ニュースリリース|トピックス| 2024年10月13日(日)
実は、1990年を前後して北朝鮮こそが南北対話・交渉中に「朝鮮半島非核地帯」を最初に提案した当事者だった。また朝鮮半島の非核地帯には、北朝鮮が主張した「朝鮮半島の非核化」と類似した内容がある。それゆえに、親北朝鮮的な主張に聞こえるかもしれない。とはいえ、非核地帯は北朝鮮に近い主張ではなく、一つの国際規範だ。そしてほとんど不可能とされている北朝鮮の核問題の解決には、より有利な方法でもある。今まで非核化を狙った対北圧力は経済制裁と武力示威に偏っている。説得する際には、「北朝鮮が核を放棄すればあれやこれやをしてあげる」というやり方にとどまっていた。一方、非核地帯は北朝鮮が過去に提案したことがあるものであり、「朝鮮半島の非核化」と親和性を持ち、核問題における公正な解決をも含んでいる。「強圧」による、それゆえ失敗を繰り返してきたやり方ではなく、今まで試されてこなかった「共感」を通じたアプローチだということだ。
凍結と融合のハーモニー
戦争防止と緊張緩和が当面の課題であり、朝鮮半島非核地帯の推進が長期的な課題とするならば、軍備様相の凍結と平和協定の交渉を始めることは過渡期の課題である。軍備競争の凍結は韓米同盟と北朝鮮が、相手に対する抑止力は維持しながらも緊張の度合いを下げ、より高い目標のための交渉を行う土台となりうる。平和協定交渉の開始は、朝鮮半島の核問題における最も大きな根を掘り出す作業の始まりだ。
軍備競争の凍結は、相互主義の観点からアプローチすべきだ。まず、北朝鮮の凍結措置としては、核実験と弾道ミサイルの発射を中止すること、寧辺の核施設の完全かつ検証可能な廃棄を行うこと、豊渓里核実験場を永久的に閉鎖すること、核兵器のこれ以上の生産を中断すること、などが検討できるだろう。このような措置は、北朝鮮の核兵器とその運搬手段である弾道ミサイルの質と量的増強を遮断するという意味もある。
ただ、北朝鮮の衛星発射の権利を認めることも、この段階では検討する必要がある。国連安保理が北朝鮮の衛星発射を禁止したのは、これが弾道ミサイルと同じだという判断があったためだ。しかし、今や北朝鮮の弾道ミサイルと衛星の発射体は技術的にも分離されている。何よりも、すべての国連加盟国が衛星を発射する権利を持つ状況では、北朝鮮だけがそれを許されないとするのは小事を見て大事を見逃すことになる。衛星発射を禁止することよりも重要であり、大きな目標である核の凍結と究極的な廃棄のための交渉を難しくしてしまう。
これに対する韓米同盟側の相応な措置としては、戦区級の米韓合同軍事訓練と米国の戦略資産の展開を猶予すること、次年度の韓国の国防費を前年以下の額で策定すること、北朝鮮の民生や保健医療、気候変動に関連した制裁の猶予と緩和などを行うこと、などが検討できるだろう。
(鄭旭湜『金正恩の「決断」を読み解く 変わる北朝鮮と東アジアへの衝撃』福田恵介訳、彩流社、2024年、167~168ページ)