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世界的な投資家が北朝鮮経済の潜在力を高く評価

ニュースリリース| 2019年01月19日(土)

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 世界的な大投資家として知られるジム・ロジャーズ氏が、北朝鮮経済に強い関心を示した。

 2019年1月に出版された自著『お金の流れで読むに本と世界の未来』(PHP新書、大野和基訳)では、朝鮮半島の今後の行方について「朝鮮半島はこれから世界で最も刺激的な場所になる」と指摘、北朝鮮はこれから二ケタ成長を遂げ、開国することで韓国にもよい影響を与え、世界から多くの資金が流れ込むと説明している。ロジャーズ氏は過去2回、訪朝経験がある。

 現在の北朝鮮経済の状況について、「世界の最下位と言ってもいいほど低レベルにあるが、それは中国の鄧小平政権における、一九八〇年代前半の頃と同じ」とし、その後中国は劇的な成長を遂げたことを例に取り、「それと同じようなことが、北朝鮮にも起こる」と指摘している。「韓国・北朝鮮は今後一〇~二〇年の間、投資家に最も注目される国になるだろう」と予測している。(93~94ページ)

 特に注目すべき産業について、ロジャーズ氏はツーリズムを挙げている。この点では日本とも比較し、「日本のツーリズムは主にインバウンドで景気づくと第一章で述べたが、韓国の場合は韓国・北朝鮮間の国内旅行によって活気がもたらされると考えられる」と説明する。(112ページ)

 さらに農業分野で「北朝鮮が開かれれば多くの若者、安い労働力が韓国農業に参入する」と言う。また、鉱山業も盛んになり、「(韓国と北朝鮮の)両国が統一されれば鉱山業も再興するし、漁業にも勢いが戻ってくる」と述べている。さらに、アパレル産業も指摘している。(112~113ページ)

 ロジャーズ氏は、北朝鮮の投資が解禁されたらさまざまなオプションがあり、「考えるだけでワクワクする」と強い期待を示しているほどだ。

 日韓の今後を比較して述べている記述もある。「これからの二〇年は日本が衰退し、韓国が伸びて刺激的な国になるだろう」とし、その理由を二つ挙げている。一つは、韓国と北朝鮮が統一し、新たな国家が生まれるためだ。理由として、「両国は互いの欠損部を補い合い、長所を活かして、飛躍的に成長を遂げるだろう」としている。二つ目は、「韓国の人々の気質が、日本人よりも多少オープン」な点を挙げている。「日本よりも変化を好み、受け入れる土壌があると説明している。(96ページ)

 北朝鮮については、「金正恩(朝鮮労働党委員長)によってもたらされた新しい風と、昔から培われてきた勤勉な国民性――それを韓国の経営能力や資本のアクセスというノウハウとうまく合わせると、非常に刺激的な国になることは間違いない」と断言している。(109ページ)

 一方で、南北統一がうまくいかない唯一の要因として、アメリカの存在を挙げている。ロジャーズ氏は、在韓米軍の存在がネックとし「太平洋側でとりわけ重要な位置にある韓国の基地について、アメリカはなんとしても保持しようと思っている」と指摘する。朝鮮戦争が休戦したのはもう65年以上前のことで、在韓米軍の存在は歴史的な成り行きにすぎないと指摘、「私はアメリカの納税者だ。戦後六五年間も成り行きで韓国にいるアメリカ軍のために無駄な税金を払っていると思うと、非常に遺憾だ」と述べている。また、「北朝鮮に対する経済制裁も、アメリカは世界の中で最後まで続けるだろう」と言う。(116~117ページ)

 ロジャーズ氏は、「北朝鮮では、いま実に多くのことが目まぐるしく変わりつつある。私はいま娘たちに標準中国語の教育を受けさせるためにシンガポールに住んでいるが、そうでなければ北朝鮮に引っ越すかもしれない。それほど北朝鮮、そして韓国は大きな変革の時期を迎えている」と言う。



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