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輪郭を表したバイデン政権の外交チーム

ニュースリリース|トピックス| 2021年01月27日(水)

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 米国のバイデン新政権が、これまで北朝鮮など朝鮮半島問題に深く関与してきたベテラン官僚らを外交分野での高位職に任命しています。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官にカート・キャンベル、国務省副長官にウェンディ・シャーマン、東アジア太平洋担当次官補代行にソン・キムを指名・任命しました。彼らの朝鮮半島に関する経験と発言について、チョ・ウンジョン記者がお伝えします。

 バイデン政権で朝鮮半島問題を担当する外交安保ラインに、実務経験が豊富な専門家らが起用されています。

「北朝鮮には早期にシグナルを送るべき」

 NSCでアジア問題を総括するカート・キャンベルインド太平洋調整官は、民主党のアジア専門家の中でも最古参の一人です。ワシントンポスト紙は彼がアジア地域で知名度が高く、幅広い外交経験と老練な組織掌握力、議会との円満な関係を基に、バイデン政権のアジア戦略に実質的な影響を与えるものと思われます。

 キャンベル氏は2009年から13年まで、国務省東アジア太平洋担当次官補として米国外交と軍事の中心をアジアへ回帰させる「Pivot to Asia」、「アジア再均衡」(Rebalance to Asia)政策を主導して設計しました。当時、韓国には1年に10回程度訪問するなど、同盟との協力に積極的だったことはよく知られています。

 キャンベル氏は任命直前の2020年12月、ワシントンの民間団体であるアトランティック・カウンシルと韓国国際交流財団主催のオンラインセミナーで演説し、韓国との対北朝鮮協調をアピールしました。

 バイデン政権が始まった直後、最優先課題の一つは韓国と協議し協力して北朝鮮に早期にシグナルを送ることだと指摘しました。彼はとくに、バイデン政権の主要課題の一つは北朝鮮に対しどのような行動をとるかを早期に決定することだと述べ、オバマ政権当時、北朝鮮を研究する期間が長すぎて北朝鮮が軍事的挑発に出てしまったと述べました。また、トランプ前大統領の「大胆なアプローチ」はとくにアジア政策で模倣する、あるいは尊敬する必要があると明らかにしました。

ソン・キムはトランプ政権でも北朝鮮と関与

 バイデン政権で任命された高官らの多くはオバマ政権で積極的に活躍した人物ですが、国務省東アジア太平洋次官補代行に任命されたソン・キム氏は、トランプ政権でも北朝鮮との核交渉に深く関与しました。

 2018年6月、シンガポールでの米朝首脳会談を準備するため、同年5月末に板門店で北朝鮮の崔善姫外務次官と交渉をしたことがあります。初の首脳会談にも参加し、7月にはマイク・ポンペオ国務長官の平壌訪問に随行し、金英哲・労働党副委員長との高位級会談に参加しました。キム氏はスティーブン・ビーガン対北朝鮮政策特別代表が任命された後、トランプ政権の対北実務交渉からは身を引くことになりました。

 キム氏は国務省でも指折りの朝鮮半島専門家です。2006年に国務省韓国課長となり、08年の6者協議主席代表兼対北特使に任命されました。08年6月に米国政府関係者としてはただ一人、寧辺の核施設冷却塔の爆破にも立ち会ったことがあります。2011年から3年間、駐韓大使となり、14年には対北政策特別代表兼韓国・日本担当東アジア副次官補を務めました。

 金氏は2016年に北朝鮮が5回目の核実験を実施した直後、同盟と緊密に協調して国連安全保障理事会で強力な対北制裁決議案を推進するとの立場を表明したことがあります。また、域内情勢が不安定となっている原因は対北制裁ではなく、北朝鮮による挑発だと強調したことがあります。域内の安定と安保に対する脅威は、制裁が招いたのではなく、北朝鮮の挑発的で無責任、危険な行動のためと述べました。キム氏は2018年にフィリピン大使となり、20年にはインドネシア大使に任命されています。

「北朝鮮の核問題には同盟関係を強化」

 国務省ナンバー2となるウェンディ・シャーマン氏も、北朝鮮問題に集中して関与した経験を持ちます。クリントン政権だった1999年から2001年まで対北政策調整官となり、北朝鮮との交渉をリードしました。

 シャーマン氏は2020年8月、あるフォーラムで「現場に復帰すれば、北朝鮮問題をどこから解決できるか」という質問に、同盟の強化を最初に取り上げました。まず韓国と日本との関係を再建し、韓国が在韓米軍のために十分な予算を付けているかどうかは議論しないと発言しました。

 シャーマン氏はまた、北朝鮮の核問題がイランの核問題よりも解決が難しいと指摘したことがあります。北朝鮮はすでに核兵器と運送手段があるためだと説明します。また、北朝鮮の核問題解決は今後厳しい道を歩むことになり、外交的チャンスを模索することはとても難しいと述べました。

 このほかにもシャーマン氏は、2019年にVOAとのインタビューで、金正恩委員長が交渉のテーブルに出てきた理由は、制裁による圧力のためであるとし、厳格な対北政策の履行が重要だと強調しました。

一方、核問題を担当する国務省対北政策特別代表など朝鮮半島ラインのさらなる人事に関心が集まっています。
(Voice of America、2021年1月26日)

 


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