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日朝首脳会談はなぜ不発となったか

ニュースリリース|トピックス| 2024年03月29日(金)

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 この1~2カ月ほど、私たちは非常に興味深い外交劇を見守ったと言えます。この劇は、北朝鮮の金正日総書記と日本の岸田文雄首相の首脳会談を準備するための双方の努力です。

 しかし、日本と北朝鮮の外交官は妥協点を見つけられず、彼らの会談推進は失敗に終わりました。もちろん、この失敗は永遠に続くわけではありません。いつか日本のリーダーと北朝鮮のリーダーの首脳会談が実現するかもしれません。

 要約すると、2023年末から日本の岸田首相は、北朝鮮当局者、とくに金正恩といつでも会えることを言及し始めました。後で知られるように、同じ時期に、北朝鮮と日本の外交官はこのような会談を議論するための会合を開始しました。このような秘密の日朝接触は、2023年春から始まったようです。

 しかし、当初から両者の意見、とくに達成しようとする目的には大きな違いがありました。これまで公開された資料だけ見てもそれを簡単に感じられます。

 では、日本側はなぜ北朝鮮との会談、とくに首脳会談を推進したのでしょうか。他の何よりも、拉致被害者問題を解決することで、政権に対する国民の支持を高めるためでした。

 ご存知のように、1970年代末から80年代初頭、北朝鮮の諜報機関は日本国内で多くの日本人を拉致しました。拉致された人々は圧倒的に一般労働者です。

 北朝鮮は拉致被害者が13人であることを認め、日本では17人であると主張しています。しかし日本の多くの団体は、拉致被害者がこれよりはるかに多いと主張しています。そのため、拉致被害者の確実な数を知ることはできません。

 北朝鮮は拉致被害者のうち5人だけの帰国を許可し、他の人はすでに死亡したと主張しました。しかし、彼らの年齢を考えると、拉致被害者の3分の2が死亡したという北朝鮮の主張は非常に奇妙です。

 だから日本人は、他の拉致被害者がまだ北朝鮮にいて、彼らは北朝鮮の秘密を知っているので出国が許可されなかったと考えます。

 しかし、もし帰還できなかった拉致被害者の一部でも帰国させれば、日本の首相は国民の支持を得るでしょう。それが、岸田首相が金正恩に会いたかった理由です。

 北朝鮮の立場からすれば、拉致被害者の一部を日本に送還すれば、むしろ逆になる可能性があります。過去のように、拉致被害者送還は日本国民の怒りを再び呼び起こす可能性があります。

 一方、北朝鮮は日本との国交正常化により植民地時代の補償を受けたいと考えています。北朝鮮側は少なくとも100億ドルを要求していると言われています。

 しかし結局、日朝首脳会談は不発に終わったのですが、日本が受け入れられない北朝鮮の立場は何だったのでしょうか。北朝鮮は北朝鮮の核兵器、とくに拉致被害者事件を会談で言及しないことを望みました。日本側はこのような条件を受け入れられないでしょう。

 皮肉なことに、日本首相は100億ドルであろうと200億ドルであろうと支援を約束することができますが、拉致された日本人の運命はそれよりも大きな課題です。したがって、日本の立場、とくに首相官邸の立場では、拉致問題を議論しない首脳会談は何の意味もありません。

 3月27日に出された金与正の談話を見れば、この部分を簡単に知ることができます。談話で金与正は、日本が勇気がないという言葉まで言いました。しかしこのようなレトリックを無視したとしても、今回の会談の推進は妥協点を見つけにくい日朝関係の平行線を確認させてくれた試みでした。
RFA、2024年3月28日、アンドレイ・ランコフ韓国・国民大学教授)
 


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