ニュースリリース| 2025年02月04日(火)
米国のドナルド・トランプ大統領が北朝鮮を「核保有国(nuclear power)」と呼び、韓国と米国の対北朝鮮アプローチの間に存在する「ギャップ」が再び浮上している。これはホワイトハウスの外交的レトリックとみなす事案ではなく、客観的な認識と解決法の模索が必要な課題だ。
異常外交を繰り広げるトランプの対北朝鮮政策を大いに予断するより、最近米国で感知されるが韓国にはよく知られていない流れに注目する必要がある。まさに「韓国の北朝鮮問題解決限界論」が静かに浮上しているという点だ。
例えば、元米国防部次官出身の人事は、あるセミナーで北朝鮮核関連の質問に「韓国のこれまでの政権が数十年にわたっても解決できなかった問題」と答えた。これは米国内で「韓国が果たしてこの問題を解決する能力があるか」という疑問につながっている。
筆者が中国側との北朝鮮核議論で会った中国人民解放軍高位幹部は「韓国は中国に北核問題解決を要請しながらも、政権ごとに要請が180度変わる。ある政府は対話を、次の政府は強硬策を望む。どちら合わせるべきかわからない」と不満を打ち明けた。これは韓国の対北朝鮮影響力を客観的に振り返らなければならないことを示唆する。
トランプ2期行政府の発足とともに「コリア・パッシング」の可能性が浮上すると、シドニー・サイラー前米国家情報委員会の北朝鮮担当官はある放送で「実際に韓国のパッシングがあったわけではないが、そのような印象を受けた人が多かった。これは北朝鮮を対話テーブルへ導かなかったことに対する挫折感に近く、結局、北朝鮮は韓国との関係改善を望んでいない」と述べた。
知韓派として知られる彼の発言を率直に解釈すれば、「韓国の対北朝鮮影響力が微細だから北朝鮮が韓国と対話を望まない場合、コリア・パッシングは発生する可能性がある」という意味でもある。
トランプ政権内では「韓国に十分な時間があったが問題を解決できず、米国も忙しい。解決できなければ管理でもしなければならない」という気流が感知される。最近韓国を訪問したトランプ政権諮問人事の一人は、文在寅政府時代板門店北米会談に韓国が関与しようとした例を挙げて「韓国が必ず北核交渉の席に参加する必要はない。北朝鮮も望まない」と話した。
同盟と敵を区別しないトランプ政権は、同盟国を恨めしく思い、政策を変える意思がないようだ。徹底的に目標志向的な態度を堅持するわけだ。それなら韓国は「北朝鮮の非核化」の当位性を主張するだけではなく、その目標達成のためにどれだけ効果的に努力したか振り返らなければならない。
朝鮮半島の当事者である韓国が主導的役割を果たさないと、結局、他国が主導権を持っていくのは国際政治が示す冷酷な現実だ。同時に、北米関係が改善される場合、朝鮮半島の地政学がどのように変化するか、多角的にシナリオを準備しなければならない。
ある視点では、韓国が直接全面に出るよりも、トランプ政権が米朝の関係改善に主導的に出るように協力・支援する方が効果的であるという見方もある。これは伝統的な枠組みを超えて新しい視点が必要であることを意味する。
世界が早く「リセット」されるだけに、韓国は北朝鮮核問題も「一度も経験してみなかった世界」に備えなければならない時点だ。
(2025年2月4日、韓国日報、イ・サンヒョン・ハーバード大学アジア研究所研究員)