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朝鮮人民軍創建75周年閲兵式に関する分析

ニュースリリース|トピックス| 2023年02月12日(日)

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北朝鮮の朝鮮人民軍創建75周年記念閲兵式に関する分析
ホン・ミン(統一研究院北韓研究室長)

1.総評
■閲兵式の目的及び主要メッセージ
(1)正規軍創建日を祝賀するイベントを提供、軍と住民の義務
(2)火星17の量産・全国配置体制を誇示
(3)固体型ICBMの開発に拍車、速やかな実験実施を予告
(4)次世代、未来世代及び住民の安全を担保、自衛的国防力の向上

2.行事の特徴
■これまで行われた閲兵式とその動向
(注)○夜間、(参)は金正恩出席、(演)は金正恩による演説が行われた回を意味する。
記念日 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
太陽説
(4.15)

100周年
(参/演)
       
105周年
(参)
            2
建軍説
(2.8)
           
70周年
(参/演)
       
75周年
(参)
2
革命軍
(4.25)
  礼式                
90周年
(参/演説)
  1
戦勝節
(7.27)
 
60周年
(参)
        日中           1
共和国
(9.9)
 
65周年
(参)
       
70周年
(参)
   
(参)
    3
党創建
(10.10)
     
70周年
(参/演)
       
75周年
(参/演)
      2
党大会                  
(1.14)
(参)
    1
合 計 1 2 0 1 0 1 2 0 1 2 1 1 12

・金正恩政権以降、合計12回の閲兵式を開催、すべてに金正恩が出席。
・金正恩政権12年間に閲兵式が行われなかった年は2014、16、19年。
・閲兵式はおおよそ主要記念日となる正周年(5、10年周期)に開催。
・正周年と関係なく開催された場合には、2021年の党創建73周年、第8回党大会直後の閲兵式(コロナ禍で住民の義務という意味合い、党大会戦略兵器開発メッセージを強調するという意味合い)。
・閲兵式で行った金正恩の会陰説は合計5回。
・閲兵式は通常、年2回以上は開催しない(準備、財政負担を考慮)。
・2022年上半期「建軍節」(75周年)、下半期には戦勝節(70周年)、共和国創建日(75周年)のどれで行うかで選択、年3回の実施という記録が出る可能性もある。

■夜間開催のパターン化、総合公演式的な祝典と武器ショーケース効果
・2020年10月10日の党創建75周年以降に行われた閲兵式は5回。すべて夜間に開催。
・光の祝祭的な要素と武器ディスプレーという二つの意味合い。
 (1)大型スクリーン、ドローン撮影、エアーショー、音楽・歌舞など視覚的な要素を提供、住民の立場からは一種の総合公演。祝祭に参加するという正確。
 (2)軍隊と武器に対する証明効果を通じて偉容誇示(一種の武器ショーケース的な正確も帯びる)。

■住民動員によるカードセクションの省略
・これまでの閲兵式で住民を動員して行われていたカードセクションが式典または式典後の行事として行われていたが、今回の編集映像では登場せず。
・今回の閲兵式は住民と軍に提供する一種のお祭り的性格をアピール。

■金正恩による演説が省略された理由、演説をしないことでお祭り的性格に焦点
 ー軍の歴史性、軍隊と武器を主役として打ち出すというメッセージ。
 ー肖像画縦隊の登場など軍の歴史性をアピール、軍を主人公としたお祭り的性格に注力。
 ー2022年年末以降、総会(第8期第6回)、最高人民会議、党中央軍事委員会、政治局会議、建軍節、総会(第8期第7回予定)など多くの主要政治会議を通じしてメッセージを発信。
 ー2022年末、第8期第6回党中央委員会総会で国防力強化と対策・行動を中心とする基調を発表したことがあり、全体的なメッセー異の案配を考えた上で演説を省略した。
 ー2022年4月(金日成誕生日、朝鮮人民革命軍創建日、偵察衛星の発射)、7月(戦勝節70周年)、9月(共和国創建75周年)などを考慮し、演説によるメッセージ発信を配分。

■火星17型と新型固体型ICBMに焦点を合わせたメッセージを込めた写真発表
・労働新聞の閲兵式報道写真は150枚。このうち武器が写った写真は37枚。
・2022年4.25朝鮮人民革命軍閲兵式では152枚のうち、60枚が武器写真を掲載、最大枚数を記録。
・今回の閲兵式は武器の写真数を半分程度縮小した代わりに、火星17型と固体型ICBMに集中。

●金正恩時代の閲兵式に関する労働新聞の掲載写真数
記念日 2023
2.8
2022
4.25
2021
9.9
2021
1.14
2020
10.10
2018
9.9
2018
2.8
2017
4.15
2015
10.10
2013
9.9
2013
7.27
2.13
4.25
2012
4.15
行事全体の写真数 150 152 73 100 127 94 100 78 38 12 18 2 42
武器の写真数 37 60 0 42 62 14 41 25 8 2 4 0 11

・今回の閲兵式は既存兵器を最大限動員する方法よりは、代表的な武器や対米メッセージに重点を置き、強力な印象を与えることができる火星17型と新型固体型ICBMに集中するように効率化した。

■閲兵式の規模、60の部隊・1万5000人が参加
・46の歩兵中隊、14の機械化部隊の合計60の部隊が参加。規模は約1万5000人。
・2022年の4.25閲兵式が50の歩兵中隊、22の機械化部隊の計72部隊、参加規模は約2万人。
・おおよそ2022年の歴代級を記録した4.25に比べ、規模は75%程度レベル。

●金正恩時代の閲兵式で識別された武器の種類と規模
日  時 2023
2.8
2.22
4.25
2021
9.9
2021
1.14
2020
10.10
2018
9.9
2018
2.8
2017
4.15
2015
10.10
2013
9.9
2013
7.27
2012
4.15
識別武器 約13種
100数台
26種
170台
0 20種
172台
23種
225台
12種
125台
17種
136台
22種
169台
31種
291台
2種20台 38種
285台
37種
560台
全体部隊 60 72 労農
赤衛隊
50 61 54 36 85        
参加人員 1万5000 2万   1万5000                


■登場武器、火星17型量産型10数台、開発を目前とした固体型ICBMを公開
・今回の閲兵式は約13種、100数台の武器が動員。
・2022年4.25得閲兵式では26種、170台が動員されたが、今回は半分程度の規模縮小。
・登場兵器は過去登場した武器4種、主力戦車M20201種、自行曲射砲1種、300ミリ12連装放射砲1種、超大型放射砲1種、対空ミサイル1種、KN-24、KN-23、火星17、固体型ICBMなど。
・最近登場した武器を大胆に縮小し、火星17型10数台を動員。2022年の発射試験に成功した後、量産体制、全国配置に入ったことを知らせることに焦点。
・また2022年末に固体燃料型ICBM推進体を実験して以降、総会で迅速な反応が可能なICBM開発を2023年の課業として提示、23年は固体型ICBM成功に集中することを予告するという意味合いにおいて、電撃的に発射管とする武器を公開。

●最近の閲兵式に登場した兵器と順序
2023年2月8日 2022年4月25日 2021年1月15日 2020年10月10日
<過去の通常兵器部隊>
歩兵第1連隊6隊
第603バイク連隊18隊
牽引砲兵部隊6隊
T-34戦車部隊6隊

<主力戦車部隊>
M2020戦車・北朝鮮版
エイブラムス6台

<最新型自走歩兵部隊>
155㍉自走放射砲6台
300㍉12連装放射砲6台

<超大型放射砲>
KN-25(4連装)6台

<対空ロケット兵器>
ポンゲ7型6台(推定)
KN-24 6台
KNー23車両型6台
火星17型7台
固体型ICBM4台 

 
<機械化部隊/戦術ミサイル部隊>
1.8連装スパイク対戦車
ミサイル装甲車9台
2.M2010APC装輪装甲車9台

<戦術誘導兵器部隊>
3.ATGM搭載トラック9台
(北朝鮮版スパイク搭載・推定)

<主力戦車部隊>
4.M2020戦車8台

<最新型自走砲部隊>
5.155㍉自走型曲射砲8台
6.240㍉22連装放射砲9台
7.300㍉12連装放射砲9台

<超大型放射砲>
8.戦略巡航ミサイル5連装9台

<ミサイル部隊>
9.戦略巡航ミサイル5連装9台
10.KN-23改良型sLBM4台

<水中戦略弾道弾部隊>
11.SLBM
(北極星5型より大きい形態)4台

<対空ロケット兵器>
12.新型低高度対空システムレーダー6台
13.金星3号地対艦(KN-19)
装甲化改良型兵器4台
14.ポンゲ7型4台

<戦略軍機械化部隊>
15.北朝鮮版KTSSM6型
16.KN-23(北朝鮮版イスカンデル)8台
17.KN-24(同ATACMS)
18.KN-23大型化
(高重量弾道型)改良型6台
19.極超音速ミサイル2型6台
20.火星8(グライダー滑空体
極超音速ミサイル)6台

<チャン・チャンハ赤旗中隊>
21.火星15月4台

<キム・ジョンシク>
22.火星1型7 4台
<機械化部隊>
1.8連装スパイク対戦車
ミサイル装甲車9台
2.M2010APC装輪装甲車9台

<機動砲兵>
3.M2020装輪型装甲車9台

<主力戦車>
4.M2020戦車

<最新型自走砲>
5.155㍉自走型曲射砲9台
6.200㍉12連装放射砲9台

<多連発攻撃兵器ー超大型放射砲>
7.KN-25 4連装9台
8.KN-25 6連装9台

<水中戦略弾道弾>
9.北極星5S 4台

<対空ロケット兵器>
10.新型低高度対空システムレーダー
11.ポンゲ6型4台
12.ポンゲ7型6台

<最新型主力装備>
13.KN-23車輪型6台
14.KN-24 9台
15.KN-23改良型SLBM
 
<戦略ロケット部隊>
1.8連装スパイク対戦車
ミサイル装甲車9台
2.M2010APC装輪装甲車9台

<機械化砲兵部隊>
3.M2020車輪型装甲車9台

<戦車部隊>
4.M2020戦車

<最新型自走砲部隊>
5.155㍉自走型曲射砲8台
6.240㍉22連装放射砲9台
7.300㍉12連装放射砲9台

<超大型放射砲部隊>
8.KN-25 4連装9台
9.KN-25 6連装9台

<ロケット部隊>
10.戦略巡航ミサイル
5連装9台
11.金星3号地対艦ミサイル(KN-19)9台

<水中戦略弾道弾>
12.北極星4S 4台

<対空ロケット兵器>
13.新型低高度対空
システムレーダー
14.ポンゲ6型4台
15.地上発射用北極星2型
6台
16.ポンゲ7型6台
17.KN-23車輪型6台
18.KN-23軌道型6台
19.KN-24 9台

<火星砲兵>
20.火星12型6台

<大陸間弾道ミサイル部隊>
21.火星15型4台
22.火星17型4台
 


■金チュエの登場に関連、核兵器の高度化を宣伝するフレームに転換
・今回まで5回登場。すべて武器や軍の行事(火星17型発射及び記念撮影、KN-23及び火星12型生産施設訪問、朝鮮人民軍創建75周年記念宴会、閲兵式など)
・戦略的に重要な武器の公開や生産施設に出席するという、核兵器を通じて娘を公開しようというメッセージに、金チュエの象徴性を活用するという意味合いだと分析可能。
・核兵器によって強調してきた国防力強化、対米抑止力、自衛的抑止力というメッセージと
未来世代を代表する金チュエを結合させれば、核兵器の高度化による未来世代の安全、住民の安全が担保されたというメッセージ効果。
・今まで核兵器を通じて米国と対等な核保有国になったことを好戦的で刺激的な用語を通じて誇示することに焦点。2022年から一般国家の自衛権的国防力強化、国家と住民の安全を担保するためという意味合い、未来世代の安全、世界平和と安全など、核兵器の高度化宣伝フレームに転換。
・金チュエはこのようなフレーム転換に置いて未来世代のアイコン、金正恩中心の家父長的大家庭論という意味合いにおいて、体制と政権の安全、金正恩と白頭血統の保衛などを象徴する人物として活用。

3.今後の展望
・固体型ICBMと偵察衛星発射実験の本格化、上半期に発射実験の可能性。
・1~2月の米韓合同軍事訓練には内部行事と懸案として対応がなかったが、2月中旬以降3月の訓練に対応した本格的な軍事的動きが見える可能性。
・重要な戦略兵器の開発過程、成功モメンタムに金チュエを活用したイメージ政治が続く可能性。
 



  • 朝鮮中央通信。

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