ニュースリリース|トピックス| 2024年11月03日(日)
2017年4月、アメリカ軍はアフガニスタン・ナンガルハル州の洞窟地帯に超大型爆弾GBU-43を初めて実戦投下した。洞窟の奥深くに過激武装勢力イスラム国(IS)が潜伏していた。
戦術核に匹敵する威力のGBU-43は「爆弾の母」と呼ばれ、当時まで非核爆弾の中で最も強力だった。爆発半径1.6キロメートル、跡形もなく消える半径は300~500メートルだ。攻撃後、ドナルド・トランプ大統領は「非常に成功的だった」と評価し、実際に洞窟の中のIS隊員が全滅した。当時、海外メディアは北朝鮮にも「警告」メッセージを与える意図があったと伝えた。
2024年の国軍の日に「モンスターミサイル」玄武-5が初めて公開された。既存の最も強力なミサイルが弾頭重量2トンの玄武-4だが、玄武-5は8トンで世界最大規模だ。発射管の長さだけでも20メートルだ。
北朝鮮が先制攻撃した場合、反撃時に使用する大量膺懲報復(KMPR)手段だ。玄武シリーズは北朝鮮の指揮部が潜伏している地下バンカーを破壊するミサイルとして開発されたが、玄武-5の登場はその意味を超えている。
あまりにも強力な爆発力で北朝鮮指導部の居住地域や主要軍事施設を壊滅させることができると言われている。玄武-5がどの程度の武器であるかを推定できる逸話が、文在寅・前大統領の回顧録に掲載されている。
2017年6月、文大統領は国防科学研究所の試験場を訪れた。 玄武-2の試験発射があった日だ。当時のミサイル研究室長は発射成功後、大統領の前で感激の涙を流した。
玄武-2は射程距離800キロメートル、弾頭重量50キログラムだ。研究室長は大統領に「私たちが2トンだけ積んで撃てば核爆弾に匹敵する」と述べ、アメリカが阻止していた射程と弾頭重量制限を解除してほしいと要請した。
その後、文大統領はトランプ大統領と後任のジョー・バイデン大統領を粘り強く説得し、2021年5月、ついにミサイル指令の終了を導き出した。射程距離と弾頭重量制限が解除された。
その結果、GBU-43に匹敵する威力の玄武-5が誕生した。弾頭重量2トンだけで「核爆弾に匹敵する」というから、8トンならその威力がどの程度であるかは推察できる。4トンだけでも膨大な規模の重量だが、それをはるかに上回る。弾頭重量が重ければ重いほど貫通力が大きくなり、地下施設破壊はむしろ核爆弾より優れているという分析もある。弾頭重量を増やし、射程を短くすれば破壊力はさらに大きくなる。
北朝鮮の挑発の強度が強かったり、アメリカの政権交代期になると、韓国やアメリカのあちこちで必ず出てくるのが核武装論だ。尹錫悦政権を含め、「朝鮮半島非核化」が韓国の安全保障政策の根幹であるにもかかわらず、極右性向の政治家や論客が口癖のように出す主張だ。
北朝鮮が10月31日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したので、そのような主張がまた出てくるだろう。しかし、口では簡単だが韓国の独自核武装、戦術核の再輸入、核燃料再処理を通じた核潜在力の確保、NATO式核共有など、核武装論のどれも現実化するのは容易ではない。
アメリカ政府から反対されている。このような主張が北朝鮮の核の脅威に不安を感じている国民を安心させるかというと、そうでもない。むしろ、北朝鮮の核の恐怖をさらに増大させる役割を果たし、主張と違って核武装が事実上不可能であることを実感させるだけだ。
一言で言えば、現実性がなく、不安を増大させる無責任な主張である。
玄武-5の登場を見て、これからはそのような空虚な主張が少なくなることを期待したい。もちろん、玄武-5があるからといって「核の均衡」を達成したり、核兵器の広範囲の殺傷力が確保されるわけではないが、北朝鮮があえて攻撃に踏み出せないようにする戦略的抑止手段としては、決して無視できない武器であることは間違いない。
「いくらなんでも核兵器だけではダメだろう」と言う人がいるかもしれないが、ほとんどのミサイル射程内に包含された北朝鮮の主要軍事施設を打撃し、場合によっては都市の核心部を壊滅させることができるレベルであれば、抑止力として十分に意味がある。不特定多数の平壌住民を大規模に殺害するのでなければ、わざわざそれ以上の武器が必要なのか考えてみる必要がある。
北朝鮮と対話をしながらも、韓国の抑止力を飛躍的に強化することに貢献した文在寅政権や、完成した玄武-5を国軍の日に登場させ、「北朝鮮が核を使用した場合、その日が政権終焉の日」と強く警告した尹錫悦政権は、いずれも拍手喝采を浴びるに値する。
今こそ、極右論客と政治家も空虚な核武装論の代わりに、われわれが持っている高位力抑止兵器に対する再評価を通じて、これに対する配備拡大に声を添えるといいだろう。
(2024年10月31日、国民日報)