ニュースリリース|トピックス| 2025年01月20日(月)
北朝鮮の金正恩総書記が、1月22日に予定されている最高人民会議でトランプ新政権に向けたメッセージを出すかどうか――。メッセージが出されば、今後の米朝対話の可能性とその前提条件を推察できるメドがつくと思われる。
北朝鮮最高人民会議常任委員会は2024年12月5日の総会で、1月22日に第14期第12回最高人民会議を招集することを決定した。最高人民会議は国会に相当する憲法上の最高主権機関だ。憲法を改正し、対内外基本原則を立て、国務委員と閣僚などの選出権を持つ。
とくに今回の会議は、トランプ大統領の就任2日後に開かれる。北朝鮮がトランプ大統領の就任演説を見た後、対米メッセージの内容とそのレベルを調整して発表する可能性がささやかれている。金総書記が直接会議に出席し、施政演説を通じて対米戦略を具体化する可能性があるという見方も出ている。
この場合、北朝鮮とトランプ2期政権の今後の関係を垣間見る手がかりになるだろう。北朝鮮が考える米朝対話再開の前提条件と目標が間接的にでも盛り込まれる可能性が大きいからだ。
北朝鮮はこれまでトランプ次期大統領を直接指名したり、具体的な対米戦略を明らかにせずに「慎重モード」を維持してきた。2024年の朝鮮労働党中央委員会総会で「最強の対米対応戦略」を明らかにしたが、その詳細な内容は言及しなかった。
今回の会議の議題として予告された「社会主義憲法一部条文修正」の内容が公開されるかどうかも注目される。
金総書記は2023年12月の総会で南北関係を「敵対的な2つの国家」と規定した後、領土条項の新設と「統一」表現の削除など、その後の改憲を指示したことがある。北朝鮮は2024年10月の会議でこれを反映した憲法改正が行われたことを示唆したが、具体的な内容は明らかにしなかった。
しかし、北朝鮮を取り巻く対外環境の不確実性が大きいため、対米・対南メッセージは最小化するだろうという見方も出ている。梨花女子大学のパク・ウォンゴン教授は「北朝鮮の立場では、トランプ氏に自分たちのカードを先に見せる理由はなく、まず自分たちが宣言した正面突破路線にトランプ氏がどのように反応するかをみるだろう。(対南メッセージに関しては)弾劾局面に入った韓国に対する立場を明らかにすれば、自分たちが(韓国の状況に)巻き込まれる可能性を考慮するだろう」という。
(2025年1月20日、『世界日報』)