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新政権発足で核・ミサイルの挑発を行うか

ニュースリリース| 2020年11月08日(日)

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 米国の次期大統領にジョー・バイデン民主党候補が当選し、新政権の発足に合わせて北朝鮮が核とミサイルで挑発的な戦略を繰り広げるかどうかに注目されている。とくに金正恩委員長と親密な関係を積み上げてきたトランプ大統領が再選に失敗し、パートナーが変わったことによると不確実が生じるため、自らの存在を誇示するというインセンティブが高まったとの分析が出ている。

 北朝鮮はこれまで、数回にわたって米大統領選の前後に核実験やミサイル発射などの挑発を行っている。北朝鮮は1992年11月にクリントン元大統領が選挙で勝利すると、4カ月後となる1993年3月に核拡散防止条約(NPT)から脱退すると宣言した。

 当時の北朝鮮は脱退声明で国際原子力機関(IAEA)の北朝鮮特別査察が「米国がすでに用意したシナリオ」通りに行われる集団制裁だと主張し、米韓合同軍事演習の再開にも協力に反発するなど、米国を意識した行動を見せた。

 北朝鮮は2004年11月にブッシュ大統領が再選すると、翌年2月に「核兵器保有宣言」を行った。北朝鮮の核兵器製造と保有に関する最初の公式的宣言であり、当時の外務省はこの宣言と共に6者協議の参加を無期限中断するとの発表もしている。

 北朝鮮の外務省報道官は当時、2期目のブッシュ政権に対し「米国が核妄動を振りかざし、わが制度を何があってもなくそうとする狙いを示した以上、核兵器を増やすための対策を取る」と述べた。

 2008年11月にオバマ大統領が当選すると、北朝鮮は就任直後となる翌年4月に長距離ミサイルを発射し、5月には2回目の核実験を行った。北朝鮮はオバマ大統領が再選に向けて準備中だった2012年4月と、再選に成功した後にある同年12月にも長距離ミサイルを発射している。また、2013年2月には3回目の核実験を行った。オバマ大統領の場合、当選6カ月以降、再選3カ月以降に北朝鮮が核実験を行ったことになる。

 トランプ大統領でも同じだった。北朝鮮は選挙戦真っ最中だった2016年に2回の核実験と多くのミサイルを発射し、トランプ政権初年度の2017年にもミサイル発射を繰り返し緊張を高めた。

 米国との関係は、北朝鮮が挑発時点を決めることにおいて重要な考慮すべき点だというのが大方の見方だ。北朝鮮が米国と活発に対話を行っていた2000年と北朝鮮の6者協議中だった2008年の大統領選でも比較的に静かだったため、このような分析に力を与えている。

 北朝鮮は2021年初頭にICBM(大陸間弾道ミサイル)とSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射など、強力な挑発を行う可能性もある。しかし、いったんはSLBMの搭載が可能な潜水艦の進水式を行うなど、国連制裁と正面から対抗しないようなレベルで調整することもありうる。

 国家安保戦略研究院のイ・サングン研究委員は「過去には北朝鮮の挑発パターンがあったが、今は北朝鮮が強力な挑発で国際社会の制裁が強化されれば、これに耐えられるかどうかは経済的に厳しい状況だ」と見る。ただ、「バイデン氏で北朝鮮を刺激するような強硬なメッセージを出せば、状況は変わりうる」と見ている。
(韓国経済新聞、2020年11月8日)
 


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