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【トランプ新政権】韓国政府の前にある3つの選択

ニュースリリース| 2024年11月12日(火)

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 ドナルド・トランプが帰ってきた。裁判所からの2度の有罪判決、暗殺の危機、さまざまなスキャンダルにもかかわらず、4年ぶりにホワイトハウスのオーバルオフィスを再び占めることになった。

 共和党が上院に続き下院まで支配する可能性が高くなり、その場合、国政運営に大きな弾みがつくという点まで考慮すれば、まさに「トランプの奇跡」と言わざるをえない。

 トランプの当選は世界的に悲喜こもごもを生み出している。ウクライナのゼレンスキー、ヨーロッパのNATO諸国、パレスチナ・イランとその同調勢力は、トランプ2.0時代の外交政策基調の変化に対して大きな脅威を感じている。

 一方、イスラエルのネタニヤフやロシアのプーチンは、トランプ政権の発足を内心歓迎するだろう。簡単な外務省の論評以外、とくに反応を示さない中国は緊張している様子が伺える。韓国にはどのような影響があるだろうか。

 トランプ2期の朝鮮半島政策を予断するのは難しい。まずは内閣と参謀陣の構成の性格をもう少し見守る必要がある。

 第2期政権では大きく3つの派閥が競合するものと思われる。まず、トランプ大統領と彼の忠臣たちが標榜する取引主義派だ。価値より実益を重視し、すべての外交関係は損益計算に基づいて行わなければならず、そのために外交的な取引を行うという人たちだ。

 次に「アメリカを偉大にする」(MAGA)派だ。彼らもトランプ忠誠派だが、アメリカの国際介入に反対し、国益が深刻に侵害されない限り、戦争はいけないという視点を堅持する。ジャクソン主義的孤立主義の性格が強い。

 最後に、共和党強硬主流派で構成される「ネオコン」派閥である。アメリカ至上主義」(American primacy)とともに、アメリカ的価値を全世界に拡散させるためには武力使用も辞さないという主張を展開する。トランプ2期の外交安全保障政策は、取引主義が主流だが、これら3つの派閥の相互作用によって決定されると予想される。

 誰がトランプ2期の外交・安全保障政策を左右しようとも、韓米同盟の現在と未来に大きな影響を与えるだろう。何よりも、尹錫悦政権が強調してきた「民主主義連合による価値同盟」の未来は不透明だ。

 外交的成果として誇ってきた拡大抑止、統合抑止の強化が持続するかどうかも定かではない。とくに、北朝鮮の脅威認識と大衆の脅威認識の間のギャップが大きくなり、韓米の抑止戦略の性格も変わる可能性がある。

 韓米連合軍事訓練の強度と頻度はもちろん、戦略兵器の前進配置にも変化があるかもしれない。これに必要な費用を韓国側が分担しなければ、縮小または中止するという脅しが繰り返されるだろう。最近、尹政権がバイデン政権と成功裏に合意した防衛費分担合意を無力化し、その費用を現在の10億ドルから100億ドルまで増額するよう要求する可能性もある。やはり在韓米軍の削減または撤退を交渉カードとして活用しようとするだろう。

 北朝鮮問題も大きな変数として作用するだろう。トランプは何度も金正恩との直接取引の意思を明らかにしたことがある。とくに、トランプがプーチンとのビッグディールを通じてウクライナ問題を解決する場合、プーチンの助けを借りて金正恩を説得することもできるだろう。

 このように米朝関係に新たな突破口が開かれれば、尹政権の対北朝鮮強硬政策との摩擦は避けられない。ここで懸念されるのは、トランプ政権2期中に北朝鮮の核保有を容認した対北朝鮮交渉が行われたり、北朝鮮の拡大抑止に支障が生じれば、韓国独自の核武装への意志がさらに強まり、トランプ政権はこれを容認するようなジェスチャーを取る可能性があるという点だ。

 これは韓国の核武装を超え、北東アジアの核ドミノ現象を加速させ、この地域の戦略的安定を大きく損なう可能性がある。

 経済問題にも悪影響が予想される。対外経済政策研究院の最近の報告書によると、トランプ政権の関税政策で韓国の全体輸出額は約222億~448億ドル(約31兆~62兆ウォン)減少する可能性があるという。代替需要への対応や輸出転換が円滑に行われなければ、実質国内総生産(GDP)が0.29~0.67%ポイント低下する可能性があるという話だ。

 半導体法とインフレ削減法に基づいて対米投資を決定した韓国企業に対する補助金支給が削減または中止される場合、経済的負担はさらに大きくなる。トランプ2.0は、慢性的な貿易収支赤字を理由に韓米自由貿易協定の改定を要求する可能性もある。

 明らかなのは、トランプ政権2期が韓国政府に大きなプレッシャーを与えるという事実だ。これと関連し、アメリカの経済学者アルバート・ハーシュマン教授が提示した離脱(exit)、抗議(voice)、忠誠(loyalty)という3つの選択肢は示唆に富む。

 以前のような忠誠一辺倒の政策は、果たして代案になるだろうか。アメリカに対する抗議、さらには離脱まで考慮できる覚悟と知恵はあるのか。 見守りたいところだ。
(2024年11月11日、ハンギョレ、文正仁・延世大学名誉教授)


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