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中朝間の貨物列車の運行再開か

ニュースリリース| 2021年04月26日(月)

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 北朝鮮が約半年ぶりに中国との貿易を小幅に再開し、国境封鎖が緩和されるのではないかとの関心が高まっている。一部メディアからは、現地取材などを通じてまもなく貨物列車の運行が再開されるとの観測も出ている。最近、新義州駅構内で列車を多くような施設が撤去されたことが確認され、貿易が再開される兆しとの見方もある。

 北朝鮮は2020年10月、中国との貿易を事実上、中断した。北朝鮮の貿易の90%以上を占める中国との貿易を中断したのは、外部との貿易を全面的に遮断したということを意味する。2020年初頭から始まった国境封鎖措置が、さらに強化されたとの分析が出ていた。

 しかし、2021年3月の貿易関連資料を見ると、中国から肥料など約1297万ドルを輸入しており、対北制裁以前の月間2億ドルレベルにははるかに及ばないものの、6カ月ぶりに輸入額が1000万ドルを超えたことは注目に値する。このような中、北朝鮮の貿易規模が今後回復するとの観測が相次いで出されている。

 中国の英字紙「グローバルタイムス」は、北朝鮮と中国の貿易を担当する運送会社の責任者の発言を引用して、5月1日から丹東と新義州間に貨物列車の運行が再開されると報道した。NHKも4月15日、中朝国境地域である丹東から北朝鮮へ運行されるものと思われる貨物列車が見られたとし、車両にはハングルが書かれていたと報道している。

 同時に、現地の外交消息筋と企業関係者は、中朝貨物列車の運行が4月末から再開されるとの観測が出ている。香港の「サウスチャイナモーニングポスト」も4月14日、中国が北朝鮮との国境を開きそうだと伝え、丹東当局が国境の貿易施設を改善すると報道した。これとは別に、VOAは22日、民間の船舶追跡ウェブサイトを通じて、北朝鮮の船舶7隻が中国の港あるいは黄海上にとどまっていることを確認した。2020年半ば以降、船舶の海外運航が事実上止まっていた点を考えると、小さくはない変化として、少なくとも5月に公開される4月の中朝貿易も一定規模に回復するのではないかと思われる。

 このような状況で、中朝国境地域にある新義州駅に列車を隠す施設があったものの、最近になって撤去されたことが確認された。貿易再開と関連があるのかどうか注目されている。このような施設の正確な目的はわからないが、列車全体を覆い隠すことができる長さでもあり、貨物を隠したり貨物に雨や雪から保護する目的で使用されたものと推定できる。

 ところで、この事実が4月初旬には見られなくなり、列車の運行再開との関係が注目されている。このように、全般的な雰囲気は北朝鮮が中国との国境を開くという観測が多いが、一部の専門家は依然として慎重な立場を見せている。

 米ジョージタウン大学のウィリアム・ブラウン教授は4月22日、VOAとのインタビューで、北朝鮮がまもなく国境を開くと考えられるとしながらも、このような観測がこの半年間継続してきたという事実も留意すべきだという。ただ、ブラウン教授は現時点は北朝鮮が大量の肥料を必要とする時期でもあり、3月に輸入された肥料はこれまでと比べあまりにも量が少ないと指摘した。したがって、北朝鮮が肥料を輸入するためにも、貿易を再開する必要がある状況だということだ。

 ブラウン教授はまた、3月の北朝鮮の対中輸入品目に砂糖と小麦粉などが含まれていないなど、数カ月にわたって住民に必要な消費財が輸入されていないと指摘、北朝鮮の貿易商が砂糖などを持ち込まなければいけない状況に直面していると述べた。しかし、北朝鮮が国境を開放するには、新型コロナウイルスの感染が世界中で収まっていないことが変数となり得る。

 今後、北朝鮮は2020年2月にこれまでにない国境封鎖を実施し、同年7月にはこれをさらに強化する措置を発表した。最近では、7月の東京五輪に不参加を表明し、新型コロナウイルス感染症を理由に挙げている。米海軍分析センターのケン・ゴース局長は、北朝鮮は外部との取り引きをとても慎重に行っており、北朝鮮が国境を開放するまでにはまだ長い時間がかかると見ている。(2021年4月24日、VOA)



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