NEWS HEADLINES

北朝鮮内のガソリン価格が安定している理由

ニュースリリース|トピックス| 2020年04月10日(金)

Facebook

 北朝鮮国内のガソリン価格が、制裁が続いている中でも常に安定していることがわかった。専門家らは、いわゆる瀬取りによる供給や中国などが原油を提供していることがその理由だと分析している。

 4月8日、ロシアの1月の北朝鮮向け精製油の供給量が2065トンだったことが、国連安全保障理事会のウェブサイトで公開された。ロシアがこのように報告したのは、対北朝鮮決議第2397号によるものだ。この決議は、北朝鮮が1年間で輸入する精製油の限度を50万バレルに制限し、北朝鮮向け供給量を各国に毎月報告するようにしている。

 現在、精製油を北朝鮮に供給している国は、公式的には中国とロシアであり、両国は2018年から毎月、北朝鮮向けの供給量を安保理に報告している。これによれば、2018年に両国が北朝鮮に供給した精製油は4万8430トン、2019年には5万2910トンとなっている。これをバレル当たりで換算すると、それぞれ38万2000バレル、41万8000バレルとなる。安保理決議が制限した年間限度である50万トンを超えていない。

 需要より供給が少ない場合には価格が急騰するが、北朝鮮のガソリン価格を見ると安定している。日本の「アジアプレス」によれば、2019年1年間に30数回にわたって北朝鮮国内のガソリン価格は1キログラム、約1.4リットル当たりの価格を公開しているが、これによると平均価格は1キログラム当たり1万0283ウォンだ。安保理決議第2397号が採択された2017年12月以降、数カ月間2万ウォンを超えたことを除けば、これまでは上昇したとしても平均価格の30%ほどの値上がりとなる1万3000ウォン台を維持している。

 北朝鮮が新型コロナウイルスの流行が始まり、国境を封鎖した後でも、1キログラム当たり1万3000ウォン台で値動きしている。これについて、元世界銀行顧問のブラッドリー・バブソン氏は、ガソリン価格が安定している理由について「瀬取り」を取り上げ、これが北朝鮮が油を得る重要な手段になっていると述べた。バブソン氏は北朝鮮のこのような行動はこの数年間目撃され続けているとし、不法な瀬取りで多量の精製油を輸入したかはわからないと述べた。

 これについて、安保理専門家パネルが2019年に安保理に提出した報告書に、米国などが推定した量を公開したことがある。これによると、米高などは2019年1月から4月までの4カ月間、北朝鮮が瀬取りによって年間限度の2倍となる100万バレル以上の精製油を得たと指摘している。

 ワシントンの民間団体である韓米経済研究所(KEI)のトロイ・スタンガロン先任局超は、瀬取り以外も中国やロシアが北朝鮮向け密輸に関与している要素があると主張している。米ジョージタウン大学のウィリアム・ブラウン教授は、瀬取り以外にも重要なことは、中国の対北原油供給だと指摘する。中国は送油管で北朝鮮に原油を供給しているが、これによりジェット燃料と軽油、ガソリンなどすべての種類の油を精製しているという。スタンガロン氏は、北朝鮮が新型コロナウイルスの拡散を防ぐために国境を封鎖した状況においても、送油管を通じて中国が安定的に送っているという。
(米VOA、2020年4月10日)

 


ニュースヘッドライン