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ウクライナ発「北朝鮮軍派兵」情報はフェイク?

ニュースリリース|トピックス| 2024年11月05日(火)

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 親ウクライナチャンネルや民間団体が北朝鮮軍のウクライナ戦争「参戦」に関する証拠が連日流している中、専門家らはこれらが「フェイクニュース」あるいは「心理戦」の一環ではないかとの指摘が出ている。

 最近、親ウクライナの非営利団体(NGO)ブルー・イエローと各種テレグラム内のチャンネルでは、北朝鮮軍が戦場に投入されたという写真や映像が相次いで流されている。アメリカのホワイトハウスは「北朝鮮軍の投入はまだ行われていない」という立場だが、写真や映像の公開が続いている。

 前後が合わない情報

 親ウクライナのテレグラムチャンネル「ExileNova」は2024年10月31日(現地時間)、「クルスクでの警告」として、負傷した北朝鮮軍だと主張する2分間の映像を公開した。頭に血まみれの包帯を巻いた男性が「ロシアの犬○○たちは攻撃前に何の偵察もせず、私たちに武器も与えなかった」と言い、むやみに攻撃に突入し、自分以外のすべての北朝鮮軍が死亡したと話した。

 同メディアは、この男性が「クルスクの唯一の生存者」だと伝えた。先にブルー・イエローというチャンネルは10月25日、クルスクで北朝鮮軍40人が投入され、1人を除いて全員が戦死したと主張していた。まるでこれを裏付けるような「証拠物」のように映像が拡散した。

 11月1日にもテレグラムを通じて北朝鮮軍の戦闘食糧という写真などが公開された。缶詰に犬の肉のことを示す文字が鮮明に写っている。北朝鮮軍が食べるものだとか、ロシア軍が何なのかも知らずに食べているという軽蔑的な説明も付け加えた。

 ブルー・イエローのヨナス・オマーン代表は11月3日(韓国時間)、韓国メディアとのインタビューで、北朝鮮軍がすでに戦場に投入されたと繰り返し主張し、「死亡者が北朝鮮の国旗がついたヘルメットをかぶっていたことをウクライナのドローンが確認した」と話した。彼は10月28日、リトアニア公共放送LRTとのインタビューでは、北朝鮮軍がすでに戦場に投入された証拠として、ウクライナの兵士が北朝鮮の国旗を手にしている写真を公開した。

 テレグラムの親ロシアチャンネルとして知られる「Z作戦-ロシアの春の軍事特派員」でも、クルスクにロシア国旗と北朝鮮国旗がともに羽ばたいている写真を公開し、世界中に広まった。ちょうど国家情報院が北朝鮮軍の派兵を公式化するプレスリリースを出した後だったので、その写真を掲載したマスコミ報道まで大々的に流れた。

 「相互確認されていない情報」を前提としていたが、国情院が派遣を公式化し、その後の対応手続きが迅速に展開されていたため、冷静な検証を経る暇もなく、流されるように視覚資料を伝えるケースが大半だった。

「不器用な心理戦」「官製ビジネス」

 しかし、北朝鮮軍が派兵を認めておらず、今後も認める可能性が低い中、北朝鮮兵士が自国の国旗をヘルメットに表記したり国旗を掲げているのは不可解だ。戦場のど真ん中に国旗をおいたというのも腑に落ちない。北朝鮮には「犬肉」(ケコギ)という言葉は使われず、「甘肉」(タンコギ)と言うこと、「ジューシー」などの表記もすべて北朝鮮式表記ではなく、頭音法則を適用する韓国式表記である。包装紙を印刷した字体も、北朝鮮ではなかなか見られないもので、韓国でよく使われる明瞭なゴシック体と思われる。

 韓国・統一研究院のチョ・ハンボム研究委員は11月4日、最近流れたソーシャルメディアと民間団体の公開情報について、「すべてねつ造」と断言した。彼は、唯一のクルスク生存北朝鮮軍だと公開された動画について「ウクライナ政府は人民軍捕虜を捕まえるのが今の願いだが、そのような捕虜を捕まえたら、国際的に北朝鮮派遣を主張する証拠になるため、北朝鮮軍の所属、名前など身元がすべて出てくるだろうし、それを公式発表すればいいことだ。なぜ政府が公開せず、民間団体が公開するのか」と話した。

 また、「脱北者も当該映像の中の男性の訛りが違う。その男性が話す内容もウクライナ政府が望む話を正確に伝えている」と話した。

 チョ研究委員は「北朝鮮が派兵を公式に認めたわけでもなく、北朝鮮軍もロシア軍服を着ているのになぜ国旗をつけるのか。こんな情報を流しているのは、民間団体ではなく心理戦部隊だと思う。ウクライナ政府の心理戦部隊か、あるいはそこからの支援を受けている人たちが流しているのかのどちらだろう」と述べた。

 アン・チャンイル世界北朝鮮研究センター所長は「ウクライナの黒色宣伝、謀略心理戦。多国籍軍でもなく、傭兵なのに国旗を掲げるのはおかしい。ウクライナが黒色宣伝をしているようだが、非常に未熟に見える」と指摘する。彼は「人工旗を掲げることで、国際社会に向けて北朝鮮の派遣を確定事実化し、そうすればNATOが派遣してくれると思っているようだが、北朝鮮の国旗を掲げているのを見た瞬間、北朝鮮の参戦を浮き彫りにしようとする黒色宣伝、あるいはウクライナがふざけているのかと思った」と話す。

 ウクライナ政府の黒色プロパガンダなら、国際社会を相手にうそをついたという外交的負担を負うことになるが、それが可能なのかという質問にアン氏は、「戦争状況で戦時国家は最後の手段まで動員するため、冷静に判断して結論を出すこのようなシステムがうまく機能しない」と言う。 また「心理戦担当者がいちいちゼレンスキー大統領の決裁を受けることもできず、そうではないかと思う」と述べた。

混乱した情報で世論化・政策決定を懸念

 北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は、「誰が見てもフェイクニュースであることは明らかであり、心理戦とも言えるのかどうかというレベル」と話した。彼は「特定の行為を通じて相手の士気を低下させたり、恐怖を与える効果があるはずだ。『北朝鮮軍』の負傷した姿を見せることで、戦場に行く人々の気を削ごうとする側面なら心理戦かもしれないが、今、戦闘兵がいるのかどうかさえ疑問が残る状況ではないか」という。

 彼は「戦闘兵がいることが明確で、投入されていない状況でなければ、恐怖を与える心理戦を行っているといえる。しかし、現在は北朝鮮軍が戦場に行くか行かないかもわからない状況であり、ロシアに行ったという存在が戦闘兵なのかそうでないのかもわからない。もしロシアに行った人がいると仮定しても、戦闘兵でなければ心理戦ではない」とした。そう考えると、「さまざまな点で(心理戦と言える)基準に満たない」と判断する。

 キム教授は「国家的なレベルの世論戦ならもっと精巧で緻密なものにしなければならないのに、国際社会を相手にうそをつくという外交的な負担を背負ってこんなことをするはずがないと思う。ウクライナ政府が仕組んだ団体とみなすのも難しい。ただ、何か関心を引いて利益を得ようとするチームがいて、フェイクニュースを作り出していると思う」と話した。

 さらに「国家的なレベルであれば、政治力や他のものを得ようとすることが多いはずだが、例えば、戦況を知らせて早く韓国に殺傷武器や対空兵器を与えるためだとしても、内容的に韓国側でフェイクニュースだとわかるようなもの、むしろ疑惑を買うような行為をすれば、韓国政府がウクライナ政府を助けたいと思っても、世論上、あのような確認されないことが飛び交う中、むしろ役に立たない。ウクライナ政府はバカなのか」という。

 彼は「民間団体はイシューになる状況で注目を集め、自分のネームバリューを上げ、地位を高めようとする行為であり、(目的は)お金になることもあれば、何か他の目的のものかもしれない」と話した。混乱した情報が溢れ、これに基づいて世論が形成され、安易な政策決定につながる可能性がある状況は、むしろ北朝鮮に有利だと付け加えた。

 キム教授は「むしろ、北朝鮮がこのような局面を活用する余地が大きく、今流行っているフェイクニュースをいちいち否定する必要もないだろう。曖昧性を維持しながら、相手が先にある行為をすれば、北朝鮮が事実を明らかにする証拠を提示し、相手が先に行動したからわれわれも行動したのだと言える状況だ、「曖昧性を与えながらわれわれに餌を投げているように見える」と話した。

 また、「罠に陥った瞬間、ある事実を明らかにすれば、非常に恐ろしい餌になる可能性がある。アメリカ政府も否定しているのに、韓国政府が先に戦争を既定事実化して次のステップを踏み出し、後でそうではないことが判明すれば、韓国政府だけが責任を負わなければならず、追い詰められることになる」と話した。

 前出のブルー・イエローとは、2014年からウクライナ軍を支援してきたリトアニア所在の非政府組織(NGO)として知られている。イ・イルウ自主国防ネットワーク事務局長はアメリカの自由アジア放送(RFA)とのインタビューで、この団体について「戦争勃発後、募金を通じてウクライナに各種支援を提供している団体だが、かなり長い間支援を続けてきた団体であるため、ウクライナ軍と情報機関に相当な情報源を持っていることが知られている」と話した。
(2024年11月5日、世界日報)


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