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【新年の辞】開城工業団地と金剛山観光は再開できるか

ニュースリリース| 2019年01月02日(水)

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 以下は1月2日付け「ソウル新聞」に掲載された記事を翻訳・引用したものである。

金正恩新年の辞

「無条件で開城工業団地と金剛山観光の再開の再開」…米韓に制裁緩和圧力

——金正恩、新年の辞の半分を経済に集中

——経済協力事案…米朝非核化交渉と連動

——「民族和解を防ぐ外部からの干渉を許さない」

——「自立経済の威力を強化」発展への意思を披瀝

——官僚主義、不正腐敗の根絶など改革も示唆

 

 北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が1日に発表した新年の辞で、「なんら前提条件や代価なしに、開城工業団地と金剛山観光を再開する用意がある」と述べた。この二つの事業再開が実現されるか、関心が高まっている。特に今年の新年の辞は、例年とは違って「経済発展」を最初に述べ、全体の半分以上を割いて強調した点が目を引く。

 

 金委員長は新年の辞で、「自立経済の威力をさらに強化すべきだ」と述べ、新年の覚悟を明らかにした。昨年4月、労働党中央委員会第7期第3回全員会議で国政の方向性を核・経済の並進路線から経済集中路線へ変更したのに続き、金委員長が直接新年の辞でこれを再確認し、肉声で公表したことになる。

 

 機関・事業体系を整備し、企業の経済活動を円滑にしようと言及した部分では、北朝鮮内の資本主義的な側面が現れた。実際に、金委員長は「社会主義制度を侵食する権柄(けんぺい)と官僚主義、不正腐敗の大小を問わず、こうした行為を完全になくすべきだ」と述べ、チャンマダン(闇市場)など資本主義的変化による貧富の格差といった形で副作用が出ていることを逆説的に示唆した。

 

 また金委員長は「開城工業団地に進出していた見ない側の経営者の厳しい事情と、民族の名勝地を訪れたいという南側の同胞の希望をくみ取った」とし、「無条件の開城工業団地と金剛山観光の再開」を提案した。南北首脳は昨年9月の平壌共同宣言で、この二つの事業について条件が整えばすぐに正常化すべき経済協力事案として明記していた。

 

 ただ、金委員長は「外部勢力の干渉と介入は絶対に許してはならない」と強調した。開城工業団地と金剛山観光の中断は、北朝鮮への制裁ではない韓国の過去の政権が下した措置であり、南北が決定する問題だという意味だ。金剛山観光は20087月に韓国人観光客が射殺された事件のため、また開城工業団地の稼働は162月に北朝鮮が核実験を行ったことで中止された。

 

 しかし、開城工業団地と金剛山観光は北朝鮮制裁の緩和についてシグナルとなりうる軽罪協力だ。そのため、米朝非核化交渉と連動している。開城工業団地の再開は北朝鮮の繊維輸出と北朝鮮との合弁を禁止した国連制裁2375号に抵触しうる。また、両事業は大量の現金が行き来すれば、制裁違反となる。

 

 韓国・統一研究院北朝鮮研究室の洪珉(ホン・ミン)室長は「金委員長が今回言及した内容は、米国と調整することなく民族同士で合意しようと韓国に圧力をかけたものだ」と言う。ただ、「両事業の再開は北朝鮮には対北制裁に柔軟性を持たせるという兆候であり、米国も非核化に対する相応の措置を執りうる先行的な措置でもあるため、米朝の皮革か交渉がうまく進めば実現するだろう」と言う。

(「ソウル新聞」12日付、イ・キョンジュ記者)

 

 


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