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韓国の知識陣の約3割が「独自の核武装」を支持

ニュースリリース|トピックス| 2024年05月07日(火)

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アメリカのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は2024年4月29日に発表した報告書で、韓国の知識人の34%が韓国の核武装に「賛成する」というアンケート結果を発表しました。

報告書は、韓国内の学者や専門家、国会議員、企業家、そして前・現職の高官など約1000人を対象に2024年1月から3月まで、オンラインで行った韓国の核武装に関するアンケートの結果だと明らかにしています。調査対象者のうち「反対する」は53%、残り13%は「わからない」と答えました。

報告書によると「核武装に賛成」と答えた知識人のうち、68%は自分自身の政治的傾向を保守、22%は中道、10%は進歩(革新)だと回答しました。また「核武装に反対」と答えた知識人のうち、保守は36%、中道は28%、革新は36%となっています。

報告書は、韓国政府が安全保障政策に関する決定を下す際に知識人の意見を重要視するため、今回の調査を実施することになったと説明し、今回の調査で明らかになった韓国知識人の核武装に関する意見は、一般の韓国国民とは著しく対照的だと指摘しました。

2023年2月、韓国の民間団体である崔鍾賢学術院は、韓国国民の72.8%が「韓国の核武装が必要だ」との調査結果を発表したことがあります。また同年9月には同じ回答が76.6%に達していました。

CSISの報告書は、韓国の知識人層が核武装に賛成しない主な理由は、韓国がルールに基づいた国際秩序を守ることで生じる国際的な地位に大きな価値を置いているからだと説明しました。

報告書によると、核武装に賛成した知識人の65%は賛成の理由として「北朝鮮に対する独自の防衛能力」を挙げ、17%は「アメリカの長期的な安保公約の不在」、15%は「中国とロシアに対する独自の防衛能力」などを挙げました。

また、核武装に反対した知識人の43%が、反対の理由として「経済制裁と国際的な評判の悪化」を挙げ、26%は「米韓同盟への悪影響」、20%は「朝鮮半島上での軍備拡大競争」、10%は「中国とロシアなど隣国からの安全保障脅威の増大」などを挙げました。

報告書はしかし、韓国の知識人層の核武装反対は無条件ではないとし、核武装反対の最も重要な根拠として、アメリカによる韓国への安全保障上の公約が大きく作用していると指摘しました。

そのうえで、同盟の保障や在韓米軍の撤退など、アメリカの対外安全保障政策に今後変化が生じた場合、知識人層の意見が核武装賛成に大きく傾く可能性があると見ています。

報告書によると、2024年11月の大統領選挙後、アメリカが同盟関係や安保公約を相対的に軽視する「アメリカファースト」政策に回帰する場合、核武装に反対した知識人のうち51%が韓国の独自核武装を支持すると答え、「わからない」と答えた知識人のうち83%が韓国の独自核武装を支持すると答えました。

報告書の著者であるCSISのビクター・チャ副所長兼韓国座長は4月29日に行われたオンライン懇談会の席上で、もしアメリカが在韓アメリカ軍を撤退させしたり、韓国を狙った短距離弾道ミサイルは除いて北朝鮮と長距離弾道ミサイル及び核に関する合意さえすれば、核武装を支持しなかった韓国の知識人の半分以上がこれに対する意見を変えるだろうと述べました。

【ビクター・チャ副所長】
「もしアメリカが、北朝鮮とデカップリングや軍隊の撤退、あるいは核兵器や長距離弾道ミサイルと同じように、韓国を標的とする短距離弾道ミサイルは除いたうえで、金正恩総書記と合意したら、それがデカップリングの定義でしょう。そうすれば、この幅広いベースグループ、政治的に核武装を支持していないグループ、半数以上が核武装を支持していないグループの見方も変わるでしょう」

チャ副所長は、核武装に反対する知識人のうち61%がアメリカとの核兵器共有(核シェアリング)を好み、核武装に賛成する知識人のうち54%が独自の核兵器開発を好むという結果は、韓国が核武装に関する決定を下す際に大きな論争が起こることをあらかじめ示していると述べました。

【チャ副所長】
「これは2つの面で重要なことだと思います。1つは、もし私たちがこのような状況になった場合、すなわち振り子が揺れ動くような状況になった場合、韓国ではどのようにすべきかについて大きな議論が行われるでしょう。自主的な核武装を主張する人もいれば、同盟内で核を共有しようという人もいます。自主的な核武装か核共有のどちらが先かということです」

チャ副所長は、今後、韓国は核武装をめぐって2つの選択肢の中で議論を繰り広げられると予測しました。
VOA 2024年4月30日
https://www.voakorea.com/a/7589985.html


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