ニュースリリース|トピックス| 2025年04月27日(日)
「台湾の有事は日本有事」。 故・安倍晋三元首相が生前、口癖のように言っていた言葉だ。その後も日本政権はこの発言を遺言のように捉え、外交・安全保障政策の焦点をここに置いてきた。これは、台湾の未来を中国との戦略的競争の「ホットスポット」とみなしてきた米国の戦略的計算法と相まって、日米同盟の強化と同調国との安全保障協力の強化を生み出してきた。
そのような中、注目すべき報道があった。2025年4月15日付朝日新聞によると、3月末に日本で開かれた日米国防長官会談で「1つの戦場」(One Theater)構想に対する共感が形成されたということだ。
中谷元防衛相がピート・ヘグセス長官に朝鮮半島・東シナ海・南シナ海を一つの戦場と見なし、「日本・米国・オーストラリアとフィリピン、韓国など」との協力を強化しようと提案し、ヘグセス長官もこれを歓迎した。ヘグセス長官はその後、石破茂首相と会談した席で「一つの戦場」構想に言及し、関連国の協調の必要性を強調した。
日本の防衛相は問題の機密性を考慮して台湾に直接言及しなかったが、核心は台湾と言っても過言ではない。台湾有事の際、台湾を「実存的脅威」とみなしてきた日本の自民党政権と「台湾防衛」を本土防衛レベルの防衛目標に格上げしようとするトランプ政権の雰囲気を考慮すれば、このような診断が過言ではないことがわかる。
また、日米同盟の「一つの戦場」構想は、最近の東アジアの地政学的変動とも深い関係がある。日本が「台湾有事=日本有事」という認識を持つ背景には、在日米軍の介入を恒常的なものと捉え、日本も関与を避けられないという認識がある。
米国は在韓米軍の戦略的柔軟性を追求し、台湾有事の際の投入を検討しており、オーストラリアも「AUKUS」を基盤に大衆牽制・封鎖に参加している。中国と南シナ海領有権紛争を繰り広げているフィリピンも最近、米国との軍事協力を強化している。
台湾など東アジアで武力紛争が発生すれば、中国の唯一の軍事同盟国である朝鮮民主主義人民共和国の選択も重大な変数になる可能性がある。核とミサイルの高度化を重ねてきた朝鮮は、在韓米軍と在日米軍を牽制できる立場にあるからだ。 また、朝鮮が紛争に巻き込まれれば、相互防衛条項に基づき、ロシアの介入も排除できない。
第1次世界大戦と同様に、関連国が「同盟の連鎖」に巻き込まれ、ある地域での戦火が「同盟の風」に乗って東アジア全体に広がる可能性があるということだ。日米同盟の「1つの戦場」構想は、このような状況展開を想定し、「アジア版NATO」に匹敵する同盟ネットワーク構築に取り組もうとしているのではないかという解釈が可能になるところだ。
しかし、これは非常に危険な構想であり、特定の地域で紛争が発生した場合、これを収拾するために総力を尽くすべきだ。拡大戦争を前提に対策を立てることは「自己満足的な予言」に陥る危険性も大きくなる。また、対中抑止力の強化を目的としたとしても、過度な抑止の追求は軍事的緊張の高まりと軍備競争の激化を生み出し、偶発的な衝突と誤判断・誤認の可能性を高めるということも数多く経験してきた。
また、日米韓が事実上の同盟を追求した動きが北露同盟再結成の重要な背景となったように、日米同盟主導の東アジア同盟ネットワークの強化は、北中血盟関係の再構築のきっかけとなる可能性もある。
これは韓国の次期政府が重大な挑戦に直面することを予感させる。地政学的要衝に位置し、在韓米軍が駐留し、非核軍事力において世界5位になった韓国に対する米国の圧力が大きくなるだろうからだ。
具体的には、国防費増額を通じた韓国自身の国防力強化、在韓米軍の戦略的柔軟性向上と防衛費分担金の大幅引き上げ、国連軍司令部の活性化と拡大、韓米日軍事協力の持続などの要求があるだろう。
マクガパ式一国主義的な振る舞いを見せているトランプ政権の気質を考えると、一つ一つが容易ではない挑戦となるだろう。しかしこのような時ほど心構えを固めなければならない。外交が消えた代わりに「K-外交」を推進できる知恵、韓米同盟は目的ではなく手段という認識、破綻した南北関係を安定化し、安保需要を下げることができる選択などが必要だということだ。
2025年4月17日プレシアン・鄭旭湜