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米朝首脳会談の2回目は具体的な各論を詰めるべき

ニュースリリース| 2019年02月04日(月)

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『韓国日報』201921日付「論・壇」

「金正恩、寧辺核施設廃棄など先に措置を実行することでトランプを助けるべき」

 「北朝鮮が核武力の心臓部と言える寧辺核施設の廃棄などの措置をまず執ってこそ、南北経済協力事業を制裁措置の適用例外とする動きが出てくる。何よりも、非核化の全体的なロードマップを作ることが重要だ」

 文在寅大統領の外交安保分野の腹心として知られる文正仁・統一外交安保特別補佐官(68)は、二回目の米朝首脳会談について「シンガポールでの初の首脳会談が朝鮮半島の非核化のための総論だったとすれば、二回目は総論を具体的に実行する各論を用意する場になるだろう」とし、このように述べた。131日、文氏と2月末の二回目の米朝首脳会談と東北アジア情勢について意見を交わした。

―初の米朝首脳会談はシンボリックな意味合いが強かった反面、具体的な内容はなかった。
 612日のシンガポール宣言を軽く見てはいけない。当時の共同声明には、今後の米朝関係の基本的な枠がすべて出ている。新たな米朝関係を樹立し(第1条)、朝鮮半島の平和体制を構築し(第2条)、完全な非核化に向けて努力する(第3条)ことに同意した。非核化に関する総論を明らかにしたことになる。これをどのように各論として具体化させるかが、二回目の首脳会談において基本的な議題となるだろう。

―米朝間の実務協議はどのように進められているか。
 米国は「先に非核化、後に補償」を、北朝鮮は「漸進的同時(非価格化措置と補償の)交換」を主張している。双方の溝は大きい状態だ。これをどう狭めるかが、見るべきポイントだ。米国は「核凍結→申告→査察→検証→廃棄」の順序での、完全な非核化の履行を望んでいる。過去・現在・未来のすべての核を検証可能にし、不可逆的に廃棄するということだ。これは核施設、核物質、核兵器、弾道ミサイル、さらには核兵器の生産に必要な知識インフラまで、すべてをなくすことを意味する。
 反面、北朝鮮は先に政治的補償を望んでおり、米朝国交正常化まで到達することを期待している。その次に軍事的保障、すなわち米国が北朝鮮に対する敵対的な思いを捨てよということだ。さらに経済制裁の緩和だ。四つ目は原子力の平和的利用を認めて欲しいということだ。このような米朝間のマトリックスがあり、双方がどこまで譲歩するかが実務協議で合意されようとしている。


―誰がまず譲歩すべきか。
 北朝鮮は米国が敵対的な意図と行動を緩和、または放棄することに対する証しこそが制裁緩和だと考えている。米国の立場からは、まず急ぐべきは大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核弾頭の除去になるだろう。ここにおいて、妥結点を探すべきだ。誰かが呼び水となるために先に何らかの措置を出すべきだが、それは北朝鮮がまずやるべきだ。豊渓里の核実験場を視察・検証できるようにし、東倉里の弾道ミサイル実験場を廃棄し、寧辺の核施設に対する具体的な行動をまず打ち出してこそ、トランプ大統領が議会とメディアを説得し、制裁緩和措置も実行できる環境になる。

―金正恩党委員長がトランプ大統領を助けるべきということか。
 そうだ。

―米国で最も脅威となるICBMを廃棄し、対北制裁にかかる南北経済協力を進めさせるという「スモールディール」について予測する人が多い。

 スモールであれビッグであれ、ディール=交渉を行うためのロードマップをまずは作るべきだ。ロードマップに対して両首脳が協議し、韓国も参加するロードマップの作成に合意すべきだ。ロードマップにしたがってスケジュールも出てくる。核廃棄に対する全体の構図を提示するべきだ。そうしてこそ事態が予測可能になり、すべての国民と関連国が安心してアプローチできる。

―北朝鮮の核による最大の被害者は韓国だ。二回目の首脳会談とロードマップの作成に、韓国の声は十分に反映されているのか。
 われわれはすでに一昨年にロードマップをつくり、米国と交換した。韓国側が作成したロードマップがある。大統領府で米国と十分に協議をしたものと理解している。北朝鮮の核をなくすだけでなく、エネルギーと経済保障、多国間の協議体構想なども入っている。外交部の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長とスティーブ・ビーガン米国務省北朝鮮担当特別代表が2週間に1回会っており、ワーキンググループもある。米朝間が協議する際、韓国が参加できるような制度的な装置となっている。ロードマップについて、文大統領が昨年に欧州を歴訪した時「北朝鮮が不可逆的な段階まで進めば制裁の緩和は可能だ」と述べた。韓国の政策であり、米国にももれなく話をした。

ICBMを廃棄した後に対北制裁を緩和する場合、韓国の立場から見ると、核の脅威は依然として存在するのに、補償だけを与えるのかと心配する声がある。
 そのような結果は韓国政府も受け入れられないものだ。日本も受け入れられないだろう。中距離弾道ミサイルは日本、スカッドミサイルは韓国にとって脅威だ。事実、ICBMというのものは火星151回だけ試験発射しただけだ。それだけで北朝鮮がICBMを完全に保有したとみなせない。そのような状況で、果たして米国が大きく譲歩するだろうか。ミサイルは運搬手段だ。それよりは、核施設と核物質、核兵器、核弾頭をなくすことが重要であることをきちんと理解している。

―この25年間、北朝鮮の核問題をめぐる交渉は失敗だった。米国家情報局(DNI)のダン・コーツ局長も最近、米国議会で金委員長が核を放棄しないだろうと述べた。
 米情報機関の典型的な失敗を繰り返している。それは静態的分析で見ているということだ。金委員長は核を交渉で解決する用意があると明らかにしている。トランプ大統領は交渉に積極的だ。最近、寧辺の核施設は動いていない。北朝鮮はすでに核を凍結している。より重要なことは、未来予測だ。情報機関の分析には交渉が進行中という動態的部分が排除されている。

―北朝鮮が核・ミサイル実験をしないことは、核武力が完成したからこれ以上実験を行う必要がないということではないか。
 北朝鮮は核・ミサイル実験を交渉カードとして利用する場合も多い。しかし、いまや交渉中だから実験を行う必要がない。いくらトランプ大統領が憎くても、ここまで状況が変わったという功績は認めるべきだ。北朝鮮が核を凍結した状態で交渉しており、条件さえ合えば核を放棄すると述べている点に注目すべきだ。

―ビーガン代表が数十億ドルと見積もっているエスクロウ(商取引の際に信頼のおける第三者を仲介させて取引の安全を担保する第三者預託)口座の開設と、これを通じた段階的経済補償パッケージを提示したとされている。
 斬新なアイデアではあるが、だからといって解決法になるかはしてなるかは難しい。エスクロウは投資の問題だ。投資は基本的に制裁緩和が相当程度なされた後に出てくるものだ。制裁緩和もなされていない状態で、エスクロウの話が出てくることは、食べることもできない餅を差し出し「話をちゃんと聞いてくれればあげるよ」ということと同じ。北朝鮮は現実的で実質的なことを議論しようという立場だ。普遍的で包括的な制裁緩和がだめなら、南北経済協力程度は除外してほしいと要求するだろう。

―北朝鮮が寧辺の核施設を廃棄したとしても、ほかの高濃縮ウラン施設などでいくらでも隠すことができるという主張もある。
 北朝鮮を除けば、世界で最も北朝鮮の核問題に精通しているジークフリート・ハッカー博士は昨年、平壌宣言で北朝鮮からの提案をみてとても驚いたという。寧辺は北朝鮮の核開発の心臓部とされる。それを永久廃棄することは相当な意味があるためだ。
 高濃縮ウラン施設を隠すことはできるが、その問題はまず信頼を積み重ねて寧辺の核施設から解決し、米朝関係が改善されれば解決できると思う。韓国と米国を含めて、国際社会が北朝鮮を徹底してモニタリングして高濃縮ウラン施設を探し出し、これを議題として取り上げるべきであり、北朝鮮にすべてを公開せよと言えば、北朝鮮はこれを聞き入れるだろう。北朝鮮の核兵器の数も、専門家によって
20個から100個まで見方が違う。米情報当局は数字を過大に言う傾向があり、メディアはその過大な数字を取り上げる。
 北朝鮮の立場からは悩みが多い。少なく申告すれば「だまそうとしている」と言われるだろう。だからこそ、信頼することが第一に必要だ。信頼を積み上げた後に、協力的な査察を促し、検証をすべきだ。核兵器も形がすべて違うし、ほかの国の科学者が廃棄するには限界がある。信頼を積み上げ、北朝鮮側から協力してくれるようになってこそ、本当の意味での検証可能で不可逆的な核兵器も可能になるということだ。


―北朝鮮が三代にわたってようやく完成した核武力を放棄することはないという見方も多い。
 金日成主席も金正日総書記も、条件さえ合えば非核化できると述べた。しかし、条件を与えなかった。過去には次官補レベルから上に話が行っていた。今回はトップダウンだ。南北、米朝、中朝首脳間の対話チャネルがあり、それなりに信頼もある。文大統領は平和があってこそ経済が活きると考えている。金委員長は核も重要だが、経済がより重要だとの認識が明らかだ。安保さえ担保できれば核を放棄するという立場をはっきりとさせている。トランプ大統領は北朝鮮の核問題を解決した偉大な大統領となることを望んでいる。習近平国家主席も非核化について一貫した立場だ。過去のどの時よりも、北朝鮮の非核化を進めるための国際的与件がいい。チャンスをきちんと生かすべきだ。

―二回目の米朝首脳会談では、文大統領も参加できるか。
 状況的にはいい。そうなることを願うのみだ。

―願っているだけか、準備がされているのか。
それは言えない。願うなら準備するものではないか。


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