ニュースリリース| 2024年09月16日(月)
アメリカの共和党大統領候補として選出されたドナルド・トランプ前大統領が、再び政権に就くかどうかがアメリカを超えて世界的な関心を集めている中、北朝鮮の金正恩総書記とトランプ氏が再開できるかどうかにも関心が集まっている。
これについて、トランプ第1期政権時代のホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)秘書室長であり、現在もトランプ氏の最側近の1人とされるフレッド・フライツアメリカファースト主義政策研究所(AFPI)副所長は、その可能性が高いと見ている。
彼は2024年7月8日、韓国のテレビ局「チャンネルA」とのインタビューで「朝鮮半島の緊張緩和のためにトランプ氏が金正恩氏と1対1の個人外交を再開し、必ず会うだろう」と明らかにした。これに先立つ2024年5月28日付の『中央日報』とのインタビューでは、「トランプは就任と同時に『非常によい人』を北朝鮮への特使に指名する予定だ。特使を早く平壌に送り、首脳会談実現に向けた協議を始めるだろう」と話している。
トランプ氏も米朝首脳会談に一貫した信念を持ってきた。彼は2016年の大統領選候補当時も、金正恩氏との会談の意志を強く表明した。これをめぐって競争相手であったヒラリー・クリントン候補側から「親北主義者」と非難されても、トランプはその信念を曲げなかった。
2024年の大統領選挙遊説の時にも、機会があるたびに金正恩との首脳会談で戦争危機を解決したと強調していた。
7月中旬の共和党全党大会の大統領候補受諾演説でも「私は北朝鮮の金正恩とうまくやっていた。私たちは北朝鮮のミサイル発射を中止させた」と主張した。続けて「今、北朝鮮は再び挑発を続けている。多くの核兵器を持っている誰かと仲良くするのはよいことであり、私たちが再び会えば、私は彼らと仲良くする」と強調した。
しかし、金正恩がこれに応じるかどうかは未知数だ。彼も過去には米朝首脳会談に相当な関心を持っていた。2013年2月に平壌を訪問したアメリカプロバスケットボール(NBA)出身のデニス・ロッドマン氏に、バラク・オバマ大統領との交流と会談の手配を頼んだ。トランプ大統領に対しては、2017年には「崖っぷち戦術」で、2018〜2019年には「最大の褒め言葉」で米朝首脳会談を成立させようとし、その結果、3回の会談と26通の親書を交換した。
しかし、2019年夏、トランプ大統領に対する裏切られた気持ちを吐露し、米朝関係正常化への未練を捨てた。その後、金正恩政権は「安全保障は核兵器で、経済は自給自足と自力更生で、外交は中国とロシアを中心にする」という「新しい道」を歩んできた。 そして金正恩政権は、このような選択が相当な成果を上げていると自負している。
これは、金正恩氏にとって「残念なことはあまりない」ということを意味する。これにより、金正恩氏はもはや米朝関係やトランプ大統領と自分の関係を「甲と乙」と見なさないだろう。これは逆に、トランプが自分自身も「甲」として扱ってくれれば会う動機が生まれる可能性があることを意味する。
過去のように非核化を約束することを議題とする会談ではなく、「核保有国対核保有国」の立場で関係改善と緊張緩和、そして軍備統制の会談には応じる可能性は高いということだ。
ところで、トランプは大統領候補受諾演説で朝鮮半島の非核化は言及せず、「多くの核兵器を持つ誰かと仲良くするのはよいことだ」と述べた。これは、トランプが金正恩を核保有国の指導者として扱ってくれるかもしれないというニュアンスを漂わせる。
また、「地球は第3次世界大戦を目前としている」と診断し、「バイデン政権が作り出したすべての国際危機を終わらせる」と朝鮮半島にも言及した。トランプ氏と彼の参謀たちの言葉を総合すると、朝鮮半島の緊張緩和が米朝首脳会談の優先的な目標であるという分析を可能にする部分だ。
米朝首脳会談成就の可能性に影響を与える外部変数も存在する。ウクライナ戦争の行方が代表的だ。トランプ氏が再び政権に就けば、この戦争の早期終結を最優先的な外交政策課題にすると強調してきた。このような状況で、北朝鮮がロシアへの武器提供を継続したり、アメリカがそうしていると判断すれば、トランプ氏は武器提供の中断を要求する可能性が高い。これを米朝首脳会談の前提条件とするのか、それとも会談の議題とするのかは不明だが。
このようにさまざまな不確実性が存在するが、トランプ氏が大統領になれば、米朝首脳会談が再び開かれる可能性は高そうだ。トランプ氏と彼の参謀たちが声を上げており、金正恩氏としても、アメリカが非核化を前面に出さない限り、会談を避ける理由はとくにないように見えるからだ。ちなみに、北朝鮮は米国の敵対政策を非難しながらも、自分を友好的に接する国とは関係改善を推進するという立場もずっと明らかにしてきた。
韓国の尹錫悦政権もこのような可能性に備える必要がある。南北対話と緊張緩和には全く関心を示さず、「北朝鮮の挑発があれば即座に強力に最後まで報復する」という姿勢と、アメリカによる拡大抑止、韓米日軍事協力の強化だけに没頭していると、韓国が「パッシング」される状況に陥る可能性があるからだ。
(2024年7月20日『プレシアン』チョン・ウクシク氏)