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ボルトン元補佐官「北朝鮮非核化のための選択肢が減っている」

ニュースリリース|トピックス| 2022年02月20日(日)

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 アメリカのジョン・ボルトン元国家安全保障補佐官はアメリカVOAとのインタビューで、北朝鮮の非核化のための選択肢が減っていると述べ、政権交代の可能性と北朝鮮の核開発プログラムに対する武力使用が排除されてはならないと主張しました。また、北朝鮮問題に対する中国の責任を協調し、バイデン政権が中国に圧力をかけるべきだと述べました。

――北朝鮮が中距離ミサイルを含めて、2022年になって7回のミサイル発射を行いました。北朝鮮による脅威について、どのように評価しますか。


 核兵器とミサイルを含めて、アメリカの目標物を打撃できる運搬可能な核兵器を確保しようとする北朝鮮の長い決意の延長戦にあると考えます。多くの人たちは、実験など目に見える北朝鮮の行動について判断し、これに込められた政治的意味を読み取ろうとします。しかし、北朝鮮が多く保有している地下施設で生じていることについても知るべきことが多い。北朝鮮はこのような施設を外部には見せないまま維持ししており、同時の多くの実験を行います。おそらく、北朝鮮政権が没落するときまで、彼らの武器プログラムに対する正確な日程が何かを把握することは難しいかもしれません。

 私は北朝鮮が目に見える実験をしなくても、ミサイルのノーズコン(先頭部分)に搭載できる多様な射程距離のミサイルを発射できる核装置を設計するため、継続して努力してきたということに疑問を挟む余地はないと考えます。もちろん、北朝鮮が引き起こす当面の脅威は、中距離ミサイルの射程内の目標物に対する脅威です。しかし、われわれは核兵器がいくつかの他の方式で遠い距離まで運搬できるという不便な現実に向き合わないといけません。これがまさに、北朝鮮の脅威が現在的であり、より多くの関心を持つべき理由です。

――バイデン政権が北朝鮮問題について、2021年に何もしなかったと批判されたことがあります。北朝鮮が最近、核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)発射を再開することを示唆した状況において、バイデン政権が北朝鮮問題をどう扱うべきでしょうか。

 われわれは長い間、中国が北朝鮮問題に対して責任を回避するように追い込んでしまいました。中国は北朝鮮政権が自身の生存のために、行うべきことだけを行おうとする能力があるということを疑う必要はありません。中国が油類などエネルギー供給と食糧、人道支援を中断しただけでも、北朝鮮政権は崩壊するためです。中国は30年間、まるで「客観的な第三者」のような行動をしてきました。「われわれは北朝鮮の核兵器保有を望んでいない」と延べるなら、です。中国が本当に真摯であるならば、そうできます。

北朝鮮に対する中国の責任を強調すべき

 私はアメリカの対中、対北朝鮮政策の再調整において、北朝鮮に対する中国の責任をその中心に置くべきだと考えます。バイデン政権は中国を効果的に扱うことについて、ほとんど何もしてきませんでした。アメリカでインド、日本、オーストラリアとのQUAD(クアッド)会議を行い、オーストラリアに原子力潜水艦の保有を可能にしたAUKUS(オーカス)を始めるなど、いくつかのことだけを行いました。しかし、中国を戦略的に相手とすることにおいて、バイデン政権は事実上、何もしていません。このため、北朝鮮には本来許してはならない自由を与えてしまいました。

――米中関係の緊張状態が続く状況で、対北制裁の履行が可能だと考えますか。

 可能です。バイデン政権は制裁の履行において弱腰だと考えます。しかし、トランプ前政権末期にもいわゆる瀬取りなど多くの制裁違反を放置してきました。北朝鮮は長い間弱みを悪用しているのです。これは米中関係がとても緊張した状態であるためだと考えます。

 今はわれわれが北朝鮮問題を議論の中心とすべき時です。北朝鮮の核脅威は東アジアを越えて世界へと拡散しています。これは単純に北朝鮮の問題だけではありません。北朝鮮はこのような力を保有している限り、外貨獲得のためにテロ組織や他の不良国家に核兵器を販売したり核技術を移転できます。イランも同様です。彼らも他社に兵器を販売するでしょう。

 われわれはイランと北朝鮮の協力がどの程度なのかを知りません。これは今現在の脅威です。単純に、「北朝鮮が1月まで静かにして、突然見去る試験を行った」「北朝鮮が1年間静かにして、何も起きなかった」と述べることは失敗です。これらは史実ではありません。北朝鮮がもたらす脅威は、日ごとに増加しています。

――もし北朝鮮が核実験やICBM実験を強行すれば、中国とロシアが国連の強力な決議案の推進に賛成するでしょうか。

 いいえ。賛成しないと思います。彼らは北朝鮮に保護膜を提供するでしょう。イラン問題でもそうでしたし、ロシアがウクライナを脅かしたり、中国が台湾あるいは韓国などを脅かす時、互いに保護膜を提供するというようなものです。米国を含めて、インド太平洋地域の国家は域内でわれわれが直面する脅威の本質について、ともに真摯に議論をすべきです。いま中国が圧倒的な懸案ですね。今後もそうでしょう。しかし、北朝鮮はすでに結果が出ている脅威です。

 例えば核兵器を保有しているかどうかに対する日本の議論は、北朝鮮の核プログラムが除去されれば劇的に変わるでしょう。あるいは、われわれが韓国で存在するのと同様な政府形態で朝鮮半島の統一を追及すべきかどうかという問題も同様です。もちろん、私はこれが米国の対外政策の目標になるべきだと考えます。

米朝首脳会談は時間の浪費だった

――米朝交渉が膠着状態になって2年を超えようとしています。一部では、トランプ前政権のように首脳外交、高レベルな関与が必要だとの主張もあります。バイデン政権がそのようにすべきだとお考えですか。

 私は首脳会談が時間の浪費だったと考えています。首脳会談は北朝鮮が核と弾道ミサイルプログラムにおいて組織的に追加的に進めることができる保護膜を提供しました。北朝鮮は、外ではトランプ大統領と合意するために努力するかのように見えましたが、これは核と弾道ミサイルプログラムをサラに進めるための「偽装戦術」に過ぎませんでした。

 私は北朝鮮政権が核兵器の放棄を望むというはっきりとした戦略的決断を下す準備が整うまで、関係の改善が生じることはほとんど不可能でしょう。北朝鮮は「われわれは核兵器を放棄する」と言います。これまで30年間、数回そう言ってきました。しかし、本当にそう決定し、そうすべき状況が来れば、そんなことは起きないのです。実際に、北朝鮮が核兵器の放棄を望むという証拠がありません。北朝鮮は経済制裁の緩和を望みます。制裁緩和を得るために、間違いなく多くのことを約束するでしょう。しかし、非核化を行うという約束はまったく守らないでしょう。

――非核化を達成するため、アメリカに可能なオプションは何でしょうか。

 選択肢はこれといってありません。速いスピードで消滅しています。アメリカは今の北朝鮮のような政権の人質となってはいけません。これこそまさに、政権交代の可能性や、必要な場合に北朝鮮の核プログラムに対する武力使用が排除されてはいけないのです。誰もそのようなことを直視することを望んでいません。しかし、私はアメリカの都市が世界唯一の共産主義世襲政権の人質になることを見たくはありません。

――武力使用というオプションに言及されましたが、それならば、どのような状況でこのようなオプションが検討される必要があると思われますか。

 私は北朝鮮の核武装を望んでいないと言う中国が、これと関連してどのような努力をするのか徹底して検討できることを望んでいます。彼らがそうできるのか見ていきましょう。中国ができるとわかっていることについて、実際にそうできるかを見ていきましょう。世界が中国に対して北朝鮮政権の行動を変化させることができる力をつかうのか、あるいは核兵器を北朝鮮が持っても構わないいうのか、はっきりさせるようにすることが重要だと考えます。私は核兵器を保有した北朝鮮は許せません。

――バイデン政権は日米韓の協調をアピールしています。3月の韓国大統領選を目前としていますが、今回の選挙で米韓同盟、米韓の北朝鮮協調に関連した争点は何でしょうか。

 相当部分が、北朝鮮に対する韓国国民の態度にかかっていると考えます。北朝鮮の宣伝はとても効果的です。しかし、私は北朝鮮の1月のミサイル発射を通じて得ることができる教訓を、韓国人が念頭に置くべきだと思います。これまで、修辞と太陽政策、雰囲気のい会談などがありましたが、韓国に対する北朝鮮の主要教育は依然としてあります。韓国人が投票の際、このような脅威を認め、「これを扱う最上の方法がなになのか」自問すべきです。結果が出るか見ていこうと思います。

――韓国の新政権が始まると、アメリカが対北政策を変える可能性があるでしょうか。

 誰が勝つのかに罹っていると思います。私はバイデン政権を心配しています。今のアメリカにいる大統領はとても弱い。バイデン大統領はウクライナ・ロシア事態に足首をつかまれています。もちろん、この危機は永遠に続かないでしょうが、アフガニスタンからの撤収は大失敗でした。私は中国や北朝鮮、イラン、ロシアなどがここを弱点とみたのではないかと思います。私はアフガニスタンの危機がとても深刻な状態だと考え、われわれは正しいことをすることを望んでいます。

(VOA、2022年2月19日)


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