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新型コロナウイルス事態から見た東北アジアの未来

ニュースリリース|トピックス| 2020年04月04日(土)

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 2019年末、中国・武漢で発生した新型コロナウイルスによる感染者が発生した後、拡散を防ぐことができないまま全国に広がった。この2~3カ月間、中国は党と政府、国民と軍人が一心同体となって疫病と徹底的に戦った。今回の危機は、中国政府の危機対処能力をきちんと示すことになった。中国が開発した薬(漢方薬)がコロナウイルス感染者への治療において90%以上に達する効果を見せ、死亡者を大幅に減少させ、伝統医薬も大きな貢献を果たした。

 北朝鮮もうまくやっている。中国で新型コロナウイルス感染者が爆発的に発生すると、いち早く国境を封鎖し、国家衛生防疫システムを国家非常防疫システムへと転換し、全国動員態勢に入った。国際列車と国際航空路を閉鎖し、外国人の入国を禁止した。外国から入ってくる自国民は30日間隔離し、彼らと接触した人たちも40日間の自主隔離を行うようになった。北朝鮮は新型コロナウイルスとの戦争を、国家と民族の運命を守ることと考えた。

 韓国はこれまで一貫してうまくやっている。中国や北朝鮮と違い、国境封鎖や外国人の入国禁止のような極端な措置を執らないまでも、新型コロナウイルス感染者と接触したすべての人たちを追跡、検査、隔離、治療するとても細やかなで人間的な方法を採っている。これは、20数年間構築してきた防疫システムと国民の協力があったからこそ可能だったことだ。韓国は新型コロナウイルス防疫において、国際社会、特に西側社会のモデルケースとなっている。

 日本が米国のように新型コロナウイルス感染者が爆発的に増えるのではないかという指摘がある。筆者はそうはならないと考える。日本と米国は大きく違う。日本人は普段からマスクをつける人が多い。あいさつもお辞儀であり、抱擁をしたり握手をする人はほとんどいない。食事も別々に用意されたものを食べる。お風呂は一日2回入る人もいる。新型コロナウイルスの感染を防ぐほとんどの方法が、日本人の日常生活の習慣と一致する。

国際関係の再調整と新たな調合

 新型コロナウイルスによる現在のような事態から、東北アジアの人たちは互いに理解し、共に助け合った。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は2月1日、中国の習近平国家主席に書簡と共に支援金を送った。韓国の文在寅大統領は「中国の問題は韓国の問題でもある」と述べ、2月2日から500万ドルに達する防疫関連物資を緊急提供した。日本も共に同じ空の下に住む隣人と氏、多くの防疫関連物資を中国に送ってくれた。中国人は北朝鮮や韓国、日本に対しありがたく思っており、中国は今や彼らに防疫関連物資を送っている。

 今回の新型コロナウイルスによる事態は、各国と世界に大きな変革が生じることを予告する。政府の危機対処能力にしたがって、社会の安定を揺るがし、分裂の機運が高まることもあり得る。反対に、社会的分裂を癒やし、社会的団結を強化することにもなり得るだろう。国際関係が再調整され、新たな協調的提案(調合)が生じ、政治的構図が変化する可能性も排除できない。

 今の状況を見ると、今回の事態で米国の国際的リーダーシップが弱まることもあり得る。国際社会のリーダーである米国は、欧州で感染者数が急増したとき、世界保健機関(WHO)と手を結び、大々的な国際防疫キャンペーンを行うべきだった。トランプ政権は今回の事態の責任を他の国へと押しつけることに汲々としていただけで、米国の防疫態勢を準備できず、今のような感染者・死亡者数の増加に至った。EUも今回の事態にうまく対応できなかった。今後、EUはその枠組みを維持はできようが、大きく弱体化するだろう。

ソウルでの韓中日首脳会談に期待

 今回の事態は、東北アジアの各国で現在の政権の能力がまずまずよいということを十分に見せており、相互間の信頼と友好の基礎があることを世界に誇示した。西側世界とは対照的だった。

 東北アジアの国家は進んでいる道をそのまま進むことになるだろう。米国の妨害で東北アジアの平和体制を構築するには難しい状況で、経済共同体を先行させる作業を続けるようになるだろう。東北アジアにはすでに韓中日の3カ国協力事務局があり、3カ国の首脳会議、18の閣僚級定例会などが稼働中だ。中国、北朝鮮、ロシアも3カ国の協議体がある。

 問題はこの二つの協議体をどのようにつなげるかということと、常設機関をどのように設立するか、というものだ。前提条件なく、非伝統的な安保協力体制からつくろうという提案も出ている。相対的に、容易であるためだ。この数年間形成されてきた韓中日の分業構造を大きく再編する必要性も、これといってない。今年、韓国で開催される第9回韓中日首脳会談で、画期的な提案と成果があることを期待してみよう。
北京大学教授・崔応九(2020年4月2日『ネイル新聞』)


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