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【トランプ新政権】トランプの再登場で困る韓国、切り札持つ北朝鮮

ニュースリリース|トピックス| 2024年11月08日(金)

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世界中が注目したアメリカ大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利した。共和党は政権交代だけでなく、上下院も席巻した。 トランプ主義」の威勢が猛威を振るうことを予感させるところだ。

朝鮮半島問題と関連し、最優先的な関心事は米朝首脳会談が再開するかどうかだ。トランプ氏は大統領選挙期間中、金正恩総書記との親交を誇示し、首脳会談を推進する意思を明らかにした。

2024年7月中旬の共和党全党大会の大統領候補受諾演説でも、「私は北朝鮮の金正恩委員長とうまくやっていた。われわれは北朝鮮のミサイル発射を中止させた」と主張した。続けて「今、北朝鮮は再び挑発を続けている。多くの核兵器を持っている誰かと仲良くすることは良いこと。私たちが再び会えば、私は彼らと仲良くなるだろう」と強調した。

彼は2016年の大統領選候補当時にも、金正恩との会談意志を強く表明していた。これをめぐって競争相手であったヒラリー・クリントン候補側から「親北主義者」と追い詰められたが、トランプ大統領は所信を曲げなかった。 そして、数多くの火種と論争の中で、具体的な成果は出せなかったものの大統領として金正恩氏と3回も会った。

この時点で、米朝首脳会談で問題を解決しようとする意志は、トランプ氏の信念と言っても過言ではない。トランプの側近たちも就任直後から首脳会談を推進すると明らかにしている。

このような内容を総合すると、トランプ大統領は任期初期から米朝首脳会談に向けて歩みを進めるとみられる。しかし、外交は相手がいるゲームだ。強硬姿勢の金正恩政権がこれに応じるかどうかはまだわからないということだ。

それにもかかわらず、金正恩政権がもう1つのカードを握る公算は大きくなった。2019年から「南方外交」の扉を固く閉ざし、「北方外交」に方向転換した朝鮮(北朝鮮)は、中朝血盟関係の回復を経て、現在は調整期に入った。 また、ロシアとは戦略的な同盟関係の樹立に向けて進んできた。

これを足がかりに、朝鮮はロシアがそうであったように、中国にも自分を核保有国として認めてほしいと要求しているようだ。鴨緑江を挟んで流れる北中関係の冷え込みが、まさにこの点にあるということだ。

このような状況で「ラブレター」を交わしたトランプ氏の復帰は、金正恩政権が戦略的な絵を描き直すきっかけになる可能性がある。それは、トランプから核保有国の地位を黙認されれば、核保有国の地位を固めることができると判断できるからだ。

大統領選挙を控え、民主党も共和党も正統政策に非核化を盛り込まず、トランプが大統領選挙期間中、「核保有国の指導者と仲良くすることは良いことだ」と発言したことも、朝鮮の期待を高める背景となるだろう。

おそらく、トランプ政権が米朝首脳会談を打診してきた場合、金正恩政権は「非核化要求の除外」を首脳会談成立の核心的な条件として提示するだろう。これにトランプ大統領がどのように反応するかはわからないが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の制限など、北朝鮮の核凍結と引き換えにこれを受け入れる可能性もある。軍備統制が米朝関係の核心議題として浮上する可能性があるということだ。

トランプ大統領の帰還で最も困った立場に追い込まれるのは、尹錫烈政権だろう。尹政権は金正恩を「悪魔化」することに余念がないが、トランプは金正恩との「親交」を誇示する。尹政権は金正恩政権を「打倒の対象」と見ているが、トランプは「仲良くすべき相手」と見ている。

また、尹政権は「価値同盟」を強調してきたが、トランプは「金儲け」を重視する。ユン政権は韓米(日)合同訓練とアメリカの戦略資産配備を成果として掲げてきたが、トランプ大統領はこれを好ましく思っていなかった。

尹政権は「輸出」にさらに依存しようとしているが、トランプは「関税爆弾」を予告しているため、経済不安も大きくなるだろう。尹政権はウクライナの「勝利」を支援するというが、トランプ大統領は「終戦」を目指すという点も見逃せない違いだ。

過去にも韓米間には、北朝鮮に対する認識や政策をめぐって対立があった。2000年代初頭の金大中、盧武鉉政権とジョージ・W・ブッシュ政権の事例が代表的だ。しかし、今回のような極端で、しかも逆転した齟齬を予感させるケースは初めてだ。

とくに、トランプ氏の気質と「忠誠派」で満たされる彼の参謀陣を考慮すると、トランプ政権が尹政権の立場を尊重するとは思えない。

これにより、南北・米韓米三角関係は重大な岐路に立たされた。南北関係最悪→韓米関係結束→米朝関係破綻と規定できる現在の局面が調整期に入る公算が大きくなったということだ。

加えて、日朝首脳会談を着実に打診してきた日本が、トランプの大統領就任をきっかけにこれに弾みをつける可能性もある。尹政権が追求してきた対北朝鮮強硬基調の韓米日という結束が、「長兄」に当たるアメリカの政権交代で大きな挑戦に直面することになるということだ。

では、尹政権は何をすべきなのか。できることから始めればいい。「輸出だけが生きる道」という古いスローガンに固執するのではなく、財政政策を通じた内需振興に努めなければならない。

逆効果が証明された北朝鮮へのビラ散布と拡声器放送を中断し、朝鮮の対応を強く要求すべきである。このような「双方向中断」は南北関係の安定化に貢献することで、トランプ第2期出発に向けたよい準備作業となる。

また、ウクライナへの武器支援や派兵の検討を中止し、国際社会の一部で起きている停戦・終戦の努力に参加すべきである。

このような選択は、いずれも政府が心さえあればできることだ。また国益と民生、そして国民の安全のためにすべきことでもある。
(2024年11月8日、プレシアン、鄭旭湜)


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