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韓国の対北制裁「5.24措置」から10年、文政権は変化するか

ニュースリリース|トピックス| 2020年05月25日(月)

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 韓国政府による北朝鮮への独自制裁「5.24措置」が、実施から10年となる。韓国政府は最近、この措置について事実上の破棄宣言を行った。後半戦を迎えた文在寅政権の対北政策が今後変化する可能性があるのかどうか注目されている。

 これまで韓国政府は5.24措置への言及に慎重な姿勢を見せてきた。5.24措置は、2010年に北朝鮮によって沈没させられたとする哨戒艦の沈没に対応した措置だった。現在もこの事件の真相解明がきちんとなされていない状況において、この措置への言及で何らかの混乱を避けるためだった。

 ところが最近になって、「5.24措置は歴代政権を経て柔軟な適応、例外措置を経てきたため、事実上その実効性は相当部分喪失された」と述べるなど、対北制裁措置を解除したという立場を明らかにした。

 2010年5月に李明博政権が北朝鮮に対して行った独自の制裁措置である5.24措置は、開城工業団地と金剛山観光を除く訪朝を許可しないことと、南北交易を中断することを骨子とするものだ。その後、南北交流が行われるなどその実効性が事実上喪失されたとの評価を受け続け、さらに文在寅政権となって南北交流がより活発化すると、「廃棄すべき」との世論が首をもたげてきた。

 そのような中、今回の政府による表明により、文在寅政権後半期の対北政策の方向性が垣間見えるという観測が出てきた。文政権の任期が半分を過ぎ、今年4月の総選挙で与党が圧勝した後、本格的な対北事業を行うための措置の一環という評価が出ている。実際に、政府の南北協力事業において5.24措置は、一種のネックとなってきた。各種の南北協力が提案されている中、5.24措置がネックとなって実行が難しくなっているためだった。

 統一相を経験したチョン・セヒョン民主平和統一諮問会議首席副議長も、あるラジオ局のインタビューで「年初から文大統領が南北関係において行動の幅を広げると述べており、保健医療分野での協力を提案したが、5.24措置をそのままにしておいては一種の自家撞着だ。韓国内部の制約を解除したと思う」と評価している。

 政府の本格的なドライブは、関連法律の改正に向けた動きでも確認できる。最近、統一省は南北交流協力を制限・禁止する際に大統領による国務会議の審議を経るべき南北交流協力法の一部改正案を表明している。また、5月27日には南北交流協力法に対するオンライン公聴会を開き、関係者をはじめ国民から幅広く意見を聞き取る方針だ。

 南北関係が膠着状態に陥っている中、政府が迂回的にでも対北政策の実現へ動き出し、無反応な北朝鮮に向けて継続してラブコールを送っているとの観測も出ている。ただ、政府は5.24措置の「公式的な」廃棄宣言として解釈できるのかどうについては多くを語ろうとしない。キム・ヨンチョル統一相は5月21日、記者の質問に対し「よくわからない」と述べた後、「事実上実効性が喪失されているということと、その廃棄をどう連結すべきか」と指摘した。キム統一相は22日にも、措置を解除する予定なのかどうかについて即答を避けた後、「基本的に南北交流に障害とならないというのが政府の基本的判断」と繰り返し強調した。

 北朝鮮に対する変化の可能性を見せた韓国政府だが、5.24措置の解除はあせらないという態度を見せている。北朝鮮からの応答があってこそ南北交流も加速させられるため、まずは話題として投げかけた後、解除などの措置についてはその後のタイミングを見計らって議論するものと思われる。
(韓国「ニュース1」2020年5月24日)
 


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