ニュースリリース|トピックス| 2024年10月28日(月)
朝鮮(北朝鮮)のロシア派兵が既定事実として固まりつつあるようだ。10月18日、韓国の国家情報院が「北朝鮮がロシアに大規模な戦闘兵を派遣したことを確認した」という趣旨の発表をした後、5日間慎重な姿勢を示していたアメリカも10月23日には「北朝鮮軍3000人がロシア東部の訓練施設で訓練を受けていることを確認した」と明らかにした。
国情院の発表に対して、「虚偽・誇張」という立場を示していたロシアの機運も変わってきている。ウラジーミル・プーチン大統領は、北朝鮮軍のロシアへの移動が疑われる衛星写真について「衛星写真は本当のものであり、このような画像が存在する場合、これは何かを反映している」と述べたのだ。
彼はとくに、ロシア下院が「北露包括的な戦略的パートナーシップ条約」を批准し「その条項に基づいて私たちが何をどうするかは私たちの仕事だ」と述べた。
プーチンが言及した条項とは、「武力侵攻を受けて戦争状態に陥った場合、遅滞なくあらゆる手段で軍事的およびその他の援助を提供する」という第4条を意味する。これは、ロシアが下院の批准に続き、上院の批准と大統領の署名手続きが終われば、条約に基づき朝鮮の派兵を正当化しようとするのではないかという解釈につながる。
朝鮮軍の駐留地として有力視されているのが、ロシア本土のクルスク地域である点も、これと関連している。クルスクはウクライナ軍が2024年8月にロシア本土を攻撃し、一部地域を占領した場所だ。
ロシアはここを奪還するために攻勢をかけているが、ウクライナの強力な抵抗に阻まれている。これにより、朝ロはクルスクが条約第4条の適用対象に該当すると強弁し、合同作戦を展開する可能性が提起される。
クルスクの行方が停戦や終戦交渉が始まる場合、「重大な変数」になる可能性がある点にも注目する必要がある。まず、ウクライナがロシアに占領された東部戦線で苦戦を強いられてきたにもかかわらず、クルスク占領作戦に乗り出した動機に注目する必要がある。
これは、停戦や終戦交渉が開始された場合、ロシアに奪われた東部地域を取り戻すための「交渉カード」を確保しようとする意図から来ている。
プーチンの最近の発言も注目される。彼はアメリカのドナルド・トランプ前大統領が「私が大統領になればウクライナ戦争を終わらせる」という立場を歓迎するとしながらも、いかなる交渉も「現場の現実」を反映しなければならないと述べてきた。
これは、交渉が成立すれば、ロシアが占領した地域を認めさせるという趣旨を含んでいる。
しかし、ウクライナがクルスクの一部地域を占領し続けたもう一つの「現場の現実」をそのままにしておけば、プーチンの計画は支障をきたすしかない。ロシアが朝鮮の支援を受け、クルスク奪還作戦に本格的に乗り出す可能性があるという解釈が出る理由だ。
これはつまり、ウクライナ戦争の行方を左右する最大の変数がアメリカの大統領選挙であることを意味する。前述したように、トランプ氏は「交渉による終戦」を大統領選挙公約として掲げている。これに対し、民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス副大統領は、「ロシア撃退による終戦」に重点を置いている。
もう一つの鍵を握るプーチンは、トランプの立場には「歓迎する」という立場を、ハリス氏の公言に対しては「勘違いするな」という立場を示している。
これは、朝鮮の派兵説に対して連日強硬な対応方針を明らかにしている尹錫悦政権の選択にも、大きな影響を及ぼすことになる。ハリス氏が勝利した場合、尹政権は対北朝鮮・対ロシア強硬姿勢をさらに強化する可能性が高い。
とくに、韓国と朝鮮の危険な選択が悪循環を拡大再生産し、ウクライナ戦争に「南北代理戦争」が加わり、暗雲が立ち込める韓ロ関係にも台風が吹き荒れる可能性がある。
一方、トランプが当選すれば、米韓間の「不協和音」が大きくなる可能性がある。トランプの終戦計画の一つにはウクライナへの軍事支援を縮小・中止することも含まれており、これは殺傷兵器支援まで検討している尹政権の立場と衝突する可能性があるからだ。
いずれのシナリオも私たちには大きな負担とリスクが伴うに違いない。ウクライナ戦況とアメリカの大統領選挙の行方、そして朝ロ軍事協力の動向を注視しなければならないが、韓国もウクライナ戦争終結のために何らかの役割を模索しなければならない時だ。
朝鮮がこの戦争の最大の受益者になりつつあるが、これを阻止する手段がない現実こそ、早期の終戦が切迫しているもう一つの理由となっている。
(2024年10月26日、プレシアン、鄭旭湜)