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北朝鮮7回目の核実験の目標は「戦術核」

ニュースリリース|トピックス| 2024年10月05日(土)

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 北朝鮮が7回目の核実験を実施する場合、戦術核弾頭「火山-31」の性能検証に重きを置くという観測が出ている。専門家らは、火山-31が核実験を経て完成度を高めれば、大きな脅威になる可能性があると警告する。

 火山-31の搭載が可能な短距離弾道ミサイル(SRBM)と巡航ミサイル、無人潜水艦、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など多様な発射手段による攻撃を狙えば、韓国軍の対応も現実的に容易ではないということだ。

 ただ、北朝鮮が国内外の多くの予想通り、11月のアメリカ大統領選挙を前後して実際に7回目の核実験を行うかどうかについては、依然として見通しが分かれている。

 核実験の可能性を低く見る専門家は、核実験が北朝鮮の対中関係はもちろん、対米関係にもメリットがないという点を主な理由として挙げている。一方、核実験の可能性を高く見ている専門家らは、北朝鮮が米中が感じる危機感を管理しながら、韓国に対する脅威の強度を高めるためにでも戦術核実験を行うだろうと予想した。

 戦術核は通常の核(戦略核)より破壊力が低い。戦略核は、数百キロトン(1キロトンはTNT1000トンの爆発力)からメガトン(1メガトンはTNT100万トンの爆発力)の威力を発揮する核兵器を指す。強力な破壊力で都市や産業施設などを完全に無力化することができる。

 一方、戦術核はこれより小さく、限られた地域の目標を攻撃する数十キロトン下の威力の核兵器を指す。火山-31の威力は10キロトン前後と推定される。

 北朝鮮は2023年3月、金正恩総書記が武器研究所を訪問した際、戦術核弾頭火山-31の実物とこれを適用した8種の投発手段の資料を公開したことがある。600ミリメートル超大型放射砲、無人潜水攻撃艇ヘイル、ファサル1-2型巡航ミサイル、短距離弾道ミサイルであるKN-24-KN-25、ミニ潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などと推定された。火山-31をさまざまなルートで活用できることを強調したものだ。

 戦術核弾頭搭載のための北朝鮮の武器改良は依然として進行中だ。北朝鮮は2024年1月にも新型潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)を試験発射した後、火山-3-31と名付けた。従来のコード番号はファサル-1型、ファサル-2型などだったが、プルファサルというコード名が新たに登場し、31というコード名が登場した。火山-31を搭載できると解釈できる部分だ。

 北朝鮮が目標通り、戦術核投発手段を弾道ミサイルから巡航ミサイルや600ミリメートル超大型放射砲まで多種化することに成功すれば、現在韓国軍が保有している迎撃システムを多層的に妨害することができるという指摘が出る。

 漢陽大学のムン・グンシク特任教授は「北朝鮮が火山-31の多様化に成功すれば、韓国全域を戦術核で攻撃できるすべての手段を保有することになる」とし、「韓国も(高重量超威力弾道ミサイル)玄武-5を保有しているが、在来型武器では北朝鮮の戦術核に対する抑止力が不足するだろう」と指摘した。

 ただ専門家らは、火山-31が各投発手段に最適化できるかどうかを確認するためにも、必ず核爆発力や信頼性検証試験段階を経なければならないと分析した。シミュレーションだけでは、速度や飛行高度など様々な投発手段の個別的な条件に合わせて適用できるかどうかを予断できないからだ。

 科学技術企画評価院のイ・チュンギュン招聘専門委員は、「核弾頭投発手段それぞれの速度と加速度、発生する熱などで弾頭に影響を与えるが、この過程で弾頭を保護できるように改良が必要だ。北朝鮮が主張するさまざまな投発手段に合わせて改良するのはかなり難しい」と話した。

 先に北朝鮮が最初の核実験に利用した咸鏡道吉州郡豊渓里1号坑道は崩壊し、その後6回の核実験まで使用した2号坑道も地盤が弱まった状態だ。次回の核実験を行う場所として有力な3号坑道は、破壊力が比較的低い戦術核を実験するのに適しているという評価だ。

 北朝鮮が火山-31戦術核実験によってアメリカや中国、韓国の間で政治的目的を達成しようとするだろうという展望も出ている。峨山政策研究院のチャ・ドゥヒョン首席研究委員は「アメリカやロシアがメガトン級以上の核兵器を保有している状況で、北朝鮮が次の核実験で6回目の核実験の結果(150キロトン満)以上の成果を出しても「ゲームチェンジャー」になるかはわからない。このような状況で、火山-31は北朝鮮の核実験の中で失敗の可能性が最も少ない選択地だ」と述べた。

 過去の戦略核実験の場合、一定の目標達成が難しかった反面、政治的には逆効果も多かったことを北朝鮮も知っているという説明だ。

 北朝鮮が現時点で戦略核であれ戦術核であれ、核実験自体を行う理由がないという分析もある。国家情報院は最近、国会情報委員会全体会議で、北朝鮮が2024年11月のアメリカ大統領選挙後に7回目の核実験を実施する可能性があると予測した。

 北朝鮮がアメリカ大統領選挙を控えて交渉力を高めるために7回目の核実験を行うという見通しとは微妙に異なる分析だ。一部の専門家も、北朝鮮が核実験の是非を計算するのが非常に難しい環境だと診断した。慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチョル教授は「核実験は、すると言いながら結局やらないときに挑発手段として意味がある。核実験を行った場合、アメリカの次期政権との関係で果たしてメリットがあるのか予想できないだけでなく、中国との関係もさらに悪化する可能性が高い」と話した。
(2024年10月5日「国民日報」)


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