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バイデンが新大統領になれば北朝鮮は挑発するか

ニュースリリース|トピックス| 2020年11月06日(金)

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北朝鮮の対米・対南政策に関する韓国内の専門家の視点

 アメリカ民主党のジョー・バイデン候補が大統領に当選する可能性が高まっている。

 バイデン候補が当選すれば、それまでトランプ大統領と首脳会談や親書外交を行うなど親交を深めてきた北朝鮮の金正恩委員長としては、対米関係において環境の急変に立ち向かうことになる。今後、北朝鮮の対米・対南政策がどうなるか。韓国内の専門会に聞いた。

北朝鮮は来年上半期にICBMを発射する可能性も
国家戦略研究院のシン・ボムチョル外交安保センター長

 
バイデン候補が勝利して2021年1月20日に新政権が発足すれば、4月5日までに聴聞会を終えたあと、2カ月程度の政策嫌悪付き感を迎える。そうなると、北朝鮮と接触できる時期はどれだけ早くても来年6月ごろになるだろう。

 米朝間の非核化交渉における実務協議接触を2回程度行い、成果が出て米朝首脳会談へと進むのであれば、来年末になる可能性がある。これが過去のパターンだった。米政権内で北朝鮮政策の優先順位が落ちると、北朝鮮が選択するのは戦略的挑発だ。

 戦略的挑発を行えば、米政権は動かざるを得ない。なぜなら、世論がだまっていないからだ。それが政府への圧力となる。バイデン政権が始まって米朝実務協議などが遅れることになれば、政権発足初期や来年上半期に北朝鮮は大陸間弾道ミサイルICBMを試験発射する可能性がある。

 このような形で朝鮮半島が緊張すれば、対話は促進されるだろうが、このような過程もまた非核化合意が難しくなることもあるだろう。

来年3月の米韓合同軍事演習がカギ
崇実大学のイ・ジョンチョル教授

 
最も重要なのは、2021年3月に予定されている軍事訓練だ。いずれにしても、北朝鮮は核とミサイル能力を凍結するためにはそれ相応の補償を求める。トランプ大統領のときには核・ミサイル試験を行わなかったことに対する補償を受けるべきだと主張していた。

 バイデン候補が当選すれば、来年7、8月になれば新政権は国務省の東アジア担当者を任命できるだろうこのときまでの政策レビュー期間に米国は北朝鮮に対して善意の無視政策を使うほかない。何らかの意図があってそうするのではなく、このときまで何かできることがないためだ。

 ところで、米韓の官僚システムでは、これまで行ってきたことを行わなければならない。在韓米軍は来年3月に予定通りに米韓合同軍事演習を行うべきだ。これが官僚の論理だ。

 バイデンは北朝鮮の非核化に対して2つ話をした。米朝首脳会談はできるが、北朝鮮の各能力の減少を条件とし、その次に非核化地帯にするというものだ。事実上の、非核化要求だ。

 非核化地帯化に言及したことは新鮮に映るが、核能力の減少という条件は伝統的な先に行動するオプションを持っているということだ。実際に行動しようとすれば、問題が発生しうる。そのため、バイデンが当選すれば実際には何もできない可能性もあるのではないかと思う。

対米攻勢よりは対南攻勢を仕掛ける可能性
ハンドン大学のパク・ウオンゴン教授


 北朝鮮としてはICBMを発射するだけの理由がある。火星16型、火星15型を発射せず、実戦配置は厳しい。その時期をいつに定めるか。米国の新政権が始まれば、北朝鮮問題が優先順位にない状況で、北朝鮮は挑発を繰り返せば、バイデンの北朝鮮政策は強硬策へ進まざるを得ない。したがって、北朝鮮としては複雑に考えを巡らせているだろう。

 そうなれば、北朝鮮はむしろ韓国に向かって攻勢を強化することもありうる。いつでもNLL付近で挑発が可能だ。金正恩委員長は2020年6月に敵対関係を猶予すると述べたが、猶予を撤回ではない。そのため、北朝鮮は対南挑発で朝鮮半島の緊張を高め、米国に圧力をかけるような選択も可能だと思う。

対南攻勢の可能性は高くない
梨花女子大学のチョ・ドンホ教授

 
北朝鮮の今後の行動がどうなるか。北朝鮮が韓国に向けて攻勢をかけるというが、むしろ反対のシナリオとなる可能性があると考える。

 北朝鮮は米朝関係を緩和することがすべての問題解決の核心と考えている。米国の制裁に対し、自力更生の長期戦を宣言したが、コロナ禍でうまく行っていない。現在は80日戦闘に入った状況だ。

 このような状況で、米新政権が北朝鮮政策を用意するには時間がかかる。その間に、北朝鮮が韓国に対して攻勢的になるのか、あるいは安定的に進むのかを考えてみると、いずれにしても攻勢を仕掛けるよりは発展的に進むのがよりいいと考えることもありうる。

 米国の政策検討期間に南北関係が悪化すれば、米国の北朝鮮政策に否定的な影響を与える可能性が高い。したがって、北朝鮮としては南北関係をきちんと管理し、好意的な方向へ進むインセンティブがあるのではないか。

 金正恩委員長が2020年10月の閲兵式で「愛する南の同胞」と融和的なメッセージを送ったことや、公務員銃殺事件に対して迅速に謝罪的な立場を伝えたことを見ると南北関係を放置してはならないという考えを持っているのではないかと分析できる。
(韓国CBSニュース、2020年11月6日)


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