ニュースリリース|トピックス| 2025年04月26日(土)
2025年5月9日、モスクワの赤の広場には、ウラジーミル・プーチンロシア大統領と習近平中国国家主席などの強者が現れる。中ロは2025年2月、最高指導者が相互訪問で合意した。プーチン大統領は9月の中国の抗日戦争勝利80周年記念行事に、習近平国家主席は5月のロシア戦勝節に交互に出席する。
社会主義国家の力自慢の行事には主役が欠かせない。北朝鮮の金正恩委員長、インドのナレンドラ・モディ首相、ベトナムのラム共産党書記長、セルビア、スロバキア、ブラジルの指導者なども招待された。
戦勝節の行事では、新兵器を動員した大規模な軍事パレードなどで国力を誇示する。ロシアは第2次世界大戦を「大祖国戦争」と呼び、ナチス・ドイツに対する勝利を記念する。ここ数年、新型コロナウイルスのパンデミックやウクライナ侵攻作戦などで戦勝記念日の熱烈式典を縮小して開催しる。2025年は10年周期の折り返し年であり、米国とウクライナとの終戦交渉が進む中、80周年イベントを活用して西側を圧迫しようとしている。
観戦ポイントは、プーチンのウクライナ終戦戦略だ。モスクワのイベント前にウクライナ戦争が終結するかどうかが大きな関心事だが、剣の柄を握ったプーチンはドナルド・トランプ米大統領の煩悩を抱えながら、可能な限りベッドサッカー戦略を駆使する。夏はおろか、年内に戦争が終わるかどうかも明らかではない。
朝鮮戦争は勃発から1年後の1951年夏以降は小康状態だった。敵陣の首都であるソウルと平壌を攻撃する一進一退ではなく、38度線付近で限定的に展開される高地戦の連続だった。1953年3月、戦争を企画したスターリンが死亡したことで、7月になって初めて公式休戦となった。
自分が当選すれば24時間以内に戦争を終結させるというトランプ大統領の豪語は選挙スローガンだった。
関心事は金正恩氏の行事に参加するかどうかだ。彼が出席し、北中ロ3国首脳がクレムリンで一緒に会談するか注目される。すでにロシアのアンドレイ・ルデンコ外交次官は「金総書記は2025年、ロシアを訪問する」と明らかにした。3月下旬にはセルゲイ・ショイグ安保書記が緊急に平壌を訪問し、具体的な日程を調整したため、出席は既定事実だ。ただ、20人余りの首脳が集まる多国間外交の舞台に登場するかどうかは未知数だ。
まずは2国間外交のシナリオだ。旧正月を避けて、2025年5月中にモスクワでプーチンと単独会談を開催することだ。関心が集中するが、イベントで社会主義連帯を誇示しようとするモスクワの計画とは相反する。1万1000人の派兵部隊のうち、少なくとも5000人以上の死傷者を出した血の代償をプーチンに要求するためには、対面外交が効率的だ。
最近、比較的小康状態を見せている中国との関係も習主席との首脳外交で解決しなければならない状況で、多国間舞台で再会する場面は、平壌に得より損が多いだろう。伝統的に平壌は主体外交を掲げ、2国間外交を堅持してきた。過去の金日成、金正日に続き、金正恩も中露訪問でこの原則から逸脱していない。
しかし、多国間外交の舞台に登場する可能性も排除できない。金正恩がモスクワの赤の広場の演壇に立つ場面は非常に特別な絵になるだろう。プーチンの左側に習近平、右側に金正恩が並ぶ。この特別なイメージは、今後トランプ大統領と対峙しなければならない金正恩に、ストロングマンの仲間入りという無形のパワーを与える可能性がある。
今秋、トランプ大統領の平壌訪問を誘致する金正恩の立場では、多国間外交デビューは彼の地位を高めることができる。金正恩の出席は北中露首脳会談につながり、3国連帯の枠組みを作ることができる。
ソウルが金正恩のモスクワ首脳外交を注視する理由は、北ロ軍事同盟協力の波及効果と、今後のトランプ大統領との会談で「ソウル・パッシング」の可能性があるからだ。派兵の対価として、宇宙航空および核関連先端技術と新型ミサイルの平壌移転は、韓国の安全保障を深刻に脅かす。
ノーベル平和賞を狙うトランプと金正恩の首脳会談は、朝鮮半島の安全保障を揺るがすだろう。
5月は美しい赤いバラが咲き誇る季節の女王である。しかし、朝鮮半島を取り巻く国際情勢は、モスクワのイベントとトランプ大統領の関税戦争などでバラの香りに酔って時間を過ごすにはあまりにも厳しい。
2025年4月24日南成旭(ナム・ナムンウク) 淑明女子大学教授・元国家安全保障戦略研究院長