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北朝鮮・ロシア・中国との合同軍事訓練は実施されるか

ニュースリリース| 2024年03月21日(木)

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 2024年2月24日、ロシアがウクライナを侵攻してから丸2年を迎えました。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、ウクライナ戦争を契機に北朝鮮とロシア、中国を結ぶ「北方3角関係」を作ろうとしましたが、果たして北朝鮮が望む目標を達成したのか、崔源起記者がお伝えします。

 2年前の2022年2月24日、ロシアはウクライナを侵攻しました。すると、北朝鮮の金正恩国務委員長は、ウクライナ戦争を利用して外交的孤立と経済難を打開しようとしました。

 2022年3月2日、国連は特別総会を開き、ロシアの侵攻を非難する決議案をめぐって賛否投票を行いました。 すると、北朝鮮はこの決議案に反対票を投じました。 世界中でこの決議案に反対票を投じた国は、北朝鮮とベラルーシ、シリア、エリトリア、ロシアの5カ国だけでした。

 北朝鮮のこのような外交的な賭けは、それから2カ月後に実を結びました。

 2022年5月26日、アメリカは国連安保理で北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を非難し、追加的な対北朝鮮決議を採択しようとしましたが、安保理常任理事国であるロシアは中国とともに拒否権を行使し、この決議を否決しました。

 北朝鮮はもはや安保理の制裁を心配する必要がなくなりました。 その結果、北朝鮮は2022年にICBM8発を含む40回、計65発の弾道ミサイルを発射しました。 また、2023年にも25回のミサイルを発射しました。

 北朝鮮とロシアの密着は、2023年9月13日の朝ロ首脳会談につながりました。

 金正恩氏はロシア極東沿海州を訪れ、ボストーチニ宇宙基地でウラジーミル・プーチンロシア大統領と会談しました。金氏はプーチン氏に、自分はロシアと一緒に西側帝国主義と戦うと言いました。

(金正恩氏)「これからも常に反帝国主義の戦線でロシアと一緒にいることをこの場を借りて確認します」

 北朝鮮とロシアはこの会談で、砲弾など通常兵器の取引とともに軍事偵察衛星、核潜水艦、そして経済協力などに合意したようです。

 最近、韓国のシン・ウォンシク国防相は2023年7月から北朝鮮が300万発以上の砲弾をロシアに渡し、その見返りに食糧と生活必需品を受け取ったと述べました。注目されるのは、金正恩氏が北朝鮮とロシア、中国がとも参加する合同軍事訓練を推進することです。

 北朝鮮とロシアは、すでに合同軍事訓練に合意しています。韓国国家情報院によると、金正恩氏は2022年7月、平壌を訪問したロシアのセルゲイ・ショイグ国防相と合同軍事訓練の実施で合意しました。

続いて、平壌駐在のアレクサンドル・マチェゴラロシア大使も2023年9月、ロシア・タス通信とのインタビューで、ロシアと中国の合同軍事訓練に北朝鮮が参加することは「適切だと思われる」と述べました。

 北朝鮮は中国に対しても、合同軍事訓練に参加したいという意思を明らかにしました。北朝鮮の李永吉国防相は2023年8月、当時の魏鳳和国防部長に送った祝辞で、「朝鮮人民軍は朝鮮半島と世界の平和と安定を共同で守るため、中国人民解放軍との戦略的・戦術的協力作戦を緊密に行っていく」と述べました。

 韓国の民間研究機関である峨山政策研究院のチャ・ドゥヒョン博士は、朝中ロ3国間の軍事的結束を実現するのが平壌の意図だと指摘します。

(チャ・ドゥヒョン氏)「朝中ロが外交的な関係だけでなく、軍事的にも協力する関係へ向かうことをリードしていくというのが北朝鮮の政策だと思います」

 しかし、中国は合同軍事訓練に北朝鮮を含める提案に沈黙を貫いています。これまでのところ、中国当局はこの問題について立場を明らかにしたことはありません。

 かつて北京のアメリカ大使館で勤務したメリーランド大学のウィリアム・ブラウン教授は、中国は基本的にウクライナ戦争に否定的であり、また中国はロシアより日本、韓国のほうに関心が高く、北朝鮮の軍事訓練参加にはあまり関心がないと述べました。

 実際、中国共産党の王毅外相は2024年3月7日、北京で記者団と会見し、「朝鮮島に緊張が高まっているが、再び戦争が起きてはならない。冷戦の構図で平和を壊そうとする者は莫大な代償を払うことになるだろう」と警告しました。現在、中国はロシアに武器を支援していません。

 また、中国の最大の貿易相手国はアメリカであり、年間の貿易額は6900億ドルに達します。 したがって、中国は北朝鮮と軍事的結束を強化することはアメリカを刺激するなど、賢明ではないと判断したのかもしれません。

 このような理由から、専門家たちは2024年夏に実施される中国とロシアの合同軍事訓練に北朝鮮が参加する可能性は高くないと見ています。アメリカ海軍分析センターのケン・ゴース局長は、北朝鮮が合同訓練に象徴的なレベルで参加する可能性はあるが、実際に参加する可能性は低いと評価します。

 前出のチャ・ドゥヒョン博士は、北朝鮮が連合訓練参加に必要な大型軍艦などは不足しているが、何らかの形で訓練に参加する可能性はあると見ています。

 金正恩氏は2023年8月27日、北朝鮮の海軍節の日に海軍司令部を初めて訪問しました。 観測筋は、金氏のこのような行動が中国とロシアとの合同海上訓練を念頭に置いたものと見ています。

 現在、北朝鮮は420隻余りの軍艦を保有していますが、高速艇など小型艦艇であり、ほとんどが1960~70年代に作られた古い船です。最近作られたのが鴨緑級護衛艦ですが、1500トン級に過ぎません。

 一方、北朝鮮とロシアの間で砲弾などの武器取引は行われていますが、戦略的な軍事協力とはほど遠いようです。金正恩氏がロシアから受け取りたいのは、食糧と在来型兵器だけではありません。 彼は、ICBMの再突入(Re-entry)技術と核弾頭の小型化技術、核潜水艦と関連技術、そして偵察衛星の光学技術など最先端の技術を望んでいます。

 しかし、これまで北朝鮮がロシアから受け取ったのは、食糧10万トンといくつかの生活必需品、そして2023年11月の人工衛星打ち上げ時に技術支援を受けた程度です。

 韓国の国策研究機関の統一研究院の趙漢凡博士は、ロシアは北朝鮮が望む戦略的技術を与えないだろうと述べました。

(趙漢凡氏)「ロシアは中国にも先端技術は与えないし、ロシアは弾薬が切羽詰まったから北朝鮮に依存するのであって、ロシアが北朝鮮を信頼する理由がありません。 また、北朝鮮の核能力や戦略的打撃能力が強化されれば、ロシアとしてはよいことはないでしょう」

 このように、金正恩氏は過去2年間、北朝鮮・ロシア・中国を結ぶ「北方3角関係」を構築しようとしましたが、まだ完成されたわけではありません。 北朝鮮が望む朝中ロ合同訓練が実施されるかどうかについて何の兆候もなく、ロシアが先端技術を北朝鮮に渡したというシグナルもありません。

 そしてその背景には、北朝鮮が推進する北方3角関係に及び腰の中国があります。北東アジア情勢のカギを握っている中国が今後どう動くか注目されます。
(2024年3月9日、VOA
 


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