ニュースリリース|トピックス| 2025年01月12日(日)
ドナルド・トランプの米国大統領への復帰は、韓国の自主核武装主張にも活力(?)を与えている。活力は双方向から生まれている。1つは、トランプ大統領が韓国の核武装を黙認してくれるかもしれないという「期待心理」であり、もう1つは、彼が韓米同盟を軽視し、朝鮮の核武装を事実上容認してくれるかもしれないという「不安心理」だ。
このような雰囲気を反映するように、海外では韓国が核武装に踏み切るべきだとか、その可能性が大きいという主張が浮上している。例えば、英紙「ガーディアン」の国際担当コラムニスト、サイモン・ティスダル氏もこのような見通しに力を込めた。
また、国内の核武装支持世論も強い。核武装を主張しているのは保守的な人たちだけではない。進歩(革新)的志向の人たちも「そろそろ考える時期が来た」という趣旨の発言をする場合がよく見受けられる。
韓国を取り巻く安全保障環境を見れば、核武装論が強まるのも理解できる。韓国は公式的な核保有国である中国およびロシアに隣接しており、非公式だが事実上の核保有国である朝鮮と休戦線を接している。
韓中関係の悪化と米中戦略競争が重なり、国内では「中国脅威論」も高まっている。ロシアは非核化を選択したウクライナを侵攻した。朝鮮は条件付き先制核使用ドクトリンを公式化した。国内では「果たして米国の核の傘を信頼できるのか」という疑問が持続的に提起されており、トランプは在韓米軍の撤退も示唆している。このような状況展開は、韓国も核武装すべきだという主張の根拠となっている。
しかし、こうなればなるほど冷静にならなければならない。独自の核武装はさまざまな観点から議論し、検討すべき問題だが、ここで欠かせない問題が「時差」だ。トランプ政権が韓国の自主核武装を容認するかどうかは不明だが、仮にそうだとしても、2期目の任期は2029年1月までだ。
無理だと思うが、トランプが韓国の核武装を容認する時期を2026年1月と仮定すると、1次的に韓国に与えられた時間は3年程度である。トランプ次期政権が韓国の核武装を容認するかどうかが不透明だからだ。
しかし、韓国が朝鮮に匹敵する核能力を確保するためには、10年以上が必要だ。これと関連し、独自の核武装を主張してきた代表的なメディアである「朝鮮日報」が運営する「月刊朝鮮」は2024年2月号で、国内の原子力専門家を引用し、10個の核兵器を作るのにも10年程度かかると報じた。2025年から開発に着手すれば、2035年頃にようやく10個程度を手にすることができるというのだ。
この頃になると、朝鮮の核兵器保有量は200個水準になるだろう。
韓国が核武装を本格的に推進すればするほど、朝鮮半島の危機が高まる可能性が非常に大きいという点を認識することも重要だ。朝鮮はもちろん、中国とロシアも強く反発するだろうからだ。そうなれば、韓国の在韓米軍をはじめとする韓米同盟への依存度はさらに大きくなる。トランプ大統領を説得して在韓米軍を撤退させるとしても、韓国の核武装の後にしてほしいということだ。
トランプ大統領がこれを受け入れるかどうかは不明だが、もし受け入れるとしたら、どのような要求をするだろうか。防衛費分担金の大幅な引き上げをはじめとするさまざまな請求書を提示するだろう。独自核武装の推進が対米自主性を増進するのではなく、核武装を決意した瞬間、対米従属性がさらに強くなるしかないということだ。
韓国がトランプ大統領の任期内に有意義な核武装に到達する可能性がないだけに、次期米政権がどうなるか分からない。強大な権限を持つ米国議会が韓国の核武装に同意してくれるかもわからない。
そこで見なければならないのが米国の法制度だ。米国は核兵器開発を試みる非核国家に対して制裁を課すことができる広範な法的・制度的装置を持っている。また米国大統領でさえ、このような制裁法の執行を拒否する権利を持っていない。それだけ米国の制裁法は強力だということだ。
もちろん、例外はある。米国大統領が米国の国家安全保障上の利益が同盟国の核兵器開発に伴う非拡散体制の毀損より大きいと判断した場合、一部の制裁が猶予・解除されることがある。しかし、この部分においても米国大統領の権限は限定的である。代表的な制裁法であるグレン修正法には「ウェーバー条項」がないため、同盟国に対する制裁を猶予・解除するためには議会の法改正が必要だからだ。
これは、核武装に踏み切った韓国が米国の制裁を免除されるためには、政権はもちろん、議会の同意とそれに伴う法改正も必要であることを意味する。
国際社会には米国だけではない。昔より弱くなったと言われるが、核不拡散は依然として強力な国際規範である。韓国が核武装するためには、核拡散不拡散条約(NPT)と国際原子力機関(IAEA)から脱退しなければならない。韓国がこのような選択をすれば、朝鮮に続いてNPT史上2番目になる。
NPTから脱退すれば、国連安全保障理事会への回付は避けられない。米国が拒否権を行使して国連レベルの制裁を回避しても、韓国の核武装に反対する国々の制裁は避けられない。貿易依存度が80%を超え、国際金融市場に深く組み込まれており、すでに低成長の沼に陥っている韓国経済が大きな災難に見舞われる可能性があるということだ。
これらの点を総合すると、韓国が非核国家から核武装への「転換の谷」を越えようと決心すれば、その谷に陥り、長い間低迷する可能性が非常に高い。たとえ谷を越えたとしても、より暗い世界が広がっているだろう。経済的には非常に疲弊し、政治・社会的には極端な南北対立の後遺症に悩まされるだろう。韓国の安保の根幹である韓米同盟にも不確実性が大きくなるだろう。
韓国が手にした核兵器も朝鮮より多くないだろう。独自にウラン鉱山から核兵器製造まで「核兵器完成サイクル」を持っている朝鮮は、現在100個近い核兵器を保有しており、毎年10個前後を増やすことができるからだ。 また、韓国が本格的に核武装に踏み切れば、ロシアが朝鮮の戦略兵器開発支援に乗り出す公算も大きくなる。何よりも恒常的な核戦争の恐怖が韓半島を徘徊することになるだろう。
では、代替案は何なのかという反問が出てくるだろう。詳細は次の記事で説明するが、2つの妄想から抜け出すことが重要であることを強調したい。1つは、朝鮮がいつでも核兵器を使用できるという「被害妄想」であり、もう1つは、韓国が思いさえすれば簡単に大量の核兵器を作れるという「誇大妄想」である。
これを強調する理由は、このような妄想の最大の被害者はまさに韓国になる可能性があるからだ。
(2025年1月8日、プレシアン、鄭旭湜)