NEWS HEADLINES

バイデン政権と金総書記で米朝関係は改善されるのか

ニュースリリース|トピックス| 2021年05月23日(日)

Facebook

【中国時評】米朝関係ははたして改善されるだろうか

2021年5月20日付け「ネイル新聞」
崔応九・北京大学教授

 バイデン政権が発足して100日となる4月末、対北朝鮮政策を決定したと発表した。朝鮮半島の非核化と主要当事国は、韓国と北朝鮮、そして米国だ。米国の焦眉の関心事は北朝鮮が核を放棄することであり、韓国は朝鮮半島の安定、
北朝鮮は米朝関係の改善だ。すべてが自国の利益と安保のためだ。韓国と米国は北朝鮮が核を放棄すれば安全だと考える。北朝鮮は米朝関係が改善されてこそ安定が訪れると認識している。北朝鮮が核兵器をつくることは、米国から自
国を守るためだ。それだけに、米国による北朝鮮への脅威が解消されてこそ、核の放棄を考えることができるだろう。

 しかし現実的には、米国にとって米朝関係の改善を推進することは難しい。もし米朝関係を敵対的なものからそうでない方向へ転換すれば、南北関係が改善される。南北関係が改善されれば、米韓同盟が弱化することになる。これは
米国の東北アジア戦略と国益の面で、大きく相反することになる。このため、米国は北朝鮮と関係を改善することはなく、対北制裁を緩和させる線で、北朝鮮の核問題を解決しようとするだろう。韓国政府は米朝関係の改善がなされない状況で、南北間に非敵対的な関係を維持する最善の策を考えている。

 北朝鮮は米国でどの政党が政権を取ろうとも、北朝鮮に対する敵対視政策は大きく変わらないと判断している。今回も、米国を主敵として設定し、「強対強、善対善」という対米政策を提示した。韓国との関係をある程度維持するために金剛山観光だけでも推進しようとし、今年3月の米韓合同軍事演習を中止すれば再開しようとしたが、結局失敗した。米国が動かなければ、文在寅政権は一歩も進むことができないことを改めて示したことになる。

米国に誠意が見えれば北朝鮮は手を差し伸べる

 米朝はともに、相手を信じていない。北朝鮮は米国が敵対視政策を放棄できないと考え、米国は北朝鮮が核を放棄しないだろうとみている。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)以外にも、原子力
潜水艦や軍事偵察衛星、極超音速兵器などを継続して開発していくだろう。

 米国は対北斬首作戦や先制打撃、海上封鎖などあらゆる軍事作戦を検討したが、これといった得策はなかった。現在は制裁を強化しているが、北朝鮮はこれに対し自力更生で立ち向かう。時間が進めば進むほど、米国に対する北朝鮮
の実質的な脅威は増幅する。このような状況を背景とし、バイデン大統領は新たな対北政策を出したとみることができる。

 バイデン政権は米韓同盟に対する影響を最小限に留めながら、北朝鮮との関係を進展させる方法を模索している。例えば、米朝対話の期間中は米韓合同軍事演習を中断し、平壌とワシントンに米国と北朝鮮の連絡事務所を設置し、終戦宣言の発表、対北制裁の解除など、米国が選択できるオプションは多様だ。
今、米国が誠意を見せれば、北朝鮮も対話の手を差し伸べるであろう。対話期間中、北朝鮮は米国の誠意に基づいて核や戦略兵器の試験を中止し、寧辺(ヨンビョン)の核施設を凍結、さらには廃止など多くの相応する措置をとることもできる。

 文在寅大統領は自ら提示した朝鮮半島の安定や南北相互の安全保障、共同繁栄など、対北政策の3つの基調を守ろうとしている。5月21日の米韓首脳会談で両国が互いに納得できる対北政策を探すため努力すると述べた。

 韓国政府はこのような対北政策を実現しようとすれば、米国が動かない際には、韓国が独自で行えることを提示すべきだ。金剛山観光事業の再開や開城工業団地の再稼働など、韓国が独自で行えることを、バイデン大統領にしっかりと要求すべきだ。これは韓国の自主権に関する問題であるためだ。制裁に抵触する部分は変えればよい。

韓国の要求事項をはっきりと提示すべき

 韓国政府はバイデン政権が新たな対北政策を検討する時から米国にしばしば説得しており、韓国の多くの考えが新対北政策に反映されたであろう。

 しかし、韓国政府がバイデン大統領が要求する「反中国同盟」に加われという圧力を克服しながら米国を説得することは、決して簡単なことではない。

 今回の米韓首脳会談は、米国が対北関係改善へと進むか、これまでのように敵対関係を維持するかという重大な分水嶺になるだろう。北朝鮮は米国の最終決定によって、バイデン政権に対する態度を決定するはずだ。バイデン大統領が関係改善を拙宅したと判断したとしても、これを立証する米国の具体的な行動があってこそ、対話の手を差し伸べることができるだろう。


ニュースヘッドライン