ニュースリリース|トピックス| 2025年02月03日(月)
ドナルド・トランプ米大統領が就任当日の記者会見で、北朝鮮を核国家(nuclear power)と称し、ピート・ヘグセス国防長官も同じ表現を使用した。
米国が北朝鮮の核保有国の地位を「容認(recognized)」するのではないかという懸念が高まっている。2024年の米大統領選挙期間中に発表された共和・民主両党の政策で「完全な朝鮮半島の非核化」という目標が削除された点、ジョー・バイデン政権で核国家という名称自体が使用されなかった点などを考慮すると、このような懸念を傾けるのは難しいが、これを米国の北朝鮮非核化政策自体の変化と見るのは無理がある。
現在、核不拡散禁止条約(NPT)上、核兵器を保有することが許された国は米国、英国、フランス、ロシア、中国の5つの「核兵器保有国(nuclear-weapon states)」だけだ。インドやパキスタンなどがNPT体制を拒否して核兵器を保有しているが、正式に地位を認められたわけではなく、このような体制を指す概念として「核武装国家(nuclear-armed states)」や「核国家」などの表現が使われることもある。
つまり、相手が持つ核能力を認識することと、核保有を公式に認めることは明らかな違いがある。
北朝鮮は6回の核実験を行って核爆発能力を示し、核兵器を投発するさまざまな手段(弾道ミサイル、巡航ミサイル、放射砲など)を披露し続けている。何よりも、北朝鮮の核の脅威がないと認識すれば、米国が私たちに約束した「拡大抑止(Extended Deterrence)」の存在意義自体が消える。
北朝鮮の核の脅威に対する対応は、正確な現実認識から出発するという点で、核国家という表現自体を問題視することはできない。重要なのは、このような認識に基づき、北朝鮮の核の脅威にどう対処するのかである。
容認は、当該国が核兵器を保有し続けることを事実上許容することになる。これは、違法な核兵器保有に対する懲罰(国際制裁など)を撤回する消極的な容認から、関係正常化と協力を求める積極的な容認(米国とインドの関係のような)までさまざまな形で現れる可能性がある。
北朝鮮はインドやパキスタンと同じ道を歩むことを望むだろうが、彼らは依然として違法的な核能力を持つ体制としての立場にあるだけだ。一部では、米国が北朝鮮の核の脅威を認識する程度に出発したとしても、米朝間の核軍縮交渉を行えば、最終的に容認の道に進むことを懸念する声もある。
しかし、これはインド・太平洋地域の核ドミノ現象とNPT体制の崩壊を招く可能性があるという点で、2期目のトランプ政権が容易に選択できる選択肢ではない。ホワイトハウスがトランプ2.0時代にも完全な朝鮮半島の非核化を追求すると明らかにした理由もそのためだ。
北朝鮮の核の脅威に対応する方法は、国際制裁と外交・軍事的圧力などの圧力手段と対話・交渉を通じた変化誘導などさまざまな方法があり、歴代米政権は共通してニンジンとムチを同時に活用してきた。
現段階で私たちが集中すべきことは、2期目のトランプ政権の対北朝鮮政策が核容認に流れるかどうかという無意味な議論ではなく、取引を重視するトランプ政権の性質を活用して、米国の拡大抑止公約の強化を引き出すことだ。
北朝鮮を核国家として認識するのであれば、そのような核の脅威を管理する現実的な手段も大幅に強化しなければならない。負担分担をカードとして、戦術核の朝鮮半島への再配置をはじめとする実質的な拡大抑止措置を要求する私たちの論理はむしろ強化されるだろう。
核兵器によって欠陥だらけの体制を何とか維持しようとする北朝鮮のジレンマを韓米が一緒に攻略する構図を作ることが、北朝鮮の核の容認を阻止する最善の方策だ。
(2025年2月3日、国民日報、チャ・ドゥヒョン峨山政策研究院外交安全保障センター長)