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韓国独自の核武装に対する専門家の認識(前編)

ニュースリリース|トピックス| 2026年01月03日(土)

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〈必要性、可能性、現実性〉
統一研究院オンラインシリーズ、キム・ミンソン(統一政策研究室副研究委員)、パク・チュファ(北韓大学院大学助教授)

はじめに

 朝鮮半島の安全保障環境は、北朝鮮の核・ミサイル能力の高度化、米中対立の激化、そしてトランプ2期政権の対北朝鮮政策の不確実性が相まって、複合的な不安定性が増している。安全保障環境の不確実性と複雑性にもかかわらず、国民を対象に実施されている安全保障関連の世論調査は、独自の核武装に賛成するか反対するかという構図にあまりにもはめられてきた。

 韓国・統一研究院は、このような安全保障環境の複合的な文脈に沿って緻密な質問を設計し、安全保障の専門家52人を対象に、▲北朝鮮の核能力評価、▲北朝鮮の核にどう対応するか、▲拡大抑止、▲独自の核武装、▲敏感な核技術(核兵器製造への潜在力)など6つの領域について202項目の質問を考え出した。本稿では、調査結果のうち独自の核武装に関する専門家らの認識を問う調査がどのような結果になったか、一部を紹介する。1)

1)本調査は2025年統一研究院の一般課題「韓半島安保環境に関する専門家の認識調査:北朝鮮の核への対応を中心に」において実施された調査であり、オンラインプラットフォームを活用し、2025年7月25日から8月16日まえ行われた。

 今回の調査は、核武装に関する議論を単純な賛成・反対という構図から脱却させ、専門家がどう認識しているか、その認識の多層的構造を分析することで、今後の韓国の外交安保政策を立案するための根拠を提供し、核武装に関する議論がより合理的、かつ現実的な方向で展開されることに寄与するだろう。今回の研究課題の全結果は、2026年1月に報告書として刊行予定である。

「独自の核武装は不要」と「慎重論」に分かれる

 まず、韓国独自の核武装が必要かどうかを専門家に質問した。結果、2つの特徴が明確に表れた。第一に、核武装が必要だと回答した割合は11.5%(非常に必要・7.7%+必要・3.8%)に過ぎなかった。これは、これまでの国民世論調査で示された核武装への高い支持率とは対照的である。

 第二に、大半の回答は「必要ない」が46.1%(まったく必要ない・17.3%、必要ない・28.8%)と、「状況に応じて判断すべき」の42.3%に二分された。つまり、専門家の大多数は現段階において独自の核武装は必要がないという立場に重きを置きつつも、その必要性を絶対的に否定するわけではないという傾向を示した。

〈図1〉核武装の必要性に関する専門家の回答(単位:%)2)


2)本報告書に含まれるすべての図は、専門家認識調査の結果に基づき、筆者らが作成したものである。

 「独自の核武装が必要だ」と回答した専門家と、「必要ない」と評価した専門家にその理由を聞いた。3)

3)調査では第1順位と第2順位を選択するように求めた。本稿では第1順位の回答結果のみを提示する。

 独自の核武装が必要だと回答した専門家全員は、北朝鮮の核脅威に対応するための独自の抑止能力を確保すべきをその理由として選択した。独自の核武装が必要ないとの回答者の理由は、〈図2〉に具体的に示した。

 核武装が必要ないと回答した専門家は、その理由として「核武装が韓国の安保環境をさらに悪化させる」(41.7%)を最も多く挙げた。続いて、「核武装による経済・外交的打撃が致命的であるため」(29.2%)、「米国の拡大抑止で十分であるため」(12.5%)、「核武装が韓米同盟の破棄につながる可能性があるため」(8.3%)の順となった。このような回答分布は、一般国民が北朝鮮の核による脅威が深まっていることに対応して「核武装が必要だ」と認識する傾向とは異なる様相を示した。

〈図2〉独自の核武装が不要な理由(単位:%)



在韓米軍の存在が変化した時に核武装の推進を検討

 「状況に応じて判断すべき」との回答者には別途の理由を尋ねなかったが、後続の質問を通じて、どのような条件・状況で韓国が独自の核武装を推進すべきと判断するかを全専門家を対象に調査し、その結果を〈図3〉に示した。4)

4)調査では3順位まで選択するよう求めたが、本稿では1順位回答の結果のみを提示する。

〈図3〉核武装の推進を契機とする要因(単位:%)


 調査に参加した専門家の過半数以上である53.8%が、在韓米軍撤退時に核武装の推進を検討できると回答した。「いかなる条件でも付加」(15.4%)を除くと、第1順位基準で過半数を獲得した条件は「在韓米軍の撤退」のみで、ほかの単一条件はいずれも一桁台にとどまった。専門家は、独自の核武装を米韓同盟の究極的な変化と連動した最終選択肢として認識していることを示唆する結果である。
 


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