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「北朝鮮の武力挑発を抑止するチャンスが減っている」

ニュースリリース| 2022年04月03日(日)

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 北朝鮮の挑発レベルが高まりつつある中、米国の朝鮮半島専門家らは北朝鮮の核開発を押しとどめるチャンスがだんだん減っていると指摘します。非核化を長期的な目標としながらも、北朝鮮の核兵器使用の可能性を減らす実用的な方法を考えるべきだと助言しています。VOAに出演したマンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表と核拡散脅威イニシアティブ(NTI)のエリック・ブルアー先任局長が対談しました。

――北朝鮮が核実験を再開するという報道が出ています。北朝鮮が7回目の核実験を強行しますか。


フランク・ジャヌージ=そうなるでしょう。私は国家指導者が何かをすべきだと考える時には、ほぼやると考えています。金正恩は新年の演説ではっきりとさせたことがあります。北朝鮮の進むべき道は核戦力を現代化するために核の力量を継続して完成させ、核弾頭を長距離ミサイルに装着できるように小型化させるということでした。

 現在、制裁や政治的圧力を強め、北朝鮮を説得させることができるというはっきりした理由はないと思います。現時点でアメリカにとって実際の問題となるのは、北朝鮮がミサイルを試験発射するか、そして核実験を行うかと言うことではありません。このような実験に対してアメリカ、そしてより重要なのは国際社会の一致した対応が何なのかということです。

――ブルアー局長はどう見ていますか。

エリック・ブルアー=その意見に同意します。「核実験を行うのか」ではなく、「いつするのか」がより重要な問題だということです。2020年1月以降、金正恩は何回か長距離ミサイルの発射と核実験に対して、自ら付加した制約に囚われないと述べました。われわれはICBMが試験発射されたことで、その制約がなくなったことを目の当たりにしました。したがって、結局、北朝が前に進むことを押しとどめるチャンスは徐々に少なくなっています。北朝鮮が徐々に進んでいく様子を見るのは、とても不幸な状況だと言えます。

――核実験を行うとすれば、2018年に豊渓里の核実験場を廃棄したという北朝鮮の主張は嘘だったとなりませんか。

ブルアー=私は「北朝鮮がうそをついたのかどうか」という観点からは見てはいません。当時、北朝鮮は坑道の入り口を破壊する措置を行いました。衛星発射場施設についても解体のための措置をとりました。しかし、意図的に復旧が可能な方式を選び、われわれはそのような措置が原状復帰できることを知りました。したがって、多くの演出があったということです。

 このような経験から考えられることは、北朝鮮と合意する場合には、中間合意であれ非核化に対する長期的な合意であれ、北朝鮮が行う段階に対する共同の理解がとても重要だということです。北朝鮮が行う具体的な行動が非核化という目標であれどんな目的であれ、確実に意味のある寄与ができるようにすべきだということです。そうしてこそ、国際調査団が現場でそういった措置の検証を行うようにするべきなのです。

――ジャヌージさんもそう考えますか。

ジャヌージ
=相当部分、同意します。重要なことが、「北朝鮮はウソをついたのかどうかということではない」と強調したいと思います。

 それより関心を寄せるべきは、非核化と平和的努力というものに対し、いかに北朝鮮を関与させるか、その努力をどうやっていくかということです。1994年にジュネーブ合意や寧辺の核実験施設冷却塔の撤去、豊渓里核実験場の坑道入り口爆破といった措置と関係なく、それを行うまでの過程の中で、非核化という目標に向かって若干の進展を作っていくチャンスがありました。それに失敗したということです。そのため、北朝鮮が過去に戻ったり後退したり、または隠密な方式で核力量を継続して追究していく姿をみることになりました。

 豊渓里の核実験場の坑道入り口爆破は、典型的なケースだと考えます。基本的に北朝鮮の核プログラムにおいて不可逆的なことはありません。アメリカの対北朝鮮外交で最も深刻な被害を与えた言葉の一つは、まさにCVID、すなわち「完全で検証可能、不可逆的な非核化」の追究です。不可逆的な非核化ということはありません。

――アメリカが北朝鮮を対話のテーブルにどのように引き寄せることができますか。北朝鮮自らテーブルに復帰できるようにする方法はありますか。

ブルアー
=つまらない回答ですが、いますぐにわれわれができることは多くはありません。金正恩は会談に参加することが北朝鮮の利益ではないと判断しました。交渉に関心がないということです。アメリカは基本的に北朝鮮といつ、どこであれ会う用意があると述べました。交渉ができるかどうかは、北朝鮮が国際社会の圧力からどの程度の緩和を引き出せるかと確信できたときでしょう。おそらく、アメリカから制裁緩和を引き出す形式になると思います。長期的な目標です。

 したがって、軍縮やリスク減少措置を相当減らすことができる措置です。われわれが長期的な非核化目標に向かって努力する間、核兵器の使用可能性を減らすことです。バイデン政権にとっては、このようなアプローチに開かれているようです。

――北朝鮮に対話する意思があるでしょうか。

ジャヌージ
=適切な状況になれば、対話派可能だと考えます。しかし、ブルアーさんが指摘されたように、またすでに亡くなられたマイク・マンスフィールド元駐日大使から学んだことは、アメリカは北朝鮮の関心がどこにあるのかをよくわかっていないということです。

 いま北朝鮮は安全保障のための核力量開発に関心があると、はっきりとした決定を下しました。とても明瞭なものです。アメリカと同盟国が北朝鮮の核放棄を望むとすれば、北朝鮮の安全保障のために信頼と信用によって代替できる何かが必要ですが、現在としてはおおよそ、その代替可能な何かはありません。

 私は2003年夏に、当時北朝鮮外務省の金桂寛外務次官と会いました。彼がアメリカ民主党上院議員補佐官だった私と、共和党所属の同僚に話したことを忘れることができません。

 彼は「あなたたちは北朝鮮の核開発を防ぐことを中断すべきだ」と言いました。また「顔をつきあわせて、核で武装した北朝鮮とどう生きるのか、それを考える必要がある」とも述べました。したがって、ブレアーさんの提案は実用的です。一部では敗北主義と言いますが、私はこれが実用的なアプローチだと考えます。北朝鮮の脅威をどのように管理すべきか学ぶ必要があります。われわれが外交的彼らの核体制に変化を減らすよりよい位置に移動できるまでの話です。

――ブレアーさん、ジャヌージさんの発言に付け加えることはありますか。

ブレアー
=そういうことが敗北主義になるのかどうかはわかりません。私は実用的、かつ現実的だと思います。北朝鮮が順応でき、実質的な利益を得ることができる方法としてという意味においてです。また、それがすぐさま非核化から目を離すべきだということを意味するものだとも考えません。それは長期的な目標として残りえますし、またそうなるでしょう。しかし、近い期日内で方法を探そうと努力することです。単純に待つことよりはましでしょう。

――北朝鮮が最近ICBMを発射したものが、北朝鮮が主張するように火星17型なのかという疑問が呈されています。北朝鮮は金正恩が登場するハリウッド映画のような映像も公開しました。アメリカに対する何かのシグナルでしょうか。

ジャヌージ
=ミサイル試験と核実験と関連した行動には、いくつかの目的があります。力量を深めさせるという技術的な目標もあります。力量を現代化し複数の場所を狙える再突入弾道を移動発射が可能なICBMに装着できるかどうか、ということです。これは重要な目的の一つです。

 しかし国内的な要素もあります。北朝鮮を支配する金氏一家の権威を核兵器開発と連携させており、それは南北関係にも影響を与えます。したがって、朝鮮半島における自尊心の競争だとも言えます。韓国は独自的に宇宙発射を行いました。北朝鮮は宇宙に対する主導権をめぐって、韓国とも競争しています。そのため、アメリカと北朝鮮内部、そして韓国の3カ国、すべてのところでシグナルを送っているということです。
(2022年4月2日VOA)


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