようだった」

① 北朝鮮軍が進化した

 4年目に突入したロシア・ウクライナ戦争。その戦いの最前線で注目を集めるキーワードの一つが北朝鮮軍の派遣だ。史上初の公式海外派遣を果たした北朝鮮軍が活動したのはロシア・クルスク地域。ここはウクライナが戦略的に占領を狙ったロシア領土である。ロシアによって占領された南東部のドンバス地域やザポリージャなどは、終戦交渉時の交換カードでもあった。外信では北朝鮮軍を「ウクライナ戦争のゲームチェンジャー」と表現する文言がしばしば登場する。実戦経験もない北朝鮮軍が一度も訪れたことのないロシアの土地で成功した軍事作戦を行ったという意味だろうか。もしかすると大韓民国の安保に大きな影響を与える可能性もある北朝鮮軍の派兵を、外信だけに依存することはできない。京郷新聞はキム・ヨンミ国際紛争専門PDが伝える北朝鮮軍派兵1年を、5回にわたり掲載する。

 
ウクライナの首都キーウにあるマイダン広場。ここは2014年にユーロマイダン革命が起こった場所で「民主広場」とも呼ばれる。2025年10月に訪れたこの場所には、ウクライナ戦争の戦没者を追悼する旗が多く立てられていた。その中でも特にクルスクで死亡したとする表示が多かった。

 ウクライナは2024年8月6日、精鋭部隊を先頭にロシア国境を越えクルスクを占領した。クルスクは農業と畜産業を主とする農村地帯だった。1980年代、ロシアはこの農村地域に熱電併給発電所を建設し、欧州向けガスパイプラインを敷設した。ロシア三大原子力発電所のひとつであるクルスク原子力発電所もこの地にある。その中でもクルスク州スジャ市は、欧州へ向かうロシア天然ガスの玄関口がある場所として戦略的価値が高い。

 ウクライナのクルスク進撃作戦は、東部戦線(ドンバス)に集中していたロシア軍の戦力を分散させるとともに、今後の終戦交渉においてロシアに占領されたウクライナ領土と交換できる「切り札」を得るためのものだった。ウクライナのクルスク占領は、ロシアにとっては完全に不意を突かれた形となった。

 第二次世界大戦後、本国が外国軍に占領された初の事例であり、ロシア国内では政治的負担も大きかった。ロシアがクルスク防衛のために軍隊を派遣するには、やむを得ずドンバスで戦う兵士を分散させねばならなかった。この点がロシアが北朝鮮軍の派兵を望んだ理由である。

 2024年6月19日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は平壌を訪問した。そして金正恩国務委員長とともに「朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦間の包括的戦略的パートナーシップに関する条約」に署名した。この条約の最も核心的な条項は第4条「いずれか一方が武力侵略を受け戦争状態に陥った場合、他方は遅滞なく自らが保有するあらゆる手段で軍事的及びその他の援助を提供する」である。事実上の軍事同盟だ。北朝鮮軍の派兵は一気呵成に進められた。同年10月には北朝鮮軍兵力1万3000名がウラジオストクに到着し、12月初旬にはクルスクに配備された。

 クルスク進撃初期の先鋒に立ったウクライナ部隊は精鋭の第80空挺旅団である。この部隊は2025年1月から北朝鮮軍と本格的な交戦を開始した。第80旅団偵察部隊中隊長であるコールサイン「リー」は、集団で移動する北朝鮮軍を発見した。彼は「偵察ドローンで確認したところ、北朝鮮軍は無防備に10人、20人、30人ずつ集団で歩いてきた」とし、「彼らは容易に排除された」と述べた。

 ウクライナ戦場の最大の特徴は「ドローン戦」だ。ドローンが爆弾を積んで敵陣で爆発する。特にFPV(一人称視点)ドローンは相当数の戦死者を出させるほど致命的だ。北朝鮮軍にとって未曾有の兵器だった。ドローンは飛んで北朝鮮軍兵士の集団で爆発し、死傷者が続出した。

 しかしこれは初期に限られた現象だった。同じ80旅団の偵察兵コールサイン「ブラウン」は「北朝鮮軍は時間が経つにつれ次第に進化した。北朝鮮軍は我々がより大きな兵力に注意を奪われている隙に、他の北朝鮮軍が我々の側面から密かに迂回して攻撃した」と語った。北朝鮮軍がドローンを運用する様子も観測された。派兵から数カ月が経つと、北朝鮮軍はもはやドローンに無防備に翻弄される寄せ集めの軍隊ではなかった。

 ウクライナ軍の第225独立突撃大隊は装甲車とドローンを活用し、北朝鮮軍と最も激しい交戦を繰り広げた。戦場で北朝鮮軍の軍服の断片やハングルが書かれたメモなどを確保し全世界に公開したまさにその部隊である。

 225大隊のエベン軍曹は「北朝鮮軍がこれまでに見られなかった方法で戦闘を行った」と明かした。彼は「我々は野原に陣取っていたが、午前5時頃ドローン兵が偵察していたにもかかわらず、北朝鮮軍は茂みに潜み、なんと1.8kmも這って我々の目の前50mまで接近してきた」とし、「北朝鮮軍の急襲を受け交戦が始まり、2~3時間後に支援部隊が到着してようやく北朝鮮軍を全滅させることができた」と語った。

 エベン軍曹は「本当に驚いた。北朝鮮軍は非常に訓練が行き届いていた。さらに驚くべきは、彼らの中に逃げたり降伏したりする者が一人もいなかったことで、文字通り『片道切符』だけを持っているようだった」と証言した。

 ウクライナ軍に捕虜となったあるロシア兵士は「訓練所で北朝鮮軍人を見た。約1500人がおり、彼らはロシア兵が学ぶすべてを学んだ。戦闘行動、射撃、戦術、戦略などだ。我々は共に食事をし、共にシャワーを浴びた」と語った。彼は地図を示しながら「そこはクルスクの『ポストーヤリェ・ドヴォリ訓練所』だ」とし、「通訳が北朝鮮軍との対話を助けた」と述べた。

 準備不足の派遣だったため、初期は混乱も多かった。北朝鮮軍はウクライナ軍とロシア軍をまったく区別できなかった。北朝鮮軍がロシア軍将校を捕虜にした事件もあった。ロシア軍は識別のため赤い腕章を着用していた。彼は「赤い腕章がなければ終わりだ。即座に北朝鮮軍に射殺される」と語った。

 コミュニケーションの問題も深刻だった。クルスクで9カ月間作戦を行ったウクライナ領土防衛軍司令部広報局長オレクシー・ドミトラシキフスキー大佐は「我々のドローン映像で、ロシア軍と北朝鮮軍が互いに争い、銃撃戦に発展した場面が確認された」と明かした。

 インタビューしたロシア人捕虜の大半は、北朝鮮軍について非常に強力な部隊だと語った。あるロシア人捕虜は「北朝鮮軍は我々より頻繁に訓練しており、彼らの教官はより過酷な訓練を課した。我々(ロシア)の教官でさえ、彼らのやり方や我々の誤りを比較し、彼らを模範としていた」と述べた。

 別のロシア人捕虜ミハイルは「北朝鮮軍は速く、勇敢で、怠けなかった。ターミネーターのようだった。走り、跳び、疲れも見せなかった」と語った。クルスクに派遣された北朝鮮軍部隊が一般部隊ではなく精鋭部隊であったと推測される理由だ。一部では北朝鮮軍偵察総局と暴風軍団が派遣されたと見ている。

 別の捕虜であるアトムは「2025年4月頃、北朝鮮軍と戦闘したが、彼らは本当に戦闘が上手だった。クルスク地域の大部分は北朝鮮軍が解放したと聞いた」と語った。ロシア軍はクルスクを9カ月ぶりに奪還した。プーチン大統領が軍服姿で駆けつけるほど重要な勝利だった。この勝利に北朝鮮軍が相当な貢献をしたという意味だ。

 ロシア・ウクライナ戦争における両国の戦争捕虜数は非常に多い。しかし、確認されている北朝鮮軍捕虜はわずか2人である。なぜ北朝鮮軍捕虜は少ないのか。

 2025年2月、ウクライナ政府は北朝鮮軍捕虜を公開した。1人はあごに包帯を巻いた姿で、もう1人は横たわった状態で声と顔が全世界に知られた。その後、追加で知られる北朝鮮軍捕虜は皆無である。その疑問はウクライナ軍第225大隊と会って解け始めた。

 第225大隊のペトロ中尉は2025年2月未明、北朝鮮軍と交戦した。彼は交戦規則に従い、負傷した北朝鮮軍兵士に近づいた。身体を捜索するためだった。しかしその兵士は手榴弾を握っており、即座に安全ピンを抜いた。ペトロ中士は辛うじて身をかわしたが、北朝鮮軍兵士は死亡した。ペトロ中士は「交戦したすべての北朝鮮軍は捕虜になるより自爆を選ぶ。大半が捕虜の道を選ぶロシア軍とは異なる」と語った。

 ロシア軍の捕虜の中には、死ぬよりは捕虜になる道を選ぶケースが多いという。あるロシア軍捕虜は「(ウクライナ軍の砲撃が始まると)自らウクライナ軍陣地へ行き捕虜になった。自分はただの盾に過ぎないと悟り、『200番』(戦死者)になりたくなかった」と語った。別の捕虜も「共に戦っていた戦友たちが降伏を提案した。自分はまだ25歳だと気づき、発砲なしに降伏することを決めた」と語った。

 決して降伏せず自爆を選ぶ北朝鮮軍の姿はウクライナ軍にとって衝撃だった。ドミトラシキフスキー大佐は「大隊長が北朝鮮軍兵士1人を捕虜にしたが、その兵士は自らの腕の血管を噛み切って死んだ」と伝えた。

 アンドリー・チェルニャク情報総局報道官は「北朝鮮軍は(北朝鮮の)宣伝によって完全に洗脳され、世の中がどう回っているのかまったく理解していない人々だ。金正恩を『太陽』と考える北朝鮮軍は捕虜になれば自殺するよう確実に洗脳教育を受けていたが、ここまで洗脳が深刻だとは思わなかった」と述べた。

 いつでも死ぬ覚悟ができ、前へ前へと進む軍隊、恐怖を知らず自ら実戦で進化する北朝鮮軍をウクライナ戦争に参戦させたことは、ロシアにとっては神の一手となった。一方、予想もしなかった北朝鮮軍によってクルスクから撤退したウクライナにとっては痛恨の損失となった。

 その後、北朝鮮軍は工兵部隊と地雷除去部隊を派遣したと伝えられている。ウクライナ国防省関係者は「北朝鮮はロシアとの軍事協力関係から血盟の関係へと発展した。これは朝鮮半島の安保にも多大な影響を与えるだろう」と述べた。同氏は「ウクライナ軍は北朝鮮軍に対抗できなかった軍隊だったが、韓国軍には対抗できる軍隊が存在することを望む」と語った。


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