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朝鮮労働党党規約改正から見えるキーワード

ニュースリリース|トピックス| 2021年06月02日(水)

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システム化・実用主義……朝鮮労働党規約改正のキーワード

金一家の具体的な業績の代わりに「偉大な首領たち」と明示
自力更生による経済発展の基調と委任統治の規約化

 北朝鮮が2021年1月に朝鮮労働党第8回大会で改正した党規約は、国家運営を実用主義的に、システム化しようとする金正恩総書記の意志が垣間見える。

 6月1日に入手した情報によれば、北朝鮮は第8回党大会で改正された党規約において、金日成・金正日主義は最高綱領としてのみ成文化され、個別の条項では「首領」として包括的に言及されている。これは、金日成・金正日主義の思想と具体的な業績を羅列した第7回大会で改正された党規約と違う。

 とくに、改正党規約では金正日政権当時のキーワードだった「先軍政治」が「人民大衆第一主義の政治」へ入れ替わった。これは軍も党の領導に従う、労働党中心の国政運営システムを構築するという金総書記の意志として読み取れる。金総書記が最近、相見ん精神を打ち出し人民大衆第一主義という自らの統治方式を標榜していることと関係がないわけではない。

 北朝鮮がこのように絶対的なな思想の基準だった党規約を実用的に修正しながら、経済発展の基調も強く打ち出したことは注目に値する。改正党規約では、これまでの経済建設と核武力建設の「並進路線」の代わりに、「自力更生」の基調を前面に打ち出した。規約には「自力更生の旗幟の下に、経済建設に邁進し、社会主義の物質技術的土台をしっかりと固める」と明示されている。

 もちろん改正党規約でも「並進路線」という表現の代わりに、「共和国武力を政治思想敵に軍事技術的に不断に強化し、自立的な国防工業を発展させ、国の防衛力を絶えず固めていく」と規定しているが、注目すべきは軍事よりも経済にあるものと分析できる。これは、対北制裁と新型コロナウイルス感染症という局面が長期化し、自力で経済を活かさなければならないという切実な思いが反映されているものと思われる。

 併せて、党中央委員会が必要な時の党規約の改正を行うことができ、各種会議を自主、定期的に開催できる基盤を用意したことも目を惹く。手続きよりは事案の至急性を優先した実用主義的アプローチが垣間見える。

 改正党規約に党中央委員会全員会議(総会)は「党中央委員会に部署(非常設機関を含む)を設置し、必要な場合には党規約を修正し執行、党大会に提起し承認を受ける」との規定が新たに記された。党中央委員会政治局常務委員会が政治、経済、軍事的に至急に提起される問題を討議・決定し、党と国家の重要幹部らを任命することに対する問題を討議するようにするなど、「政治局常務委員会」の権限も強化された。

 また「党中央軍事委員会は党大会と党大会の間の党の最高軍事指導機関であり、討議のもんだの性格によって会議成立比率に関係なく必要な成員だけ参加させ、召集できる」と規定も生じている。

 ここに金総書記の責任分散と関連した「委任統治」(役割分担)も明文化されており、注目される。改正党規約には党総書記の委任によって党中央委員会政治局常務委員会委員らは政治局会議を司会できるという規定がある。これは政権10年目に入る金総書記が権限を分けても権力を維持できるという自信が表れているのではないかとの分析も出ている。

 今回の党規約改正を通じて、事実上ナンバー2である「第一書記職」を新設したことも、同じ脈絡から理解される。改正された党規約には党中央委員会全員会議で第1書記、書記らを選挙し、第1書記は党総書記の代理人として明示されている。

 北朝鮮はまだ第1書記の役割や人選については具体的に明らかにしておらず、この職責が空席なのか、単純に公開していないのかは今後中止する必要があるだろう。専門家らは総書記の「代理人」として明示されている第1書記が任命されたなら、最側近である趙勇元・党組織書記が就く可能性が高いとみている。趙氏は組織指導部副部長、第1副部長を経て今年1月の党大会で組織書記兼党政治局常務委員としてスピード昇進し、すでにナンバー2として呼ばれている人物だ。

 金総書記の妹である金与正副部長がナンバー2になる前の事前の布石的なものとの分析もあるが、第8回党大会で職責が第1副部長から副部長へ降格されただけに、現実的な可能性は低いというのが大方の見方だ。
(2021年6月2日「ニュース1」)
https://www.news1.kr/articles/?4325917&fbclid=IwAR2qFdqkkUdXjnyfyRG_G-9SVqUVHxkFeZQBJZLlw9geFXSUlChdAMs3Yyo


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