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エコノミストが語る2021年の北朝鮮経済

ニュースリリース|北朝鮮 Live!| 2021年12月06日(月)

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 北朝鮮では、全国民が5カ年計画の初年度目標を達成するため、自力更生と科学技術を生命線、基本的なエンジンと見なし努力している。その結果、経済分野での成果が出始めた。2021年11月30日、朝鮮社会科学院経済研究所の李基成(リ・ギソン)研究士(功勲科学者、候補院士、教授、博士)は、北朝鮮経済の状況を、以下のように解説する。

 2021年は経済全体の環境はより厳しくなったものの、上半期(1~6月)の工業総生産額計画は144%の達成となり多くの成長を見せた。これは、工業生産を昨年同時期に比べ125%を超えて達成したことになり、世界的に見てもこれほどの成長は北朝鮮経済だけだ。

 朝鮮労働党第8回大会では、今後5年間の経済分野の闘争戦略を明示し、新たな国家経済発展5カ年計画(2021~25年)を提示した。

前年比125%増の計画達成

 現段階では、北朝鮮の経済戦略は整備戦略、補強戦略だ。この戦略は経済事業体系と部門間の有機的連携を復旧・整備し、自立的土台を固めるための事業を推進し、国の経済をどのような外部的影響にも揺らぐことなく、円滑に運営されるよう正常の軌道に乗せることを目的としている。

 朝鮮労働党中央委員会第8期第2回総会では、発展の方向性や具体的な行動指針、科学的な方法による新たな5カ年計画の初年度の国家経済発展計画を審議・採択された。その計画の目標のためにひたすら計画を達成しながら、実際に前に進めるための事業が行われている。

 主要工業部門で自立的な生産基礎の拡大・強化、既存の生産体制においても多くの進歩がなされた。まず金属工業と化学工業を主要分野とし、全般的な経済発展に向けてしっかりとリードできるようにしている。

 金属工業部門では、主体鉄生産基地と目されている所に、北朝鮮国産の原料による「主体鉄」生産システムを技術的に完備し、生産を高水準で正常化させながら、新たな生産能力の増強と現代化事業に注力している。

 金策製鉄連合企業所と黄海製鉄連合企業所では、新たな省エネ型酸素熱法溶鉱炉を増設し、鉄生産能力を高めようとしている。このために先進的な技術を開発・導入しており、溶鉱炉、電気炉の大補修をも進めており、鉄生産を正常化させている。千里馬製鋼連合企業所では、新技術を導入したことで生産に飛躍的な進歩をもたらした。6000トンプレス素材加熱用ガス発生炉の建設に集中し、操業日を前倒しした。

 化学工業部門では現在の技術力を強化する事業を先行させ、国の化学工業の構造を国産原料による主体工業へと転換しようと注力している。必要な化学製品生産を飛躍的に増加させることを目標としている。

 炭素1化学工業の生産工程を確立する事業が推進されている。灰芒硝を原料とする基礎化学工業の創設、アシによる繊維と紙生産の実現、北朝鮮に無尽蔵にある褐炭を化学工業の基礎原料として利用できるようにする。また、多くの触媒の国産化や工業的方法による塩生産が計画的に進められている。

 興南と南興など、重要な化学工業基地では、設備の大補修と技術改善による肥料など生産計画を立て、そのために能力の拡張と生産基礎の強化に注力している。今後も、化学工業を活性化を継続して行う予定だ。

 電力や石炭鉱業部門の技術的土台を強化するために注力しいる。さらに、足元だけでなく中長期的な需要に答えられるような対策もしっかりと強化している。

 火力発電所では、2021年になって数十代のタービン発電機を整備・補強し、より多くの電力を生産した。水力発電所で科学的な水管理システムを確立し、効率を高める技術改善を行って電力生産計画を超えて遂行した。

 漁郎川5号発電所建設が推進されており、多くの中小規模の水力発電所が操業、あるいは操業を控えている。

 石炭鉱業部門に対する国家的な設備と資材、資金の集中的な投資が協力に推進されている。炭鉱では探査と掘削を強化し、多くの採炭場を確保して生産を増やしている。機械工業の基礎をしっかりと固め、開発創造型の工業へ方向性を転換するために、実質的な変化をもたらしている。機械工場では、工作機械や輪転機など多くの現代的で能率的な機械製品を開発・生産している。楽園機械総合企業所をモデルケース(標準工場)とし、その基準に合わせて機械工場の現代化を行うための事業を積極的に推進している。

 2021年初にデジタル内視鏡など現代的な医療設備を生産する平壌医療器具工場がリニューアルされた。

 鉄道運輸部門では、レールの重量化実現のため主要コンクリート工場の技術改善と能力拡張工事を進め、標準レール区間を増やす事業を積極的に行っている。毎月の輸送計画を超えて達成している。金鍾泰電機機関車連合企業所では、6軸交流電気機関車を生産するための技術工程を準備し、年内に完成するために注力している。

 建設建材工業部門では産業建設と住宅建設を同時に進め、最終建材の国産化を行っている。近々、首都・平壌市を住宅問題が完全に解決された世界最初の都市とするための遠大な構想により、今年は1万世帯住宅建設という大計画が立産され、資源を集中して完工段階に突入している。

 剣徳地区5000世帯鉱山都市住宅建設も、早い期間に終えるようにされており、革命の聖地である三池淵市に10棟・千数百世帯の住宅が完成した。自然被害を受けた日本海側の地区など道、市、郡では数千世帯の住宅が建設されており、新居も始まっている。

 新義州化学繊維工場ではアシをつかった紙や繊維生産工程を確立するための多くの工事が行われているが、ほかにも全国的に多くの産業施設の建設が積極的に行われている。建材工業部門では、今年は計画に従ってセメントの増産に注力して当面の需要をまかない、大規模セメント生産基地であるサンウォンセメント連合企業所と順天セメント連合企業所の生産能力拡張工事を成果的に進めている。建材生産基地を強化し、多くの建材品需要に対処するため、最終建材の国産化を進めている。

 情報産業と採取工業、林業では、生産基盤を拡大・強化して国土管理と生体環境の保護において前進できるように努力している。

 人民生活の安定を死活的な問題とし、食糧の自給自足を実現するという原則に照らし、農業の発展に注力している。今年、全国的に種子革命や科学農業、低収穫地での増産、耕作地の開拓と干拓地建設などを積極的に推進した。これにより穀物栽培面積を増しながら、1ヘクタール当たりの収穫をもはるかに増やした。ホンゴン島干拓地第2段階とリョンメ島干拓地3、4区域の建設が完工したことで、1万3000ヘクタールあまりの新たな土地ができた。

 家畜種子の確保や十分な食糧保障、科学的な飼養管理、徹底した獣医防疫対策の4大問題の解決を掲げて畜産の生産量を増やしており、果樹の現代化と科学化を積極的に実現している。とくに今年は、新たに提示された党の育児政策によってすべての子どもたちに魔位置にミルクと乳製品を与えるため、乳牛の頭数を大々的に増やしている。ファンジュ・キンドゥン水路工事を進め、災害をもたらしそうな気候に対処し、多くの貯水池を建設した。

 軽工業部門では原料や資材の国産化、リサイクル化を生命線とし、軽工業の工場の現代化を積極的に進めた。原料と資材をしっかり確保し、人民が要求する必須消費品をより多く生産・供給する事業に注力している。

 地方工業の時代的要求に合う基準を作るために、江原道キムファ郡の地方工業工場のリニューアル工事を年内に完成させ、リニューアル工事の標準化を図る予定だ。ここでの経験を元に、全国の地方工業工場にできるだけ早く適用させていく。

 今年の水産部門では漁船と漁具の現代化を進め、科学的な漁労方法を導入してより多くの漁獲高を得るため努力した。水産事業所と船舶修理基地の技術整備を先進技術へ改善し、水産資源の保護増殖と養殖を拡大・発展させる事業にも注力している。

 いま、国民全体が今年の人民経済計画を達成するために結束し、最後のひと踏ん張りに力を入れている。



  • 食糧工場内の商店

  • 李基成研究士

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