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北朝鮮から見た「国家経済発展5カ年戦略」最終年の現状・上

ニュースリリース|トピックス| 2020年01月26日(日)

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国家経済発展5カ年戦略遂行の最終年・上
制裁下で貫徹された主体化路線
目標達成の担保は自力更生


 2020年は朝鮮労働党第7回大会(2016年5月)で提示された国家経済発展5カ年戦略目標を遂行する最終年だ。現在の戦略遂行状況について、社会科学院経済研究所研究士である李基成氏と話を交わした。

エネルギー問題を着実に解決

 国家経済発展5カ年戦略の目標は、人民経済全般を活性化し、経済部門間の均衡を保障し、国の経済を継続して発展させることができる土台を用意することだ。国の経済司令部である内閣は、5カ年戦略遂行のために、▲エネルギー問題を解決し、▲人民経済先行部門、基礎工業部門を正常軌道に上げ、▲農業と軽工業生産を増やして人民生活を決定的に向上させることを中心課業として取り上げ、可視的な成果を出すことだと言う。

 「総体的な成果として指摘できることは、自立経済の土台がよりいっそう強化されたことだ。人民経済の主体化路線が知識経済時代の要求に合わせ、貫徹されたと言える」

 5カ年戦略が提示された翌年の2017年、米国の主導で国連安全保障理事会で朝鮮に対する制裁決議が4回にわたって採択された。過酷な経済封鎖の中でも、朝鮮は重要課業の一つであるエネルギー問題、緊張した電力問題を自らの力で着実に解決している。

 「電力問題の解決は経済活性化の突破口だ。この部門に対する国家的な投資を集中し、現存の電力生産土台を整備補強し、最大限効果的に利用している」

 朝鮮の火力発電所は輸入重油ではなく、国内に無尽蔵に埋蔵されている石炭を使っている。2018年には国の大動力基地である北倉火力発電連合企業所(平安南道)の発電設備増設工事が完工された。李研究士によれば「新たな発電機がフル稼働し、電力生産が大幅に増えた」という。また、この企業所では輸入重油に頼っていた着火工程も廃棄し、「高温空気燃焼安定化技術」を導入し、石炭粉末を加熱して着火できるようにした。国内の資源と技術に基づいた自立経済土台強化の事例の一つだ。

 水力発電所でも設備を整備・補強し、電力生産を増やしており、この数年間、漁郎川、礼成江の水流に従い、新たな発電所が完成さえるなど、新たな発電能力もつくられている。潮力と風力など自然エネルギーも見込めるほどの普及が進んでおり、道、市、郡などでもその地方の多様なエネルギー資源を効果的に開発・利用する努力が傾けられている。

国内の資源、技術によって

 自立経済土台の強化を象徴する成果は、人民経済先行部門の一つである金属工業部門でも生まれている。国内の原料、すなわち埋蔵量が豊富な鉄鉱石と無煙炭による主体鉄生産システムの確率だ。5カ年戦略の遂行過程に、朝鮮では世紀を継いで継続されてきた輸入コークス短による製鉄法に完全に終止符を打った。第7回党大会を前に、黄海製鉄連合企業所(黄海北道)に主体鉄生産システムが備わった。李教授によれば、「今後、黄海製鉄では主体鉄生産能力を拡大するための工事が進められる」という。

 日に日に増えている鉄鋼材需要を満たすための計画もある。

 金正恩委員長の歴史的な施政演説(2019年4月12日)には、主体鉄生産記事を科学技術的に完備し、正常運営を行い、われわれの実情に合う新たな現代的で大規模な鉄生産システムを確立すべきだとの言及がある。

 化学工業も国内の資源による主体工業へ、エネルギー節約型、労力節約型鉱業へ転換し、肥料と繊維、樹脂をはじめとする多くの製品に対する国内需要を満たしている。興南肥料連合企業所(咸鏡南道)と南興青年化学連合企業所(平安南道)など石炭ガス化で窒素肥料を生産する単位がリニューアルされ、その能力が拡張されている。現在、平安南道順川では、リン肥料を生産する工場の建設も推進されている。

 「わが国で石炭は燃料となるだけでなく、原料として使っている。石炭をガス化し、肥料を生産している。ビナロンの原料も無煙炭と石灰石だ。そのため、石炭を増産し国内で効果的に利用している」

 石炭利用の領域は絶えず拡大されているという。第7回党大会で5カ年戦略遂行期間に石炭ガス化による炭素1化学工業を創設し、褐炭を利用する石炭乾留工程を用意し、灰芒硝を出発原料とする炭酸ソーダ工業を完備し、メタノールと合成燃油、合成樹脂をはじめとする化学製品生産の主体化を高いレベルで実現する目標が提示された。李基成研究士によれば、「すべての事業が計画通りに推進されている」という。

禍を福となす日々

 最近、朝鮮のメディアは平壌と地方の企業所で実現した「石炭ガス化によるディーゼルオイル生産」「石炭ガス発電所の運営」をはじめとする自力自彊の成果について報道している。「これまでは原油やコークスをはじめとするいくつかの電力資源の海外依存度が高かったのは事実だが、われわれは自力更生の精神を発揮し、それを一つずつ克服している」。

 国家経済発展5カ年戦略が提示された翌年に「史上最大規模の制裁」が行われたが、戦略遂行期間に達成する数値目標は変更されていないという。李基成研究士は「経済建設の現場では、何か足りなければ国内の資源と技術により徹底して依拠することで回答を探している。5カ年戦略遂行期間は自主と自立を信条とするわれわれにおいて、禍を福へと転換させる教示のような日々」と述べた。
(『朝鮮新報』2020年1月17日)
 


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