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米朝首脳会談・次の段階へ進めるか

ニュースリリース|トピックス| 2024年11月11日(月)

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 アメリカ大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利した。2016年に彼が当選した際にはアメリカ政治の一時的な「逸脱」だと思っていたが、彼が再選したことで「トランプ主義」が「日常化」しているという診断まで出ている。

 トランプが選挙人団だけでなく全国得票率でも先行し、共和党が上院はもちろん下院まで席巻する可能性が高いという点で、さらにそうなるだろう。

 トランプの帰還でよく聞かれる質問は、「米朝首脳会談が再び開かれるのか」というものだ。

 私の予測は、2025年には「中」程度、2026年には「高」である。では、成果は?金正恩政権と第2期トランプ政権は「相互に満足できる合意」に達すると思われるが、韓国では評価が分かれる可能性が大きい。

 もちろん、相反する予測も可能だ。まず、対北朝鮮政策自体がトランプ政権1期の時とは異なり、2期では対外政策の優先順位の上にあるとは言い難い。トランプが「24時間以内に終わらせる」と約束してきたウクライナ戦争問題が最優先事項だ。

 悪化の一途をたどっている中東紛争も同様だ。米中戦略競争で勝利するという意志は、戦略的上位順位に該当する。また、韓国と朝鮮(北朝鮮)の対立も大きい。第1期トランプ大統領の時は、文在寅政権が米朝首脳会談の積極的な仲介者になったが、尹錫烈政権は北朝鮮への強硬姿勢から一歩も脱していない。

 アメリカとの関係正常化を最優先目標として首脳会談に臨んだ金正恩政権は、対米交渉期限として提示した2019年が過ぎると、迷いを捨て、「安全保障は核で、経済は自利更生と自給自足で、外交は中国・ロシアと行う」という「新しい道」を歩んできた。

 それにもかかわらず、米朝首脳会談が開催される可能性が高いと見る理由は何か。

 まず、金正恩総書記と会談することで問題を解決するというトランプ大統領の意志は一貫しており、かつ確固たるものである。彼は政界入りを模索していた2010年代初頭から米朝首脳会談が必要だと主張しており、2016年の大統領選挙の際、ヒラリー・クリントン候補側から「親北主義者」と非難されても、その信念を曲げなかった。

2024年の大統領選挙期間中も同様で、とくに7月中旬の共和党全党大会での大統領候補受諾演説で「私は北朝鮮の金正恩とうまくやっていた。われわれは北朝鮮のミサイル発射を中止させた」と主張した。

 続けて「今、北朝鮮は再び挑発を続けている。多くの核兵器を持っている誰かと仲良くするのはよいこと」であり、「私たちが再び会えば、私は彼らと仲良くなるだろう」と強調した。

 彼の側近は「トランプ氏は就任と同時に『非常によい人』を北朝鮮特使に指名する予定だ。彼を早く平壌に送り、首脳会談に進展させる方策を議論するだろう」と話したこともある。

 このようなトランプ大統領の所信と優先順位にあるウクライナ戦争や米中戦略競争など、他の外交政策の間に矛盾が生じる可能性はある。しかし、これらの事案と北朝鮮政策は「連結された問題」である。

 トランプがウクライナ戦争を終わらせるためには、伏兵として浮上した朝鮮の派兵問題も視野に入れるしかない。北朝鮮との対話のチャンネルが完全に閉ざされたバイデン政権が「慌てずに懸念を表明するだけ」なら、トランプは「金正恩との親交」を掲げて、「北朝鮮特使派遣などを通じて北朝鮮の派兵問題を解決できる」と出てくるかもしれないということだ。

 また、米朝関係の改善が中国との戦略競争で優位に立つことに貢献し、アメリカ内で超党派的に出てきている戦略的懸念である「中国・ロシア・朝鮮・イランの連帯」を防ぐことができると見ることもできる。

 しかし、外交は相手がいるゲームだ。トランプが首脳会談を打診しても、金正恩が応じるかどうかは不透明だ。実は、「対米関係正常化の放棄と対米長期戦への突入」を核とする朝鮮の大転換は2019年末から、つまりトランプ1期中期から起こった。そして、かなりの成果を上げていると自画自賛している。

 このような朝鮮の転換は、「アメリカの対朝鮮敵視政策」の目に見える変化が先行しない限り、簡単に変わることはないだろう。同時に、トランプの再登場は金正恩の戦略的計算法にも影響を与えるだろう。その予告編はすでに出てきている。

 アメリカ大統領選挙と関連して、現在までに北朝鮮から出てきた立場は2つある。1つは、7月23日、朝鮮中央通信がトランプ大統領に向けて「公は公、私は私」とし、「アメリカは朝米対決史の得失について考えて正しい選択をした方が良いだろう」と論評したことだ。これは、金正恩が2018〜2019年に築いたトランプ氏との個人的な絆が米朝関係を新たに変えることができる「神秘的な力」と考えたことに対する誤判断を繰り返さないという意味だ。

 もう一つは、8月4日に出た金正恩の発言だ。彼はアメリカに向けて「対話も対決も私たちの選択になるが、私たちがより徹底的に準備しなければならないのは対決だ」と述べた。対決に傍点が置かれていたが、彼が対話に言及したのは2021年6月の労働党全員会議以来、3年2カ月ぶりだ。

 これを見る限り、朝鮮はトランプ氏の当選を機に対外戦略路線の再検討に入る可能性がある。まず、「公私の区別」を強調したのは、二度と間違いを繰り返さないという意味もあるが、公と私がどれだけ一致するか見守るという意味も含まれている。

 朝鮮は、米朝首脳会談プロセスが失敗に終わったのは、当時のマイク・ポンペイオ国務長官とホワイトハウスのジョン・ボルトン安全保障補佐官など「Xマン」の策略が大きかったと見ている。これにより、朝鮮は米朝首脳会談を急ぐよりも、トランプ2期の外交・安全保障チームの構成と立場を先に見守るだろう。

 ところで、トランプは第1期で「おいぼれ」、あるいは「抵抗勢力」と呼ばれた非トランプ派を最大限排除し、第2期には「忠誠派」で参謀陣を構成する可能性が確実視される。これにより、第2期トランプ政権の対北朝鮮政策の「内部的均質性」は第1期よりも強くなるだろう。

 何よりも朝鮮は、トランプ大統領の復帰が自らの目標を実現するきっかけとなるかどうかに注目するだろう。朝鮮の目標は、最近強調してきた「戦略国家」と「戦略的バランス」、そして「国際秩序の多極化」に答えを見つけることができる。この3つの目標を包括するのが、核保有国としての地位を確固たるものにすることだ。

 すでに核武力法制定と憲法改正を通じて国内的な手続きを終えた朝鮮は、外部からもこのような地位を確保しようとしている。ロシアのプーチン大統領はすでに朝鮮を核保有国として認めている状況だ。

 金正恩政権はこれをテコに、中国の習近平政権にも核保有国認定を要求しているが、これが最近、北中関係に冷ややかな空気が流れている本質的な理由である。ところが、「核保有国の指導者と仲良くするのはよいこと」と発言してきたトランプがアメリカ大統領になった。金正恩としては、もう1つのチャンスの窓が開かれていると考えるはずだ。

 おそらく、ウクライナ戦争が停戦・終結すれば、朝ロ関係も調整に入るだろう。そして朝鮮はアメリカと中国を同時に見るだろう。米朝首脳会談はそのための有力なカードとなりうる。

 2018〜2019年に金正恩とトランプが3回会談した際、これまで一度もなかった金正恩-習近平の首脳会談は5回も行われた。再び米朝首脳会談のプロセスが進めば、中朝関係も冷や汗をかいて強化される可能性があるということだ。

 とくに、金正恩がトランプ大統領から北朝鮮の限定的な核保有を容認されれば、習近平を説得しやすくなるだろう。これにより、朝鮮は核保有国の地位を確固たるものにしつつ、「朝ロ同盟維持・中朝関係強化・米朝関係改善」というこれまで経験したことのない戦略的地位を築くことができる。

 では、第2期トランプ政権が推進すると思われる米朝首脳会談に、朝鮮が呼応する時期はいつになるのだろうか。この点では、朝鮮の政治日程も重要だ。

 トランプ大統領が就任する2025年は、朝鮮が2021年の第8回党大会で宣言した国家発展5カ年計画の最終年に該当する。これにより、2025年は5カ年計画の目標達成に総力を注ぎ、2026年に開催されるとみられる第9回党大会を機に対米戦略の輪郭を明らかにするだろう。第3回米朝首脳会談が2026年に開かれると予想されるからだ。

 もちろん、その時期が早まる可能性もある。トランプ大統領が就任直後に北朝鮮特使を打診し、北朝鮮が呼応して米朝首脳会談の条件と環境に共感を得れば、来年にも開催される可能性がある。

 米朝首脳会談が開かれれば、「相互に満足できる合意」に達する可能性も存在する。「シーズン1」では、トランプ氏は完全な非核化で、金正恩氏は対北朝鮮制裁の解決で「早期収穫」を望んでいた。これに対し、「シーズン2」では非核化と制裁が最大の議題にはならないだろう。

 北朝鮮が非核化を議題とする交渉に同意する可能性も皆無であり、アメリカ内でも非核化は当面は現実的な目標ではなく、まずは軍備管理から推進すべきだという声が高まっている。

 また、制裁解決を切望していた朝鮮は2021年の党大会で、制裁を自力更生と自給自足を実現する「よい機会」と位置付けを変えた。朝鮮にとって制裁解決が「憧れの対象」から「不感症訴願」に変わったので、朝鮮が対米交渉で制裁解決を先に強く提起することはないだろうということだ。

 では、相互に満足できる合意はどのようなものだろうか。アメリカ第1主義」を掲げてきたトランプ大統領は、朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)問題に大きな関心を示すだろう。肝心なのは、どのレベルまで目標値を設定するかにある。

 最も低いレベルの目標は、朝鮮にICBM発射の中止を約束してもらうことであり、最も高いレベルの目標は、朝鮮が保有するICBMの廃棄といえる。前者は朝鮮の受け入れ可能性があるが、後者は短期的にはない。そのため、ICBM試験発射中止の「プラスアルファ」が重要になる可能性がある。これには、ICBMの凍結、核実験の中止と風渓里核実験場の完全閉鎖、そして寧辺核施設の廃棄など、追加的な核兵器生産の中断があるだろう。

 そして、これに対する対価措置としては、韓米連合訓練とアメリカの戦略資産展開の中止や縮小、対北朝鮮制裁の緩和と米朝関係の改善、韓半島の緊張緩和策、さらには停戦体制の平和体制への転換などが議論される可能性がある。

 要点は、米朝が非核化の代わりに軍備統制や核削減協議に重点を置く可能性が高いということだ。これをめぐって、国内では陣営を越えて「最悪のシナリオ」や「悪夢」と言う人が多い。また尹錫悦政権が北朝鮮のアプローチを牽制するために「非核化は韓米共同の 目標」とアピールし、トランプが望む防衛費負担金の引き上げや対米投資の拡大などに同意してくるかもしれない。

 しかし、われわれにとって最悪の事態は戦争だ。次なる悪は軍拡競争と戦争危機の高まりだ。最善が当面不可能であれば、軍備統制という次善の策への拒否感を捨てるべき時ということだ。
(2024年11月11日、ハンギョレ、鄭旭湜コラム)


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