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【北朝鮮 Live!】「自彊力」に敏感な北朝鮮の研究者~平壌天然香料研究所

ニュースリリース|北朝鮮 Live!| 2016年08月20日(土)

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 2016年初、米国は世界を揺るがした朝鮮の水素爆弾実験と人工地球衛星「光明星4号」の発射に対し、国連の安全保障理事会で北朝鮮に対する「制裁」決議2270号を採択した。これは、北朝鮮の地下資源に対する輸出禁止や朝鮮船舶の入港禁止、航空機向け燃料の輸入禁止などを軸とした制裁決議であり、ひいては北朝鮮の経済生活を圧迫し、朝鮮が米国の前で跪かせようとする目的があった。だが、北朝鮮は「米国の制裁をこれまで一度も認めたことがない」と言う。
 
 なぜか。いま北朝鮮で最も力を入れており、どこにでも耳にするのは「自彊力第一主義」という言葉のようだ。朝鮮労働党の金正恩党委員長が第7回党大会の報告で述べた内容は、「朝鮮のすべての分野で生命線として見なしているスローガン」とされ、特に科学研究部門の科学者、研究者がこのため最も敏感に反応しているという。
 
 その一端を見てみよう。教育委員会高等教育省傘下の平壌天然香料研究所所長であり、博士である崔藤広氏(66)は、害虫の被害から果樹と農作物を保護するために、世界で初めて「天然香ナノ分散剤」を研究成果として発表した。
 
 崔藤広によれば、「現在、穀物や野菜、果樹部門で病害虫の発生動態をきちんと予見して駆除することは、農作物の収穫高を高めるためにとても重要な問題」と指摘。ところが、輸入農薬の価格が高く、人体の健康に害となるだけでなく、病害虫の化学農薬に対する抵抗性が高まってしまい、農作物に発生する病害虫をきちんと駆除できずにいたという。

 これに対し、崔所長が考えたことは、植物性農薬を生産・導入することとともに、多くの天然有機物を添加して化学農薬の活性を高め、少微量の化学農薬を使いながらも、農作物に発生する害虫を効果的に駆除すること。そこで、「天然香ナノ分散剤」に対する導入試験の実施を進めた。
 
 現在、世界においては殺虫剤成分をナノ化し、その使用量をグリーン環境水準(既存使用量の3%以下)に下げながらも、殺虫効果を95%以上保証できるために努力を行っている。崔所長はそこで、わが国のどこにでもある植物性原料を100%利用したと胸を張る。その結果、殺虫剤使用料の最大5%、最少1%で殺虫効果を98%以上保証する成果が得られ、年産約1000トン(2000万ヘクタール分)規模で、平壌天然香料研究所に「天然香ナノ分散剤」の工場を設立した。

 経済的実利から見ると、北朝鮮では合成殺虫剤工場を建設する際には、公害への退所をどうするかという問題、そして、北朝鮮を代表する興南製薬工場の5倍にもなる工場を建てざるをえなかった。そうなると、建設のための資材と原料を輸入に依存しなければならない。ところが、この天然香ナノ分散剤を導入すれば、そのような巨大な工場を建設する必要がなく、原価も安く、全国的に数千万ドルの資金を節約できるようになったという。
 
 崔所長は今後、病害虫別に合理的な利用ができる分散剤を必ず完成させ、いま研究している「赤松針油粉末」に対する研究を深化させ、人民の食生活と食料品工業に役立つようにしたいと研究の方向性を説明する。
 



  • 平壌天然香料研究所が開発した幸生剤「天然香ナノ分散剤」。

  • 赤松針油粉末

  • 平壌天然香料研究所所長の崔藤広氏。

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