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朝鮮労働党第9回党大会でどのような中身が出るか

ニュースリリース|トピックス| 2026年01月27日(火)

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 朝鮮(北朝鮮)が第9回労働党大会でどのような路線を選択するか、最大の関心が集まっている。2021年1月に開催された第8回党大会は、朝鮮の根本的かつ巨大な変化の里程標であった。実際に多くの変化があった。朝鮮が「貧しく孤立した核開発国」から「貧困と孤立を脱却する核保有国」へと変貌しつつあることが最大の変化である。外部の承認の有無に関わらず、朝鮮の核戦力が飛躍的に強化されたことは周知の事実である。

 また、朝中関係は冷え込みを払拭し改善の方向へ、朝ロ関係は「戦略的同盟」という言葉が色あせるほど大幅に強化されている。民生と経済の面でも、経済成長及び穀物生産目標の超過達成が確実視され、地方発展計画も順調に進んでいる。「かつて経験したことのない新しい朝鮮」が到来したことを意味する。

 米朝関係の変化も劇的だ。1990年以来、朝鮮の最大の目標は米国との新たな関係構築であった。金正恩委員長は、三度の会談と20回以上の親書交換に象徴されるドナルド・トランプ大統領との関係が、これを可能にする「神秘的な力」として作用することを期待していた。しかし2019年を過ぎ、こうした期待を完全に断ち切り「新たな道」へと突き進んだ。

 第8回党大会の核心基調として「対米長期戦」を宣言した背景である。ところが金正恩に期待と落胆を次々に与えたトランプが、大統領として戻ってきた。戻ったトランプは金正恩に機会あるごとに「ラブコール」を送っている。第9回党大会で朝鮮の対米基調がどうなるかに最大の関心が集まる所以である。

 南北関係の変化は絶望的だ。2018年の三度の南北首脳会談に代表される熱く大きな期待を集めた南北関係は、2019年からは冷たく絶望的な関係へと転落した。ついに金正恩は2023年末から、政権の変化に関わらず韓国が追求してきたのは吸収統一だとし、民族と統一を排除し「敵対的二国家論」でその位置を埋めている。この間に朝鮮を刺激して武力挑発を誘導しようとした尹錫悦政権が弾劾・罷免され、新政権が発足した。

 李在明政権はさまざまな努力と試みで背を向けた朝鮮の心を取り戻そうとしているが、今のところ力不足だ。政権の変化に関わらず韓国の対北敵対性は本質的に変わることができないという朝鮮の判断が固いからだ。第9回党大会で朝鮮の対南基調が「敵対的二国家」を明示する方向に出るのではないかと懸念の目が集まっている理由である。

 朝中・朝ロ関係の変化は衝撃的だ。冷え切っていた朝中関係は、2018年3月から翌年6月までに6回の首脳会談が開かれるほど全面的な復元へ向かうかに見えた。朝鮮半島平和プロセスが自壊し、息抜きに入ったとされる朝中関係は、朝鮮が核武力を「国体」と位置付け、核武力法を制定しこれを憲法に明記したことで冷却期に入った。核保有国として認めてほしいという朝鮮の要求と、これに難色を示した中国の立場が衝突したのだ。

 すると朝鮮は視線をロシアに向けた。ウクライナ侵攻で苦戦を強いられていたロシアに武器と兵力を大量支援し、核保有国としての承認を引き出した。そして朝鮮はこれをてことして、中国の黙認も引き出した。ロシアが朝鮮の代弁者のように「非核化は不可能」と叫び、中国が非核化を「無音」処理したことからも、このことが窺える。

 9回党大会では、こうした成果を基に、朝中・朝露関係の強化が核心的な対外政策路線となることを予告する部分だ。わわれの最大の関心事は、第9回党大会に盛り込まれる対南・対米基調に集約される。見通しは明るくない。しかし対米基調ではかすかな変化の可能性が見出される。金正恩は昨年9月21日の最高人民会議演説で「もし米国が虚妄な非核化執念を捨て去り、現実を認めた上でわれわれとの真の平和共存を望むなら、われわれも米国と向き合えない理由はない」と述べた。

 「トランプ大統領に対する良い思い出を持っている」とも述べた。こうした発言を裏付けるように、朝鮮はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の時期に米国との接触に応じたと伝えられている。朝鮮は米国に非核化要求を撤回するよう求めたが、米国がこれを拒否したため首脳会談は実現しなかったという。

 こうした内容を総合すると、第9回党大会では「対決にも対話にも準備ができている」と述べ、米朝首脳会談の可能性を残すものと見られる。

 過去に米朝関係の最大の障害だった制裁問題の行方も注目する必要がある。国内外では依然として朝鮮が制裁緩和・解除を要求するだろうという見方が主流だが、これは「過去の北朝鮮」を対象とした分析だ。2018~2019年には金正恩が制裁解決を切望すればするほど、トランプはむしろ制裁を強化していた。これを「国家の尊厳」問題とみなした金正恩は第8回党大会で、制裁を自力更生と自給自足を実現できる「良い機会」とすると誓った。

 そして昨年9月の演説では「制裁を解除しろと言うのか」と自問し、「とんでもない話だ」と自答した。むしろ「制裁はわれわれに一層強くなる学習効果を与え、いかなる圧力にも屈しない耐性と抵抗性を育んだ」とし、「制裁解除に固執して敵対国と何かを交換するような交渉など決してなく、今後も永遠にない」と断言した。

 これに対しトランプ氏は2025年10月27日、日本と韓国を歴訪する途上で「われわれには制裁がある。これは(議論を)始めるにはかなり大きな案件だ。おそらくこれ以上のものはないだろう」と述べた。制裁の議題化をてことして金正恩氏との電撃会談実現の可能性を高めようとする意図だった。

 制裁をめぐる両首脳の隔たりは、米朝首脳会談が実現した場合、この問題をトランプが先に持ち出したり、重視して議論されない可能性を示唆している。依然として制裁問題に重点を置く国内外の視線の修正が必要な理由である。

こうした文脈を総合すると、第9回党大会の核心的な対米基調は「核保有国間の平和共存」となるだろう。米国は敵対国であるソ連と中国の核武装に対して強硬策を取った後、平和共存を選択した前例がある。また近年、米国の政界では「北朝鮮の非核化」が『ミッション・インポッシブル』である現実を認めつつ、軍備管理と平和共存に重点を置くべきだという声も高まっている。

 しかし、トランプ大統領であっても朝鮮を核保有国として認めることはできない。とはいえ非核化を固守し続ければ米朝首脳会談は水泡に帰する。この二者択一の中で「善意の無視」が選択されうる。朝鮮の核保有国地位承認要求を無視しつつ「先非核化」要求を棚上げし、核凍結を前提に「別の議題」に集中する可能性もあるのだ。

 ここで言う別の議題とは「朝鮮戦争の終結」である。これに関連し、トランプ氏は2025年10月の米韓首脳会談で「朝鮮半島が公式に戦争状態にあることを認識している」と述べ、「金正恩氏とこれを正すために非常に熱心に努力する」と強調した。

 彼は2018年6月の初の米朝首脳会談を前にしても「朝鮮戦争は70年近く続いた最長の戦争」と述べ、戦争終結の必要性に言及したことがある。2期大統領就任後、世界中で起きた8つの戦争を終結させたと自画自賛してきたトランプ氏としては、朝鮮戦争終結に強い関心を持つのも当然と言える。これは金正恩氏が述べた平和共存とも共通点がある。朝鮮戦争を終結させ平和共存を図る最も有力な方法は、平和協定の締結にあるからだ。

 このように朝鮮の第9回党大会をはじめとする米朝関係の変動性は存在する。では南北関係の行方はどうか。李在明政権発足後、双方のビラ(汚物)風船と拡声器放送の「双中断」により、接境地域を中心に敵対性が大きく緩和されたのは大きな成果である。また李在明政権は平和共存を実現するため、体制尊重・吸収統一不追求・敵対行為不推進を対北政策の3原則として掲げてきた。

 しかし朝鮮は本質的な問題においては変わっておらず、変わることもできないという認識を変えていない。過去に最も敵対的な国家であった米国に対しては平和共存の必要性を述べながらも、韓国に対してはその余地すらほとんど与えない。なぜだろうか?

 賢明な対応策を立てるには、彼らの論理構造から理解する必要がある。朝鮮が李在明政権になって集中的に問題視している部分は、韓国憲法の領土条項である。金正恩は9月の演説で、韓国が1948年7月に制定した憲法に 「大韓民国の領土は朝鮮半島とその付属島嶼とする」という文言を盛り込み「わが国家に最も敵対的な生来の本性を成文化」したと指摘し、「これまで大韓民国で政権が10数回も変わり憲法は9回も改正されたが」憲法の領土条項とこれに基づく国家保安法は変えなかったと非難した。

 また従属的な米韓同盟だけでなく、李在明政権の大規模な国防費増額計画を非難しつつ「反共和国対決狂信で悪名高い尹錫悦政権をはるかに凌駕している」と主張した。そのうえで「われわれと韓国が国境を隔てた異質で決して一つになれない二つの国家であることを国法で固定化する」と述べた。

 この基調が続けば、第9回党大会決定と改正憲法に「敵対的二国家」が明記されることになる。

 この点で李在明政権との不協和音が明らかになる。政府内外では文在寅政権時に良好だった南北関係を尹錫悦政権が台無しにしたという見方が依然強いが、朝鮮は韓国政権の変化に関わらず対北敵対性の本質は何も変わっていないと見なしている。この隔たりが埋まらない場合、李在明政権の任期中にも一度の南北対話すら実現しない可能性すら排除できない。

 ではどうすべきか。私は李在明政権が提唱してきた「平和共存の南北関係」を適切に実現できる措置を一つ一つ講じるべきだと考える。その核心には「北朝鮮に対する縁故権」の主張を放棄することにある。そのためには、改憲議論に領土条項も含めることを着実に推進する必要がある。これが国民的合意と超党派的協力を要する中長期課題ならば、今すぐできることから探すことが重要だ。

 1991年から存続してきた「北朝鮮急変事態」に備えた吸収統一計画である『忠武計画』を廃止することがこれに該当する。韓米連合軍の作戦計画と軍事訓練から、戦時における対北占領及び統一作戦を除外することもこれに該当する。李在明政権の吸収統一排除原則と、上陸作戦を核心任務とする海兵隊を「準4軍体系」に拡大・強化することが相応しい組み合わせなのかも自問する必要がある。吸収統一を行わないといいながら、韓国の一部というニュアンスが強い「北朝鮮」という表現を固守することも修正すべきである。

 私はこうした方向性が朝鮮の「敵対的二国家論」に最も効果的に対応し、韓国の平和共存論にも最も合致すると考える。実のところ韓国の忠武計画と韓米同盟の有事における武力統一論は、1990年代の米国単極体制の到来と南北体制競争における韓国の圧勝に伴う自信の表れであった。

 しかし世界は「天と地ほど変わった」という言葉が色あせるほど変化している。それでもわれわれはいつまで「北朝鮮の大韓に対する縁故権」という古い思考に固執しなければならないのか。この執着を手放せば、南北関係に先立ち大韓民国の再飛躍の道が開けるため、投げかける問いである。
(ハンギョレ、2026年1月17日、鄭旭湜コラム


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