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米韓首脳会談は大成功だったのか

ニュースリリース|トピックス| 2021年05月30日(日)

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「最高の訪問、会談だった。結果はこれ以上言うことはない。期待以上だ」

3泊5日の訪米を終えた韓国の文在寅大統領は2021年5月23日、SNSにアメリカのバイデン大統領との初めての首脳会談をこのように自己評価した。文大統領の自己評価に対する意見は多少相反するものがあるが、70年前に軍事同盟として出発した米韓関係が、今回の会談で質的変化が生じたことは間違いない。

会談の内容や共同声明を見る限り、両国首脳は安全保障上の懸案にとどまらず、気候変化への対応や、新型コロナウイルスを克服するためのグローバルなワクチンパートナーシップの構築、半導体や電気自動車バッテリーなど先端技術・経済分野にまでに同盟の範囲を広げた。

サムスンが現代自動車、SK、LGなど韓国の4大財閥が行う44兆ウォンの対米投資は、韓国の技術水準と経済的地位をアメリカが認めたからこそ可能だった。「韓国は平和を得て、米国は経済を得た」(韓国・北韓大学院大学のヤン・ムジン教授)といった評価が出ているのもこのためだ。

米韓同盟の幅が広がったことで、多様な分野でアメリカと歩調を合わせることになったのは、韓国にとって新たなチャンスであり挑戦でもある。アメリカが中国を牽制しようとしている先端技術分野のサプライチェーン再編と5G、6Gネットワーク技術での協力、中国の「逆鱗」となる台湾海峡の問題が米韓首脳会談で初めて言及されたことは、米中対立が深まる中では中韓関係にとってリスク要因だ。

アメリカが韓国にミサイル技術を提供する代わりに、保有ミサイルの性能を制限する「米韓ミサイル指針」の終了も、中国には好ましくない。ただ、中国を牽制する戦略の核心となる「QUAD」(日本、アメリカ、オーストラリア、インド4カ国による枠組み)が共同声明で言及されたが、首脳会談では議論がなされないように線引きをし、リスクを最小化した。

北朝鮮政策では、韓国側の意向が相当部分反映され、アメリカが「最大の柔軟性」を発揮したようだ。とくに米韓首脳が「2018年の板門店宣言とシンガポール共同声明など、既存の南北、米朝間の約束に基づき、外交と対話が朝鮮半島の完全なる非核化と恒久的な平和定着がなされるのは必要」とした点に、これが反映されている。非核化のための対話が現在も継続していることを明文化したことになる。

北朝鮮が対話への条件としている「アメリカによる敵対視政策の撤回」はもちろん、南北交流のために必要な対北朝鮮制裁の猶予や免除をアメリカは拒否しているが、北朝鮮を交渉のテーブルに引き寄せるために文大統領は再び勝負を賭けた。板門店宣言には文大統領が非核化のための対話の入り口として提案した終戦宣言(朝鮮戦争によるアメリカと北朝鮮間の終戦協定)があり、シンガポール共同声明の核心は「米朝の新たな関係樹立」ということだ。

この点は、北朝鮮にとって南北・米朝対話のためのインセンティブとなりうる。実際に、バイデン大統領は南北対話・協力への支持を公式なものにした。文大統領は「アメリカとの緊密な協力の中で南北関係の進展を促進し、米朝対話と関係の好循環となるように努力する」と明らかにした。米朝対話の進度が遅くなったとしても、南北関係が独自的に一息つけられる空間を用意し、状況によってはもう一度、朝鮮半島の平和プロセスの「仲裁者」として名乗り出るというホンネが込められている。

文大統領は訪問後の記者会見で、「バイデン政権の交渉原則は、とても実用的で漸進的であり、段階的で柔軟なアプローチだ。非核化へのタイムテーブルに両国で考え方の違いはない」とアピールした。バイデン大統領も北朝鮮側が批判する「核開発の完全で検証可能、不可逆的な廃棄」(CVID)の代わりに「完全なる非核化」へ、非核化のための対象は「北朝鮮」ではなく「朝鮮半島」として表現した。

アメリカのソン・キム対北朝鮮特別代表の任命がサプライズだったことも目を惹く。彼はワシントンで北朝鮮をもっともよく知っている人物として評価される。文大統領は「記者会見の直前に知らされたサプライズプレゼント。対話の準備ができたというメッセージを送ったことになる」と述べた。

ただ、バイデン大統領は対話のための「先に北朝鮮に補償する」というものはなく、首脳会談もトランプ大統領の時のようなトップダウン方式ではないことを明らかにした。彼は金正恩総書記の名前も言及しなかった。政府の努力でアメリカが柔軟なアプローチを取ったが、だからといって北朝鮮が喜ぶほどのインセンティブもなかった。

北朝鮮が今回の首脳会談に好感を持ったかどうかはわからない。韓国・統一研究院のホン・ミン研究委員は「米国は北朝鮮が要求する本質的な問題に対するメッセージを送ったものはない」と分析する。一方、前出のヤン・ムジン教授は「バイデン大統領が無条件での対話はない。中朝の調整が必要であり、韓国側の説明を聞きたいと思っていることもありうる」とし、対話の再開に楽観的な予想を持つ。
(「ソウル新聞」2021年5月24日)
 


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