NEWS HEADLINES

急変する東北アジア情勢と朝鮮半島・新冷戦の可能性

ニュースリリース|トピックス| 2021年04月23日(金)

Facebook

【中国時評】急変する東北アジア情勢と朝鮮半島・新冷戦の可能性


 最近、朝鮮半島の周辺国の外交トップが奔走している。3月18日にソウルで発表された米韓共同声明を見ると、「米国の防衛公約及びすべての範疇の力量を使用した拡張抑制公約を再確認」し、「朝鮮半島と関連するすべての問題を米韓の完全に調節された前提の下でなされるべきだ」という内容があった。米国が南北関係で韓国が一歩先んじてはならないとクギを刺している。

 

 しかし韓国側が要求したバイデン政権の米朝関係は米朝シンガポール声明を基礎とすべきだとする点、北朝鮮に対する部分的な制裁緩和、朝鮮半島の平和体制など、急変する東北アジア情勢と朝鮮半島新冷戦の可能性などは、声明にきちんと反映されなかった。声明には「規範に基づいた国際秩序を毀損し、不安定にするすべての行為に反対する」という内容もある。

 

 韓国を反中国の協議体であるQUADに参加させる下地を用意したのだろう。北朝鮮は3月21日と25日、黄海(西海)と日本海(東海)へミサイルを発射した。また彼らが発表した通りに、祖国平和統一委員会金剛山国際観光局の廃止と南北軍事合意書の破棄も検討する可能性がある。

 

世界的な新冷戦の可能性は高くない

 

 アラスカで開かれた米中高官協議では、双方が自分たちの立場を忌憚なく披瀝した。ところで、メディアははっきりと対立した1回目の会議だけを報道し、2、3回目の会議についてはまったく関心を示さなかった。2、3回目の会議では、内政と外交の多国間関係における意見の差、協力が可能な部分、その解決方法など深い内容の会話が交わされている。米国は対中関係を敵対的・協力的・経済的関係として規定している。

 

 米国は人権や香港、新疆ウイグル、台湾、南シナ海などで中国と対立しているが、新型コロナウイルスへの対応や経済回復と核非拡散、気候変動など重大な国際問題は、中国の協力なくては推進することが難しい。また米国は依然として一つの中国という原則を維持している。米国は同盟関係を復元し、その力を借りて中国を牽制しようとしている。しかし、現在の同盟関係は以前とは違う。

 

 フランスやドイツ、韓国など多くの同盟国は、トランプ時代を振り返って自分の運命を米国に任せるのはとても危険だということを理解した。またどうすれば自主性を強化できるかについて悩んでいる。米国の同盟国は人権や香港、新疆ウイグル問題などでは米国と歩調を合わせながらも、貿易と経済分野では中国と協力している。彼らは抱擁と多国間主義から決して身を離さない。

 

 現在、バイデンは国内問題の解決に注力している。コロナ対策はもちろん、米国経済も回復させなければならず、分裂した社会も癒やさなければならない。人種問題や難民の問題など解決すべき問題が山積している。中国も国内問題が優先だ。防疫問題はもちろん、第14次5カ年計画や「2035年展望目標」の実現が急務だ。状況を全般的にみると、米国が同盟国を糾合して中国を牽制し、中国がほかの国を集めて米国と対立するという世界的な新冷戦時代とするのは簡単ではない。

 

 もちろん、米国が政治・外交・経済・軍事の分野で中国を牽制する政策は、今後も長く続くだろう。東北アジアの外交首脳が10日あまりで総動員されたことは、この地域で発生する事態がとても深刻なものであるためだ。東北アジアが日米韓対中ロ北朝鮮の対決へと再びなり得ることを心配している。残されているのは、韓国の態度だけだ。文在寅政権は対北共存政策を堅持しようとしており、QUADにも参加する意向は示していない。とはいえ、米国は対北敵対視政策を変えようとはしないだろうし、新たな対北政策もこれまでのように力で北朝鮮を屈服させるものとそれほど変わらないだろう。北朝鮮も米国の対北政策が変わらないと見ており、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)はもちろん、原子力潜水艦や軍事偵察衛星、極超音速武器などを開発していくだろう。米朝間には果てしない対決が続く可能性が高い。

 

文在寅政権が米国と協調する可能性が高い

 

 このような状況になれば、米国と韓国内の保守勢力の圧力が強まるだろう。文在寅政権が対北共存政策に対する中国とロシアの支持を確保して今後も継続させれば、東北アジアには新たな道が開かれるだろう。しかし、この4年間の文政権の態度を見ると、米国の対北・対中政策に協調する可能性が高い。そうなると、南北関係は一気に敵対関係へと逆戻りし、東北アジアは徐々に冷戦へと進んでいくだろう。(2021年4月1日「ネイル新聞」)
 


ニュースヘッドライン