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トランプによる「コペルニクス的非核化」の行方は?

ニュースリリース|トピックス| 2025年03月18日(火)

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「もし私たちが核兵器の数を減らすことができれば、それは大きな成果になるでしょう。私たちは非常に多くの武器を保有しており、その威力は非常に大きい。そして最も重要なことは、そこまで多くの武器を必要としないということです。そして、私たちは他の国々も参加させる方法を見つけなければなりません。ご存知のように、規模は小さいですが、金正恩も多くの核兵器を保有しており、他の国も同様です。インドもあり、パキスタンもあり、核兵器を保有している他の国もあります。私たちは彼らも(議論に)参加させなければならない」。

アメリカのドナルド・トランプ大統領が2025年3月13日(現地時間)、ホワイトハウスでマルク・ルーター北大西洋条約機構(NATO)事務総長と会談した席で、記者団に語った言葉だ。ここで「私たち」とは、世界3大核保有国であるロシア・アメリカ・中国(核兵器保有量順)を指す。

トランプ氏はまた、朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長を「確かに核保有国(nuclearpower)」と称し、彼との関係を再構築すると明らかにした。

これは就任日である2025年1月20日の発言を繰り返したにとどまらない。トランプ氏の頭の中には「朝鮮半島の非核化」や「北朝鮮の非核化」だけでなく、世界の非核化や核軍縮を念頭に置き、北核問題もこのような文脈でアプローチすべきだという考えが浮かんでいるからだ。

まさに「コペルニクス的転換」と呼ぶにふさわしいことだ。1990年代初頭、北朝鮮の核問題が浮上して以来、アメリカの伝統的なアプローチは、自国の核兵器政策や戦略には手を出さず、朝鮮の核と弾道ミサイルの放棄だけを要求した。しかし、トランプは金正恩を「核保有国」と称し、アメリカを含む世界の非核化や核軍縮に一緒に取り組もうという趣旨の発言をしている。

私が知る限り、トランプが大統領選挙の遊説期間を含め、これまで「非核化」という言葉を公に言及したのは一度だけだった。しかし、「北朝鮮の非核化」や「朝鮮半島の非核化」ではなかった。

彼は1月23日、スイスのダボスで行われた世界経済フォーラム(WEF)のビデオ演説で、ロシアと中国を引き合いに出しながら、「私たちは非核化ができるかどうか知りたいが、私はそれが可能だと思う」と述べた。米・ロ・中など強大国が核軍縮交渉に取り組むべきだという趣旨の発言である。

そして2025年3月13日の発言は、米・ロ・中が先に率先して模範を示し、これを基に朝鮮を含む他の核保有国も世界の非核化や核軍縮に参加しなければならないという趣旨を含んでいる。

また、彼はイランの最高指導者に親書を送り、核交渉を再開しようという提案もした。これを総合すると、トランプ大統領のさまざまな発言は即興で出た発言ではないと見ることができる。

では、トランプ大統領のこのような発言に込められた意味は何だろうか。

急変するアメリカの世界戦略とトランプ個人の欲望が絡み合っている。トランプ政権は、アメリカ主導の単極体制が現実的でも望ましくもないと考え、米中ロ中心の多極秩序を認め、その中でアメリカの利益、とくに経済的利益を最大化しようとする。「安保の経済性」がキーワードだ。アメリカ自身の防衛予算削減と同盟・友好国に対する防衛費の大幅な引き上げを要求しているその一部分だ。

より大きな野心は、世界3大核保有国であり、軍事費支出国である米中ロが核軍縮と大規模な軍事費削減を行うことにある。これにより「軍備競争型勢力均衡」ではなく、「軍縮型勢力均衡」を図り、アメリカの軍備負担を大幅に減らそうというのがトランプ氏の考えだ。

また、トランプはオバマ元大統領に対して強い嫉妬心と競争心を持っている。世界核軍縮に関するトランプ氏の発言もこれに関連している。

オバマは就任初年度の2009年に「核兵器のない世界」を提唱し、ノーベル平和賞を「前払い」で受賞した。しかし、この部分でオバマの成績は惨憺たるものであっただけでなく、任期後半には1兆ドルに達する核兵器近代化計画を承認して非難を浴びた。

トランプは機会があるたびに「オバマもノーベル賞を受けたのに、なぜ私は受けられないのか」という趣旨の発言をしてきた。おそらく、彼の心の中には「私が世界核軍縮にマイルストーンを立てたとしても与えないのか」という野心が芽生えていると見る理由だ。

トランプは対北朝鮮政策においても、オバマ大統領との差別性を強調してきた。オバマ大統領が「戦略的忍耐」にとらわれ、金正恩と会うことも電話もできず、その結果、北朝鮮の核問題を悪化させたというのだ。

実際、オバマも2017年1月にホワイトハウスの鍵をトランプに渡し、「アメリカの国家安全保障の最大の難題は北朝鮮の核問題」と話したほどだ。これに対し、トランプは金正恩と3回も会い「ラブレター」も交換したと自慢してきた。そして、金正恩との親交を何度も誇示し、再会を望むというメッセージを送っている。「核保有国」として呼んであげるから、世界の核軍縮に参加してほしいというメッセージとともに。

このように、トランプ大統領の非核化路線は過去とは次元が違う。これは韓国と朝鮮両国に挑戦と機会を同時に提供する。

韓国は依然としてアメリカの拡大抑止をはじめとする韓米同盟強化に固執しているが、これはトランプの軍縮路線とは相容れない。韓国が慣性にとどまれば、防衛費分担金の大幅引き上げなどのトランプの請求書に悩まされることになるということだ。

また「国民の力」はもちろん、「共に民主党」の一部でも独自の核武装や核の潜在力確保の主張が頭を抱えているが、トランプの核軍縮野望に阻まれ、口も出せなくなるだろう。

金正恩に対するトランプの「最大限の圧力」も次元が変わってきている。

第1期トランプ大統領の初期には経済制裁と武力示威に焦点が当てられていたのに対し、第2期トランプ大統領は「親交を通じた最大の圧力」に取り組む兆しを見せているからだ。

しかし、トランプの提案には金正恩と「共感」を得る余地がある。世界の非核化」は朝鮮の古くからの話法だ。また金正恩は「戦略国家」を強調してきたが、トランプが自分を核保有国の指導者として認め、世界の戦略問題、とくに核軍縮問題を議論しようというのであれば、朝鮮の戦略的地位を強化する機会とみなすこともできる。

また、2月18日の外務省談話で「北朝鮮の非核化」が不可能であることを繰り返し強調しながら、「アメリカとその追従勢力の敵対的脅威が存在する限り」という条件を付けたことも注目に値する。バイデン政権の時は余地すら残さなかったが、トランプ大統領が戻ってきてから条件を付け加えたのだ。

このように、韓国は金正恩の「非核化不可」が堅持される状況で、トランプの「世界非核化論」という新たな変数に直面している。

この2つを包含できる創造的な解決策はないのだろうか。私は、朝鮮半島や北東アジア非核兵器地帯(非核地帯)が代案になり得ると考える。

朝鮮は非核化が「実践的にも概念的にももはや不可能で非現実的」という立場だが、非核地帯は実践的・概念的に共鳴できる余地が大きい。また、核戦争の危険性が高い朝鮮半島や北東アジアを非核化することは、トランプの核軍縮路線に相応しい議題になる可能性がある。
(2025年3月17日、ハンギョレ、鄭旭湜コラム


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