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「正当性」を国際社会にアピールする北朝鮮の新たな戦略

ニュースリリース|トピックス| 2023年03月07日(火)

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新たな戦略が垣間見える北朝鮮の名分づくり

正当性の主張が核心に

2023年3月7日『ニュース1』

 北朝鮮が今年に入り、談話を連発している。これにより、北朝鮮が国際社会を相手に世論戦に積極的になっている。国際社会の一員であることをアピールしながらも、自分たちの主張を正当化し、その後に「自衛的」軍事活動を行う大義名分を積み上げようとしているようだ。

 北朝鮮は最近の数年間で、日米韓対中ロ北という陣営による新冷戦の構図を積極的に打ち出しながら、自分たちに向けられた制裁など国際社会の措置が不当だという主張に力点を置く行動を見せている。

 これは、北朝鮮が核ミサイル開発の過程において、一人で国際社会と立ち向かうかのような様子を見せていることとは多少違った流れだ。現在の様子は、北朝鮮が今年になって発表した談話でとくにはっきりしている。

 北朝鮮外務省は2023年3月7日、報道局対外報道室長名義の談話を出し、米韓合同軍事演習を非難した。「国際社会は朝鮮半島と地域の緊張緩和を図るための共和国の平和愛護的な努力に合わせて、米国と南朝鮮に戦争演習をすぐにでも中断することに対する明らかなシグナルを送るべきだろう」と述べた。

 これは北朝鮮が非核化交渉が決裂した後、絶えず提起している「ダブルスタンダード」の解消の主体をアメリカから国連へと拡大したものといえる。北朝鮮は自分たちの国防力強化が国際社会の制裁対象となる理由が、「米国との対立」にあるためだとし、これをダブススタンダードという言葉をつかって非難している。

 北朝鮮は今年になり、合計11回の談話を発表しているが、相当数が国連と国際社会を狙ったものだった。

 今年初めての談話となった1月14日のチョ・チョルス外務省国際機関局長の談話において、北朝鮮はグテーレス国連事務総長が国連安全保障理事会で北朝鮮を批判する発言をしたことに対し、「米国の無分別な軍事力増強策動を無視したまま、われわれに責任をなすりつけようとする彼の所作は明らかに典型的なダブルスタンダードであり、国連対する国際社会の信頼を損なう危険な行為」と主張した。

 2月17日に外務省報道官談話では、国連安保理が米国により左右されているとし、「安保理は朝鮮半島の緊張緩和のために忍耐と自生を維持しているわれわれを根拠もなくあげつらっており、朝鮮半島を戦争の練習場に、軍事基地に転変させようとする米国を制止することはもとより、そのどのような憂慮表明もしていない」と批判した。

 2月22日に発表したキム・ソンギョン外務省国際機関担当副相の談話では、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を糾弾するグテーレス早朝に対し、米韓の「憂慮すべき軍事策動に目をつぶったまま、自分たちに対してだけ非難を強めている」とし、「唖然とし、慨嘆するほかない」と反発した。

 これは、自分たちもまた国連加盟国であり、国際社会の一員としての権利を行使し、「正当な」主張を繰り広げるという意思が強く反映されたものと思われる。軍事力を強化しようとする姿勢が問題であるならば、他の国も国連の制裁対象とするべきだという主旨の主張だろう。

 また国際社会の追加的な北朝鮮制裁がある場合、これに対して反発するための大義名分を積み上げようとしている意図もあるようだ。
 2月17日の外務省報道官談話には「もし国連安保理が今後も今のような米国が望むような方向に進むのであれば、共和国は米国の一方的な対朝鮮圧迫の道具として変質している安保理に対する講義として、正常な軍事活動の範囲外に追加的な行動措置を再考せざるをえなくなるだろう」と言及した。

 これをめぐって北朝鮮が昨年から準備してきた7回目の核実験を行う可能性を提起したという分析も出ている。北朝鮮はすべての武力挑発を「自衛的、防御的軍事措置」と主張しているため、このような流れから抜け出す挑発は核実験だけという内容だ。

 金与正・労働党副部長が3月7日に発表した談話で、太平洋が「米国と日本の領有権に属さない」とし、「米国がそのようにしている」太平洋を狙ったミサイル発射の「権利」を主張したことも、このような脈絡から分析できる。

 北朝鮮は今後も継続して日米韓対中ロ北という「新冷戦」構図の中で、自分たちの対外行動の幅を広げるため正当性と大義名分を強調する戦略的外交に出てくるものと思われる。一方では、対米強国路線を進め、中国とロシアの間での役割と存在感を示して実利を得るという意図もあるようだ。
https://www.news1.kr/articles/4973609#_=_
 


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