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【VOA】ウクライナ政府「ロシアに向かっていた北朝鮮製武器を押収」

ニュースリリース|トピックス| 2023年08月07日(月)

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 北朝鮮がウクライナと戦争中のロシアに武器を供給したことが確認されました。 北朝鮮がなぜロシアに武器を支援するのか、両国間の武器取引がいつ始まったのか、チェ・ウォンギ記者がお届けします。

 北朝鮮がロシアに武器を提供した事実は一枚の写真で確認された。イギリスの「ファイナンシャルタイムズ」(FT)は7月28日付で「ウクライナで北朝鮮製武器が使用された」と報道、ウクライナ東部バフムート地域でウクライナ軍がロシア製多連装ロケットを発射する場面を公開しました。

 目を引いたのは、ウクライナ軍が多連装ロケットで使用した砲弾です。 砲弾にはハングルで「バン-122」という文字が書かれていました。韓国の軍事専門家である峨山政策研究院のヤン・ウク博士は、砲弾に書かれた「バン」は多連装ロケットの北朝鮮式名称である「放射砲」の略で、122は122ミリメートルを意味すると述べた。

 ウクライナ国防部は、船舶で輸送中だった北朝鮮産ロケット砲弾がロシア軍に渡される前(ウクライナへ)「友好的な国家」によって押収されたと明らかにするだけで、これ以上詳細は公開していません。

 これまで北朝鮮は、ロシアに対する武器支援疑惑を強く否定してきました。 米ホワイトハウスが2022年11月と2023年1月、「北朝鮮がロシアに武器を支援した」とする衛星写真を公開した時も、北朝鮮はロシアとともにこれを否定しました。

 北朝鮮とロシアは、韓国戦争停戦協定締結日である7月27日、平壌で開かれた「戦勝節」記念行事でも武器取引をはじめとする軍事協力を議論したことがわかった。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防長官は、ウラジミール・プーチン大統領の親書を持って2泊3日の日程で直接平壌を訪れた。金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長は、ショイグ氏を接見して昼食を共にした。金委員長はまた、ショイグ氏と平壌で開かれた「武装装備展示会2023」行事場を訪問し、火星-18型、火星-17型など北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)についてで説明した。アメリカはショイグ氏が北朝鮮から武器を購入するために訪朝したと見ています。

 アメリカのトニー・ブリンケン米国務長官は、ショイグ氏が「北朝鮮に休暇に行ったのではないだろう。私たちはロシアがウクライナに対する攻撃を継続し続けるために、武器があるところならどんなところでも必死に支援と武器を求めている様子を見ている」と述べた。

 北朝鮮とロシアの武器取引の動きは、ショイグ氏の訪朝後も続いている。

 北朝鮮専門メディア「NKニュース」によると、ロシア空軍所属のイリューシン(IL)-62旅客で平壌に到着して、約36時間滞在した後に平壌を離れた。ワシントンの朝鮮半島の専門家である韓米研究所のラリー・ニクシー博士は、この軍用機が輸送機ではない点で見ると、ロシアが軍事実務者を北朝鮮に送り、武器取引の価格や条件などを議論したようだと述べました。

 北朝鮮とロシアの密着は、武器取引を中心にしばらく続きそうだ。ロシアはウクライナ戦争が当初の計画とは異なり、1年6カ月以上も続いおり、弾薬やドローン(無人機)のような武器が不足している状況だ。中国は武器を含む戦争物資をロシアに供給していない。

 このような状況で、ロシアと北朝鮮は大砲の口径など軍用規格が同じなので、ロシアとしては北朝鮮製武器を輸入するしかないと専門家らは言う。北朝鮮は2000年以前まで、自ら生産した武器を中東とアフリカに輸出して年間10億ドルほどの外貨を稼いだ。しかし国連安保理が2006年10月、対北朝鮮決議1718号を通じて武器輸出を禁止した後、北朝鮮の武器輸出は事実上中断された。

 しかし、ロシアが北朝鮮の武器を輸入すると、話は変わってくる。ロシアは国連安保理常任理事国だ。 したがって、ロシアが北朝鮮武器を輸入する場合、北朝鮮は外貨を稼ぐことはもちろん、安保理の対北武器禁輸措置も無力化させることができる。前出のヤン・ウク博士は「北朝鮮の大量破壊兵器と武器は、国連安保理が一番最初に禁輸を決議したのだが、これを安保理常任理事国であるロシアが崩すと、結局国連安保理対北朝鮮制裁はすべて機能できないという最悪の状況になる」と述べる。

 北朝鮮とロシア間の武器取引は、旧ソ連時代の1949年3月にさかのぼる。当時、金日成主席はモスクワを訪問し、ソ連の最高指導者スターリンに会って武力統一を説得する一方、武器支援を要請した。これによりスターリンは約4000万ドルの借款を北朝鮮に提供し、特別軍事顧問団を送って人民軍の編成と訓練を支援するようにした。

 とくにソ連は、人民軍10個師団を武装できる武器を北朝鮮に提供した。記録によれば、北朝鮮が朝鮮戦争当時保有していたT-34戦車242台、戦闘機211台、装甲車59台、曲射砲552門、迫撃砲1千729門、警備艦30隻などはすべてソ連が支援したものだ。

 ソウルの民間研究所である韓国国家戦略研究院のイ・ヨンジョン北朝鮮研究センター長は、ソ連の武器支援がなければ北朝鮮は戦争を起こすことができなかっただろうと述べた。「北朝鮮は、実際にソ連の支援がなければ、朝鮮戦争を引き起こすといった考えを持てなかったほど、南侵に必要な複数の武器調達を支えたのはソ連だった」と説明する。

1953年7月に停戦協定が締結され、韓国戦争は幕を下ろしたが、ソ連の武器支援は続いた。秘密解除された韓国外交部の資料によると、ソ連は1953年から1984年までに16億ドル相当の武器を北朝鮮に支援した。 この期間中、ソ連は戦車や装甲車、潜水艦、ミグ戦闘機などを支援した。

とくに1984年5月、金日成主席がモスクワを訪問した後、ソ連はミグ23を26機、スカッドBミサイル6機、SA-3地対空ミサイル60機など最新の武器を支援した。

また、1960年代から北朝鮮は独自の軍需工業を建設した。北朝鮮は国防委員会傘下に「第2経済委員会」を設置し、慈江道と平壌一帯に専門の武器工場44カ所をはじめ、180以上の軍需工場を建てた。そしてソ連の技術指導を受け、AK-47自動小銃から弾薬と軍艦、主力戦車である「爆風号」と「先軍号」に至るまで各種武器を生産した。

イ・ヨンジョン氏は「苦難の皇軍野中で当時、慈江道の党書記だった延亨黙氏のリードで軍需工場が建設された」

 北朝鮮とロシアの武器コネクションはソ連が崩壊した1991年以降も続いた。 ソ連が崩壊すると、軍需の分野に従事していた多くの科学者や技術者が一日の朝に職場を失い、生活を心配する事態が発生した。すると北朝鮮当局は、高い賃金を提示し、ロシアの専門家と技術者を平壌に呼び込み核兵器とミサイルを開発したと、アメリカ海軍分析センターのケン・ゴース局長は言う。

北朝鮮とロシアの数十年にわたる武器取引は、2017年に北朝鮮の核武力完成宣言につながった。専門家たちは、武器取引などをきっかけに、その関係強化に努力する北朝鮮とロシアの関係が、核問題をはじめとする東北アジア情勢にどのような変化をもたらすか注目している。
2023年8月4日


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