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朝鮮半島の膠着状態は継続するのか

ニュースリリース|トピックス| 2020年02月23日(日)

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崔応九・北京大教授

 南北の対話は昨年2月のハノイでの米朝首脳会談以降、膠着状態に陥った。北朝鮮は
2019年末、朝鮮労働党第7期第5回総会で重大な政策を新たに決定した。報道された内容
で関心を惹く部分は、軍需工場の民営化と経済における軍の役割の強化、科学技術の自
力更生先導、すべての潜在力の発掘、経済発展のための政策補完などだ。

 筆者は19年10月末に北朝鮮を訪れた。2年あまりの間で、北朝鮮は多くの変化を見せて
いた。平壌では車が増え、ナンバーによる通行規制が実施されていた。食堂は北朝鮮の
市民で混み合っていた。数十階におよぶマンションのエレベーターは正常に稼働してい
た。厳しい制裁の中で、生活がこのようにいち早く改善された現実にも驚くばかりだっ
た。

 北朝鮮は米国との関係改善が難しいと考え、核武力を含めた国防力をさらに強化して
米国に圧力をかけながら関係改善を行おうとする政策を改めて整備したものと思われる
。特に核弾頭の保有数量をできるだけ早くに100個程度にし、ICBM(大陸間弾道ミサイル
)やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)、核電磁パルス弾などの研究と生産に注力するだ
ろう。

 注目すべきことは、外相を李容浩(リ・ヨンホ)から李善権(リ・ソンクォン)に交
代させたことだ。李善権は金英哲(朝鮮労働党副委員長)ラインの人物だ。金英哲は強
引な手法により短期間で韓国、米国、日本との関係改善を行ったため、金正恩委員長の
信任が厚い。彼の考えと主張がどの程度採用されるかは注目するに値する。

 北朝鮮は対米政策を長期的な視点から見始めた。ドナルド・トランプ大統領について
も、再選することを考慮して対応するものと思われる。金委員長は「まもなく新たな戦
略兵器を見せる」とすでに宣言した。もし北朝鮮が新たな戦略兵器の実験を行えば、ト
ランプ大統領は北朝鮮と対話と妥協よりは、今よりも厳しい制裁を選ぶだろう。そして
トランプ大統領の金委員長に対する信頼と個人的な関係もまた、完全になくなるだろう

南北関係改善の最後の機会

 このような状態で、トランプ大統領が再選されれば、今後5年間は、北朝鮮に対する制
裁解除も米朝関係の改善も、今以上望めなくなる。北朝鮮は自らの衝撃的な対応方式が
招く影響について悩まざるを得ない。得られるものよりは失うもののほうが多い選択で
あるためだ。したがって、新たな戦略兵器の実験は11月より後に延期されうる。11月に
トランプ大統領が再選に成功すれば、米朝が再び対話と関係改善に乗り出すだろう。

 今年は米朝間の膠着状態が継続する蓋然性が大きい一方で、南北関係は再始動される
可能性が高い。文在寅大統領は今年の「新年の辞」で、南北関係の再稼働を目標として
提示した後も絶えず努力している。米国政府を説得している。今年は中国の習近平国家
主席が韓国を訪問することが予定されており、韓国、中国、日本の首脳会談が韓国で行
われる。ロシアのプーチン大統領の韓国訪問も推進中だ。文大統領はこのような機会に
、東アジアの鉄道共同体をはじめとする東北アジア諸国の経済協力問題において、具体
的な成果を得ようとするだろう。

 今年は、文在寅政権が南北関係を改善する最後の機会となりうる。2018年に文大統領
が平壌を訪問した際、金剛山観光や開城工業団地の再開を発表した。昨年初頭に、北朝
鮮が無条件の金剛山観光と開城工業団地を再開しようと持ち掛けた際には、その機会を
生かすことができなかった。今回こそ、文大統領は勇断を下すことを信じている。

 金委員長は文在寅政権の決心と関係発展の可能性を認めるようになれば、再び手を南
側に差し伸べるだろう。

 勇気ある決断と一度で大きな成果を望む北朝鮮は、注意深く、かつ段階的に前進する
ほかない文在寅政権を理解して、歩調を合わせるべきだ。それだけでも、今年に南北関
係は経済、学術、安保、離散家族再会など多くの分野で実質的な成果を得る可能性があ
る。

排除できない北朝鮮の衝撃的な対応

 今年3月初旬に予定されている米韓合同軍事訓練が例年通りの規模で進められ、南北関
係改善への希望が米国の妨害と文大統領の優柔不断で水泡となれば、北朝鮮は正面突破
のために衝撃的な対応をすることもありうる。米国が反撃してくれば、レベルを高めて

 正面から対応し、最後まで行こうとするだろう。このような状況になれば、トランプ大
統領が再選しても関係改善を期待するのは難しいと考えることもありうるためだ。

 トランプ大統領が今年、北朝鮮の核開発プログラムを凍結させ、その代価として北朝
鮮への制裁を大幅に緩和し、朝鮮半島の平和体制に向けた話し合いを始めようと決心さ
えすれば、いつでも米朝実務会談、ひいては首脳会談も可能だと思われる。トランプ大
統領の再選にも利益になるだろう。厳しい状況の中で始まった今年一年が、希望の一年
になることを望む。
(韓国『ネイル新聞』2020年2月20日付け)


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