ニュースリリース|トピックス| 2024年10月31日(木)
ロシアに行った北朝鮮軍がすでにウクライナ戦争に投入され、その規模が拡大し続けるというニュースが海外メディアなどを通じて伝えられている。韓国当局の冷静な状況判断と機敏な対応態勢が一層切実になっている。
ただし、ウクライナに殺傷用武器を提供するような極端な対応に進む場合、北朝鮮とロシアの緊密化を助長する可能性がある。殺傷用武器の支援は、彼らの軍事的密着度と国際社会の対応を見ながら決定するのが望ましい。北朝鮮軍に対する心理戦支援やウクライナへの参観団派遣など、非武力対応から段階的に進めていけばよい。
ロシアはこれまで、韓国の武器支援有無をめぐって厳しい発言を繰り返してきた。ウラジーミル・プーチン大統領は2022年10月、「韓国が武器を提供する場合、両国関係は破綻する」とし、「私たちが北朝鮮と軍事協力を再開すれば、韓国はどう反応するのか」と脅した。
翌2023年、尹錫悦大統領の「民間人虐殺などの問題が深刻化すれば、人道的・財政的支援にとどまらない」という原論的な発言に、クレムリンは「(武器支援は)戦争介入」と興奮した。ドミトリー・メドベージェージェフ前大統領は「北朝鮮に先端武器を提供することで対抗できる」とも述べた。
既存のロシアの脅威と北朝鮮軍派遣にともなう軍事技術移転の可能性を考えると、国内で報復措置が取り沙汰されるのは当然だ。戦争当事国であるウクライナをはじめとする国際社会が、韓国の強力な対応を期待するのも理解できる。
しかし、武器提供など韓国が持っているカードを一度に使い切ってはならない。戦場に投入された北朝鮮軍の活動や2024年11月月のアメリカ大統領選挙など、戦争の様相を変える変数は多い。韓国大統領府も10月30日、「『ウクライナに155ミリ砲弾の支援検討』は事実ではない」と述べた。
殺傷兵器提供のような極端な措置に先立ち、外交的対応など圧力の強度を高めていく戦略が必要だ。
(2024年10月31日、毎日経済新聞社説)