ニュースリリース|トピックス| 2024年10月31日(木)
アメリカのジョン・サリバン元駐ロシア大使が「北朝鮮軍が参戦したことで、ロシアとウクライナの戦争がヨーロッパを越えて世界大戦に拡大した」と主張した。サリバン元大使は2024年10月30日、毎日経済新聞との単独インタビューで、「ウクライナで発生していることは、中東や北太平洋など全世界に影響を及ぼすしかない」と述べ、全世界の安全保障リスクを高める前例のない事例だと強調した。
サリバン氏はさらに、「(北朝鮮への派兵は)韓国政府だけでなく、アメリカにも大きな関心事だ。ウクライナ戦争が世界的な紛争になり、朝鮮半島の平和と安定を揺るがしている」と指摘した。
ドナルド・トランプ政権時代に国務省次官を務めた彼は、2020年2月から2022年9月まで駐ロシア大使として在任し、ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月24日)をモスクワで直接見守った。
この分野の最高専門家として知られるサリバン元大使は、ウクライナ戦争が簡単に終わることは難しいと予想した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が退陣する意思がないうえ、ウクライナの抗戦意志も強いということだ。
ドナルド・トランプ前大統領は大統領選に勝利すれば、就任後「24時間以内に」戦争を終わらせると公言したが実行するのは難しいとサリバン氏は診断した。サリバン氏は「ウクライナ戦争がグローバルレベルでの戦争に拡大したため、戦争を終わらせようとすると、複雑に連携した世界戦争でアメリカが後退するというシグナルを与える可能性がある。そのため、誰が次期米国大統領になったとしても、そのような決定を下すのは難しいだろう」と展望した。
サリバン氏は、韓国政府がこのような長期戦を考慮して対応策を考えるべきだとアドバイスした。「戦争が終結したとしても終戦ではなく休戦の性格が強いだろう。韓国政府はウクライナ支援策を検討する際、この部分をよく検討する必要がある」と述べた。
「ロシアに派遣された北朝鮮軍は、ワグネル傭兵のように活用される可能性が高い」
トランプ政権機に駐ロシア大使を務めたサリバン氏は10月30日、毎日経済新聞との単独インタビューで、ロシアのために戦う北朝鮮軍が壮絶な最期を迎えるだろう」とみている。彼は「ロシアと北朝鮮は合同軍事演習をしたことがない」と、北朝鮮軍の戦闘能力に疑問を呈した。ロシアは正規軍がウクライナ戦争で兵力不足に陥っている現実をみて、ワグネルグループの傭兵に犯罪者を投入した。犯罪者は6カ月間勤めれば赦免されるとされている。
サリバン氏は「ワグネルの傭兵たちは最前線で残忍な形でウヨ運用された。彼らのうち多くの数が戦争で残酷に死亡した」と述べた。
彼は北朝鮮が派遣した代価としてロシアから核・ミサイル技術を提供される可能性が高いとみている。ただ、この過程でロシアは中国の態度をうかがうほかないだろう述べた。「中国は北朝鮮の弾道ミサイル技術が発展していることを心配している。このため、ロシアがただ現金で保障すること以外に、北朝鮮を実際に武装させることには制限を与えるだろう」と指摘した。
また、「プーチンロシア大統領は北朝鮮の砲弾や兵士1万人より、中国の政治・経済的支援にはるかに依存している。プーチンが最も重要な同盟である中国を阻害させない範囲で、北朝鮮にいくらでもあげようとするのかは疑問だ」と付け加えた。サリバンしは、朝ロ間の軍事的蜜月について「確信はないが、私の経験に照らし合わせると、望ましいことではないだろうと思う」と述べた。
トランプ前大統領がウクライナ支援を中断すると予告している仲、サリバン氏はアメリカが支援するかどうかと関係なく、戦争は簡単には終わらないと予測している。
ウクライナはけっして屈服しないだろうし、プーチンもロシアが占領したウクライナ領土を放棄する考えはない。そのため、戦争状況が長期間続く可能性が高いと見ている。彼は「戦闘がしばし中断、あるいは休戦する可能性はあるが、公式的な終戦はなされないだろう」と説明する。「ウクライナを支援しないと言う人たちにいいたいことがある。ロシアに対抗しないことはロシアの追加的な軍事拡張だけで泣く、民主主義を弱体化させようとする試みを自ら示していることと同じだ」と述べた。
サリバン氏は最近行われたジョージアとモルドバの選挙結果をロシアが民主主義を攻撃した例として指摘した。彼は、「モルドバではロシアが選挙に介入し、親西側の現職大統領が過半数を得られず、決選投票にもつれ込んだ。ジョージアではロシアの莫大が現金配布で親ロ傾向の現政権の与党が勝利した」と主張した。
北朝鮮軍のロシア派兵に対する韓国政府の対応策については、「韓国がウクライナに物質的支援を提供することで、ロシアが北朝鮮軍の派兵で欧州で得られる利益を相殺してしまう実質的な影響力を発揮できる」と述べた。また、「韓国が深く考えるべきだ。世界の安保はもちろん、ロシアの侵略に反対するだけでなく、北朝鮮に対する追加的な牽制としても重要だ」と強調した。
サリバン氏は「ロシアが新たな同盟国である北朝鮮とともにウクライナで勝利すれば、韓国の安保にも影響を与えるだろう。ロシアと中国、イラン、北朝鮮が互いに協力する現状を認識できなければ、頭を砂に打ち込むかのようだ」と述べた。危機が迫っているのに、問題を直視せず避けようとする」行動を見せることをこう述べた。ロシアと直接対決することで戦線が広がることを避けてきた韓国は、それまで節制してきたウクライナ支援策をより強硬なものに変える必要があるとの考えが、ほかの西側諸国でも怒っているなか、サリバン氏が韓国政府こそ果敢に支援すべきだと助言したことになる。
(2024年10月31日、毎日経済新聞)