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北朝鮮がレアアースの採掘権付与を中国に提案?(VOA)

ニュースリリース|トピックス| 2019年12月27日(金)

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 中国のレアアースなど鉱業界が、北朝鮮に関心を持ちづけている。業界関係者によれば、中国の工業関係メディア「金属網」に、「北朝鮮が中国にレアアース鉱山の採掘権を与えることを持ちかけた」との報道がなされた。

 金属網によれば、北朝鮮側が平壌の太陽光発電所への投資・建設に協力すれば、それに相応する北朝鮮・平安北道のレアアース鉱山の採掘権を与えるとの内容が、中朝間の貿易文書に記載されていたとという。同様の話が2019年10月にも流れたが、このときは中国外務省は「聞いたことがない」と否定している。

 ただ、それでも中国鉱業界が北朝鮮のレアアースに継続して関心を示し続けるのも理由がある。米ジョージタウン大学のウィリアム・ブラウン教授は、「中国にもレアアースは豊富だが、国内での競争が激しく、中国以外の新たな供給場所を探している状態だ」と指摘する。

 中国は2018年、レアアースの純輸入国になった。同年、9万8400万トンのレアアースを輸入した一方で、輸出は5万3000トンに留まっている。また6種類のレアアース、合計12万トンを18年に生産している。これは世界全体の7割を占める規模だ。
(VOA2019年12月4日)


 ただ、中国国内で採れるレアアースについては、中国政府がこの業界の構造調整を図ろうとして、不法な採掘の取り締まりを強化していること、また生産に至る過程では放射能などの環境汚染に対する監視が厳しくなっており、中国鉱業界も自国以外でのレアアース生産に関心を持たざるを得ないという状況が背景にある。そのため、隣国にある北朝鮮は監視も規制も緩いため、中国側が関心を持ちやすいということだ。

 北朝鮮メディアの一つ「朝鮮の今日」はかつて、自国のレアアース埋蔵量を2億1600万トンと発表したことがある。これは、米地質調査局(USGS)が発表した全世界の埋蔵量1億2000万トンの2倍となる数字だ。USGSによれば、米国の埋蔵りょは140万トン、中国は4400万トンと言う。

 しかし、2006年に北朝鮮が初の核実験を行ったことで、国連安全保障理事会が決議した経済制裁2270号で、レアアース輸出の全面禁止が北朝鮮に課せられている。今後、経済制裁の緩和・撤廃を見据えて、中国鉱業界は北朝鮮のレアアースに関心を持ち続けているようだ。


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