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韓国は核兵器の保有をすべきかどうか

ニュースリリース|トピックス| 2022年10月18日(火)

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鄭成長(世宗研究所北朝鮮研究センター長)

 

Ⅰ.北朝鮮の対南戦術核攻撃演習と韓国の安保危機

 

○北朝鮮は労働党創建記念日である10月10日付労働新聞などを通じ、9月25日から10月9日までの15日間にわたって実施した弾道ミサイル発射などが、金正恩総書記が直接指導した「戦術核運用部隊の軍事訓練」だったと公開した。

 

−北朝鮮がこれまで戦術核兵器の前方実戦配置計画などを明らかにしたことはあったが、「戦術核兵器運用部隊など」を動員して軍事訓練を実施したことは今回が初めて。

 

○北朝鮮は朝鮮労働党中央軍事委員会が2022年9月下旬、「わが国家の戦争抑止力の信頼性と戦闘力を検証、および向上させ、敵に強力な軍事的対応警告を送るために、特別な水準の実戦化された軍事訓練を組織進行することを決定」したと発表。

 

−したがって、戦術核兵器の使用を上程した北朝鮮の軍事訓練は、米国の原子力空母など戦略資産を動員した韓米の圧力に対し「強力な軍事的対応警告」を送るためだけでなく、北朝鮮の「戦争抑止力の信頼性と戦闘力」を検証、および向上させることにも目的があった。

 

○過去に北朝鮮は、彼らが核開発の目的が米国を狙ったものであり、同族である韓国を狙ったものではないと主張していた。

 

−しかし、2022年から北朝鮮は韓国を狙った戦術核兵器の前方実戦配備、および核兵器使用で脅してきており、今回は具体的に戦術核兵器を利用して韓国の飛行場などと主要軍事指揮施設、主要港湾などに対する打撃を想定した超大型放射砲と戦術弾道ミサイルの打撃訓練を進めた。

 

−そして有事の際には、米国の軍事介入を遮断するため、中距離弾道ミサイルで日本列島を越えて4500キロメートルの太平洋上の目標水域の打撃まで行った。

 

○韓米の合同訓練はどこまでも在来式兵器を持って行われており、韓国は核兵器のない非核保有国にもかかわらず、北朝鮮がこのように韓国に対する戦術核兵器の使用訓練まで実施することは、北朝鮮の核兵器が単純な抑止力というレベルを超えたものであることを意味する。

 

−このように北朝鮮の核兵器が防御的水準を超えて、非核保有国である韓国に対するとても深刻な脅威として浮上しているが、韓国と米国政府は北朝鮮の「非核化」という実現不可能な目標に依然として執着しており、北朝鮮の核の脅威の変化にまったく対応できずにいる。

 

−韓国が核オプションを今後も放棄する限り、北朝鮮は韓国に対して自信を持ち、無視しながら、核の脅威の水準を今後も上げていくだろう。

 

○韓国社会の中には、北朝鮮が核を保有する目的はどこまでも米国や韓国の攻撃を抑止するためのものであり、まさか韓国に核を使うことがあるだろうかという「希望的思考」を持ってアプローチしている者がいる。

 

−そして北朝鮮が戦術核であれ戦略核であれ、どのような核兵器であっても使用すれば、北朝鮮政権はすぐさま消滅を迎えるという北朝鮮の核報復能力を過小評価している。

 

−ところで、ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻を決定するまでの過程で確認できたように、すべての政治指導者が常に合理的な判断を下すものではなく、誤解によっても戦争勃発が可能である。

 

Ⅱ.米国の拡大抑止、戦術核兵器再配置、核共有が信頼できるだけの選択なのか

 

○北朝鮮がすでに2017年に水素爆弾開発に成功し、米本土を打撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発にも相当な進展を見せており、韓国が米国の核の傘と拡大抑止にだけ今後も依存できないということが徐々に明確になっている。

 

−2022年10月5日に開催された世宗国防フォーラムで、延世大学のコン・ピョンウォン航空宇宙戦略研究院安保戦略センター長(元統合参謀本部戦略次長)は「北朝鮮が韓国を狙って核を使用したあと、ICBMを準備しておき、米国がもし北朝鮮に核攻撃を行えばシアトルやロサンゼルスに向けて打つだろう」と主張すれば、米大統領が核使用に踏み切ることはとても難しくなるだろう」と評価。

 

−コン・センター長は、米国の学者らと数回にわたったセミナーの際に「このような状況で米大統領が北朝鮮に核兵器を使用できるか」と聞くと、大部分の学者が「米国大統領は核使用を決心できないだろう」と答えたという。

 

○米国が北朝鮮との核戦争を避けるために、対北核報復攻撃を決心するのが難しいのであれば、一部の専門家が主張するように、米国の戦術核兵器を再配置したり、日米韓が核を共有するとしても、結局、核使用の決定は米大統領が出すようになっているため、状況はそう大きく変わることはないだろう。

 

−9月16日に開催された韓米拡大抑止戦略協議体(EDSCG)会議で韓米は「北朝鮮のどのような核攻撃にも圧倒的で決定的な対応に直面するようになるだろう」と明らかにしたが、現在の状況を見ると、北朝鮮が核攻撃を行った時、米国は核兵器で対応するのではなく、北朝鮮との核戦争を避けるために「圧倒的な」数量の在来式兵器で対応する可能性が高い。

 

Ⅲ.韓国の独自核武装に対する米国の立場の変化と対米説得方案

 

○北朝鮮の核とミサイル能力の高度化によって、米国の拡大抑止に対する信頼が弱まり、国内で韓国独自の核武装を求める声が高まっているが、一部の非拡散専門家やジャーナリストは、韓国の独自的核武装は実現不可能な目標だと主張。

 

−そして、米国が韓国の独自的核武装を絶対に容認しないだろうし、韓国が核武装を決定すれば韓国も北朝鮮のような「不良国家」となり、国際社会の強力な制裁によって韓国経済が破綻し、韓米同盟も消滅するだろうと主張。

 

○ところで、このような「核兵器不可論」は何よりもまず「米国が韓国の独自的核武装を絶対に容認しないだろう」という仮定から根本的な問題点を露呈している。

 

−韓国の核武装に対する米国内の議論を冷静に、詳細に見てみると、核武装に反対する非拡散論者の見方と核武装を受け入れるべきだという現実主義的見方が共存している。

 

−金正恩政権後の2013年、北朝鮮が3回目の核実験を行って以降、米国の専門家を中心として「韓国の核武装を現実的に受け入れるべきだ」という声が出始め、2016年に北朝鮮が4回目の核実験を行った後からは、核武装受け入れ論が米国政界にまで拡散。

 

−そして2021年、北朝鮮が第8回党大会において核武力高度化の方向性を具体的に明らかにしてからは、米国で韓国の核武装を受け入れるべきだという主張がさらに力を得ている。

 

※韓国の独自的核武装問題に対する米国の認識の変化については拙稿「核自強論を知る① 韓国の独自的核武装は実現不可能な目標なのか——米国の立場に対する正確な理解と戦略的アプローチの必要性」(2022年9月26日)を参照。

 

○韓国が独自的核武装の方向へ進むために最も重要なことは対米説得。

 

−韓国が独自的核武装を推進するようになれば、米国からはそれを防ぐべきだという非拡散論者と、受け入れるべきだという現実主義者との間で激論が繰り広げられるだろう。

 

−そして米政権もどのような選択をすべきなのか悩まざるを得なくなるだろう。

 

−そのため、韓国政府は韓米首脳会談と国家安保室長との間の高位級会談などを通じて、核武装が不可避なものであることを説明し、韓国の核武装が米国の国益にも合うという点を説得する必要がある。

 

○韓国政府はまず、韓国が民主主義国家であるため、国民の要求と願いを無視できない点を強調する必要がある。

 

−ウクライナ戦争前の2021年12月、シカゴの国際問題協議会が韓国国民1500人を対象に行った世論調査では、71%が核武装を支持。

 

−2022年、韓国・峨山政策研究院が刊行した報告書『韓国人の韓米関係認識』でも、国民の70%が自主的な核武装開発を支持。

 

−社団法人サンド研究所が2022年6月に刊行した『2022年国民安保認識調査報告書』では、回答者の74.9%が韓国の独自的核武装開発に賛成。

 

−ソウル大学統一平和研究院が9月22日に公開した「2022統一意識調査」によれば、韓国の核武装に対する賛成意見は昨年より10%上昇した55.5%であり、関連調査を始めてから最高レベルとなった。それにもかかわらず、同院の調査結果において、ほかの機関による調査よりは独自的核武装開発に対する賛成が低く出たのは、成人男性の対象が個人面接による調査という方法が影響を与えたものと分析される。

 

−このように、北朝鮮による核の脅威に対する不安感のために、すべての世論調査で国民の過半数が独自的な核武装を支持している。そのため、韓国政府が国民世論を政策化することは至極当然のことだ。

 

<票1>各種世論調査での独自的核武装支持率

 

調査機関

調査機関

独自的核武装への支持率(%)

米シカゴ国際問題協議会

2021年12月1〜4日

71

韓国・峨山政策研究院

2022年3月10〜12日

70.2

サンド研究所

2022年6月27日

74.9

ソウル大学統一平和研究院

2022年7月1〜25日

55.5

 

○韓国が核武装をすれば、仮に北朝鮮が核兵器で韓国を攻撃するとしても、米国が北朝鮮と核戦争を行う理由が消え、米国本土がより安全になるという点を強調する必要がある。

 

−もし韓国が核兵器を保有するようになれば、北朝鮮は遠くにある米国の核ではなく、近くにある韓国の核をより意識せざるを得ない。そのため、北朝鮮が先に米国を攻撃する可能性は低くなり、米国はより安全になるだろう。

 

−そして北朝鮮も、韓国の軍事力は北朝鮮の相手にならなくなり、韓国軍を無視できなくなる。偶発的な核使用を防ぐためにも、南北軍事統制と対話に出てこざるを得ないだろう。

 

○韓国が核兵器を保有しない状態で北朝鮮が戦術核兵器で韓国を攻撃する場合、米国が北朝鮮の核による報復に対して憂慮するため、北朝鮮に核兵器を使用しない、あるいは使用するにはためらいが生じれば、韓米同盟に対する韓国国民の信頼度は一気に崩れるだろう。

 

−しかし韓国が核を保有するようになれば、韓米同盟が試験台に上がることを避けられ、米国は韓国を守るために北朝鮮と核戦争を行う最悪の状況を避けることができる。

 

−そして、韓米同盟は永久に持続可能な同盟として存続できるだろう。

 

○韓国が核兵器を保有するようになれば、韓米同盟が弱まることもありうるという米国内の一部の心配を解消する必要がある。

 

−ソウル大学統一平和研究院が2022年9月22日に公開した「2022統一意識調査」によれば、「どの国を最も近く感じるか」という質問に対し、80.6%が米国を選び、続いて北朝鮮9.7%、日本5.1%、中国3.9%、ロシア0.5%となった。

 

−したがって、韓国が核武装をしても韓国国民は韓米同盟の継続を望むだろうし、韓国が中国に軽視されることも発生しないだろう。

 

○韓国の独自的核武装に対し、米国の民主党政権よりは共和党政権が相対的に妥協的な態度を見せると予想される。

 

−もし米国の次期大統領選挙で日韓の核武装に肯定的な立場を持っているトランプが再選されれば、韓国は米国の強力な反対や制裁に対して心配することなく、核武装の方向へ比較的順調に進むことができるだろう。

 

−しかし、韓国の政治指導者が北朝鮮の「完全な非核化」という実現不可能な目標に執着したり、「一時的な制裁」を恐れて米国を説得するという決断を下すことができなければ、韓国が独自的な核武装を通じて「南北核の均衡」を実現できる「機会の窓」が開いたとしても、その機会をつかむことはできず、今後も北朝鮮の核による脅威の下で生活せざるを得なくなるだろう。

 

○米国の民主党政権は共和党政権と比べ、同盟を重視する傾向がある。しかし、オバマ元大統領が「核のない世界」という理想的で非現実的な目標を追求したように、民主党政権は核拡散に否定的な立場をとる可能性が高い。

 

−ところで、現在の安保分野で米国にとって最大の関心事がウクライナ戦争に集中しているため、韓国政府は米国が韓国の核武装に同意すれば、非公開でウクライナに対して大規模な軍需支援を行う方案を考慮する必要がある。

 

−そして韓国が核武装を行うが、イスラエルのように対外的に核保有について肯定も否定もしないNCND政策をとる方案も考慮する必要がある。

 

○それにもかかわらず、バイデン政府が韓国の核武装に対して強力に反対すれば、韓国の核武装実現を米共和党政権が始まるまで先送りし、対米説得を継続することが望ましい。

 

−共和党政権は過去に対中牽制のためにインドの核武装を容認し、テロとの戦争のためにパキスタンの核武装を容認したように、「友好的な核拡散」に民主党政権よりもより開かれた態度を見せる可能性がある。

 

Ⅳ.韓国の独自的核武装のための中長期手、段階的アプローチ

 

1.北朝鮮の7回目の核実験とNPT脱退の連携の必要性

 

○韓国社会の一部では、韓国が核拡散禁止条約(NPT)から脱退すれば、国際社会からの深刻な制裁に直面するとの主張があるが、これは明確に事実とは違う。

 

−NPT第10条1項は「各締約国は、この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合にはその主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。当該締約国は、他のすべての締約国及び国際連合安全保障時理事会に対し3カ月前にその脱退を通知する。その通知には、自国の至高の利益を危うくしていると認める異常な事態についても記載しなければならない」と規定している。

 

−したがって、北朝鮮が7回目の核実験を強行すれば、韓国はそれを理由に条約脱退を通告できる。

 

−そして脱退が発効する3カ月後に米国との協議結果を基に核武装を推進するかどうかを決定すればよいだろう。

 

−過去に北朝鮮もNPTから脱退したが、だからと言って国連安全保障理事会の制裁を受けなかった。

 

○そのため、韓国政府は今からでも遅くならないように、もし北朝鮮が7回目の核実験を行えば、韓国は生存と安保のためにNPTを脱退するほかないと宣言する必要がある。

 

−もし韓国がNPTから脱退すれば、それは韓国も核武装の方向へ進めることを内外にはっきりと示すことになるため、核物質の保有から韓国より劣勢に置かれている北朝鮮としてはかなり当惑することになるだろう。

 

−したがって、北朝鮮は7回目の核実験を強行するか悩まざるを得なくなる。

 

−そして韓国の核武装が日本や台湾の核武装へつながる可能性を憂慮する中国も、北朝鮮の核実験を防ぐために北朝鮮に圧力を行使するだろう。

 

-そのため、韓国がNPTを脱退することで核武装の可能性を開くことは、韓国の内外の交渉力増大をもたらす。

 

−北朝鮮が2022年10月16〜11月7日の間に7回目の核実験を行う可能性が高いと韓国政府がみているが、NPT脱退というとても有用なカードを使わないのはとても歯がゆい。

 

2.NPT脱退後の核武装、および南北核軍縮交渉の方案

 

○もし韓国政府の警告にもかかわらず、北朝鮮が核実験を強行すれば、韓国政府はすぐさまNPT脱退を宣言するべきだ。

 

−そしてもし「今後6カ月内に北朝鮮が南北と米中の非核化交渉のテーブルに出てこなければ、韓国は独自に核武装を推進せざるを得ない」と宣言することが望ましい。

 

−韓国政府がこのように断固とした決断を見せれば、北朝鮮は韓国の核武装を防ぐために非核化交渉に参加することを真剣に悩まざるを得なくなる。

 

−そうしてこそ、もし北朝鮮が非核化交渉に出てくれば、韓国政府は米国と北朝鮮ともに受け入れ可能で精巧な構想を持ち、北朝鮮の段階的な核軍縮を引き出せるだろう。

 

○韓国のNPT脱退宣言の後にも、北朝鮮が6カ月以内に非核化交渉のテーブルに出てこなければ、韓国政府は米国との緊密な協議と暗黙的な同意の下に、核武装を推進することが望ましい。

 

−核武装の方式として、イスラエルのように隠密に核武装を推進しながらも、核武装しているかどうかについては公式的には肯定も否定もしないまま、非公式的な方式によって核武装の事実を内外に認識させるようにする方式と、「北朝鮮が核を放棄すれば韓国も核を放棄する」という「条件付き核武装」の立場を鮮明にし、核武装に着手する方式がありえる。

 

−最初の方式は韓国の核武装に対する国際社会の一部からの反対を緩和させる長所があるが、このようなやり方をすれば北朝鮮との核軍縮交渉は難しくなるだろう。

 

−したがって米国との緊密な協議によって隠密に核武装を推進し、それが完了すれば北朝鮮が核を放棄すれば韓国も核を放棄するだろうという立場をとりながら、北朝鮮と核軍縮交渉を推進することが望ましい。

 

○在来式兵器の分野で韓国に対して絶対的な劣勢に置かれている北朝鮮が、「完全な非核化」を受け入れる可能性は低い。

 

−そのため南北が核軍縮交渉を通じて、南北ともに核兵器の保有量を「10個以下」まで減らす「準非核化」を現実的な目標として設定し、米国との緊密な協議の下で北朝鮮の核軍縮に相応する国際社会の対北制裁を段階的に緩和する方案を推進する必要がある。

 

−もし北朝鮮の核兵器保有量が「10個以下」に減らせるなら、北朝鮮が外部から攻撃を受けるとそれを防衛用として使用できても、先制攻撃として使用することは難しい。

 

○北朝鮮の核兵器保有量が増えれば増えるほど北朝鮮は核兵器を持とうとする中東国家にそれを販売しようという誘惑に駆られることがあり得るが、北朝鮮の核兵器保有量が「10個以下」に減らせれば、それだけ核拡散の可能性も少なくなる。

 

−現在、北朝鮮は50個ほどの核兵器を保有、あるいはその程度の核兵器を作ることができる核物質を保有していると推定されている。もし南北核軍縮交渉によって核兵器保有量を10個以下に減らせることができれば、朝鮮半島と東アジア、米国本土はそれだけより安全になるだろう。

 

○南北核軍縮交渉によって北朝鮮の核兵器が減れば、国連安全保障理事会の対北制裁もそれだけ緩和される。これにより韓国政府が金剛山観光を再開し、開城工業団地の再稼働を行えば、南北、中国との鉄道・道路連結も推進できるようになる。

 

−そのため、韓国内の進歩(革新)陣営と政界も核武装について無条件に反対だけをするのではなく、核武装による逆説的な核軍縮へと進み、南北交流を再開する方案を積極的に検討すべきだろう。

 

<表2>独自的核武装・南北核軍縮交渉のロードマップ

 

段 階

実行課題

第1段階

北朝鮮が7回目の核実験を行えば、韓国政府がNPTから脱退すると警告

第2段階

北朝鮮が7回目の核実験を行った時、韓国政府はNPT脱退を宣言し、6カ月以内に北朝鮮が非核化交渉に復帰しなければ韓国も核武装すると警告

第3段階

北朝鮮が非核化交渉に応じなければ、米国との緊密な協議を行い、核武装を推進(イスラエルのように核武装について肯定も否定もしないやり方と、条件付きの核武装という立場を鮮明にした後推進するやり方の双方から選択)

第4段階

韓国の核武装が完了した後、北朝鮮との核軍縮交渉を推進。北朝鮮が核軍縮を受け入れれば、国際社会の対北制裁緩和、金剛山観光再開、開城工業団地の再稼働、南北・中国との鉄道・道路連結などを推進

 

Ⅴ.結び:機会の窓が開かれるまで放棄してはならず、長期的な見方で準備すべき

 

○2022年、ロシアによるウクライナ侵攻以降、北朝鮮の核武力の高度化に対するブレーキがなくなったことで、逆説的に韓国の独自的な核武装により有利な環境がつくられている。

 

−ロシアのウクライナ侵攻以降、従来の関係が極度に悪化しながら、今年からは北朝鮮がICBMを試験発射しても国連安全保障理事会で対北制裁が採択されずにおり、今後7回目の核実験を強行しても対北制裁が採択される可能性はきわめて低い。

 

−このように、ウクライナ戦争を前後して核保有国の非拡散協調体制には重大な変化が発生した。

 

○ロシアと中国が北朝鮮のICBM試験発射に対する国連安保理レベルでの対北追加制裁を採択することを拒否している状況において、韓国が北朝鮮が北朝鮮による核の脅威に対する不安感を克服するために、核武装の方向へ進むことについて、米国が国連安保理において制裁を採択することを推進することは想像できないこと。

 

−北朝鮮の核脅威に立ち向かうために、日米韓の安保協力強化を強調している米国が、北朝鮮と中国に有利に韓米同盟関係を崩す行為を行う可能性は薄い。

 

○米国は中国から遠くない位置にある韓国・平澤に世界最大規模の海外米軍基地を置いており、米中戦略競争が先鋭化している状況において、韓国の戦略的価値は今後も高まる。

 

−そして米国は半導体分野で韓国や台湾、日本との協力がとても切実な状況。

 

−ただ、韓国の核武装が核ドミノ現象をもたらすことを憂慮して、米国が韓国の核武装を時制するように動く可能性がある。

 

○一部専門家は、韓国の独自的核武装が実現不可能な目標と主張するが、イスラエルとインド、パキスタンも達成した目標を韓国だけが達成できないと主張することは行きすぎた敗北意識。

 

−韓国が独自的核武装によって南北核均衡を実現し、朝鮮半島に新たな平和と安定の時代をもたらすためには、最高指導者の政治的決断が何よりも重要であり、そのような目標を達成するための精巧な戦略と対米、対中、対日説得ネットワークが必要。

 

−韓国の独自的核武装が実現不可能な目標としてやる前から断定して放棄すれば、韓国はいつまでも北朝鮮の核脅威の下で生活しなければならない。

 

−そのため、「機会の窓」が開かれるまで、決して放棄してはならず、長い呼吸をもって準備でも始める政府と政界の決断が必要だ。

 

(原文)http://www.spnews.co.kr/news/articleView.html?idxno=56958


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